野田総理は民主党の党首でもあった。選挙公約のマニフェストには消費税増税の『お
約束』は書かれていなかった。今では誰も覚えていない他の項目に力点を置いた政策
を推進するはずが、何処で頭をぶつけたのか知らないが急に財政改革病に侵され、マ
ニフェストにない消費税の増税が喫緊の課題だと魘され始め、遂には発症して下野した。
逃げる際の3党合意とやらで手を汚さず消費税増税が出来るようになったから、一番喜
んだのは自民党に他ならない。ところで、野田議員は何をするために総理大臣になった
人だろうか。
時は僅か10か月ほどしか経っていないのに、野田首相の時と比べて増税に耐えられる
経済環境になってきたと判断され、来年4月から8%になる。増税はいつも必要性で決め
られるのではなく、政治家の都合によって決められるから、私たち庶民は納得している
ようで心の底では反対しているのだ。
私が最初の海外旅行アメリカに行った時、レシートを見てビックリしたのは税金が10%
以上かかっていたことだった。当時、日本では3%だったから余りの違いに驚かされた。
ただ、物価が日本ほど高いとは感じなかったから税が物価を引き上げている印象は薄
かった。その後も海外の税の紹介などされるようになり、ヨーロッパでは20%以上なんて
国もざらで特に北欧では25%と相当高い。そんなに高いのに不満はないのかと疑問に思
う。ところが消費税の他に所得税や住民税なども高く可処分所得に占める税の割合は
50%にもなるというから、怒り心頭に間違いないと思ったら大間違い。『政府の子育て、教
育、老後プログラムがしっかりしているから不満はない。もし必要なら増税も厭わない』
私もこんな台詞を言ってみたい。
結局は社会保障システムが透明で信頼されていれば増税があっても安心できるが、残
念ながら日本の官僚や政治家の進めている国家政策は底抜けばかりで信頼する気に
なれない。増税すると景気がまた冷えるかもしれないから経済対策にテコ入れをすると
して、法人税の減税もセットらしい。その総額5兆円程度、財源は『聞いて驚くな、復興費
の使い残し1.1兆円』
2020オリンピックが東京で開催される。こちらへのテコ入れで東北の復興に遅れが出るの
ではと心配されていた。そんなことはない。オリンピックはまだ先のこと。だが、復興のこと
はもう忘れられているのではなかろうか。復興費の使い残し1.1兆円は何を物語るのだろ
うか。現地の意見合意ができないために事業を先送りにしているなどと現地の人の精にす
るのだろうか。