日本は四方を海に囲まれているから島の領有は諸外国ともめ事が絶えない。韓国と
は竹島問題、中国とは尖閣諸島、ロシアとは北方4島と3つも抱えている。島の領有
権は戦争により取ったり取られたりの繰り返しで、今となっては最初どちらが所有して
いたのか証明のしようがない。島を領有すると領海が増え次の島につながり島と島が
つながり続けると他国の玄関先まで延びてしまう。尖閣諸島はそのいい例だ。背景を
考えないで地図の上だけからみると台湾の領有となるのが一番納まりやすい。
私がアマチュア無線をしていた頃、南シナ海に南沙諸島=Spratly Islandsという無人の
島々があり、ここは無線の世界ではベトナム領として扱われていた。
(1988年、ベトナムと中国で海戦となり中国が岩礁とサンゴ礁の一部を手に入れたが残
りの島はベトナムが支配している)無線の世界だから国際的に認知されていないと侮る
なかれ、全世界のハム仲間が認めており、当時の中国のハムもこうしたルールに従っ
ていた。
スプラトリー島にハムはいないからこの島のQSLカード(交信カード)は珍しくwantedの
対象だった。当時未だソ連の影響が大きく残っていたから、ベトナムの支援を受けて
ロシア中心の遠征チームが結成され、この島から電波が発信された。当然、世界中の
ハムがベトナム領スプラトリー島との交信に血眼になったのは言うまでもない。
こうした背景がある島で、資源をめぐる領有問題が再燃している。暫くは納まっていた
問題を中国が強引な手法で支配しようとしている。先程の私の単純な地理的発想から
すると、この島はどうみても中国のものではなくベトナムまたはその近隣の国のものとす
るのが正しいと思う。尖閣諸島で中国と揉めているからベトナムの肩を持つつもりはない
が、私もスプラトリー島との交信を成功させた一人、だからスプラトリー諸島はベトナムの
領有と信じている。
ここも最初はだれのものだったのかは分かるまい。歴史的背景が加わるとぐちゃぐちゃ
になり、どの時点まで遡れば決着がつくのか・・・それは自国にとって都合のいい時代と
いうことになるから、未来永劫に解決しない。人間は問題解決できないことが多過ぎて
霊長類の頂点とは言えないのではないかと思う。
ソ連チームによるスプラトリー島遠征のQSLカード