ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

お台場逍遥

2013-08-24 | 映画
今日は仕事が休み。

映画を観に、お台場まで行って来ました。

作品は、以前もこのブログに書いたことのある『虹の女神』という日本映画です。
ドリームパスという「もう一度映画館で上映してもらいたい映画」を投票するネットサイトがあるのですが、この作品は見事一位になって、今日、たった一回だけ映画のスクリーンで上映することになったのです。
それをたまたま知り、休みと重なったこともあり、上映館のあるお台場まで行ったのでした。

お台場は初めてなのですが、駅に着いて電車を下りるなり、家族連れや若いカップルの多さにびっくりしました。
そして外にでると、巨大な球体で知られる超近代的(?)なデザインのフジテレビ本社を初めとして、いかにも「人工的アミューズメントスポット」感あるビルが並んでいるのに、またびっくり。
「こらア、てえへんなトコ来ちまったなア」と圧倒され、すっかりまごまごして、おのぼりオジサン気分になりました。

上映会場も、シネコンを初めとしてレストラン街やらファッション店やらITショップやらがオサレかつ複雑に入り込んでいる大きな商業ビルです。
今日の再映会は、そのシネコンでやるのです。
「隠れた名画の一回だけの再映会」なんて企画は、昔の池袋文芸地下や早稲田松竹のような「いかにも名画座二番館」風の小屋でやる…なんてのが私のイメージですが、30年くらいズレてましたね。
再映会のお客さんには若い人やカップルはあまりおらず、30、40代が中心。

大学時代に友達以上恋人未満の関係だった佐藤あおい(上野樹里)が飛行機事故で死んだことをテレビニュースで知った岸田智也(市原隼人)。
二人は映画製作サークルでいっしょだったが、先に映画制作会社に就職したあおいは、卒業後ニート状態だった智也に自分がいる会社を紹介し、自らは映画の勉強のためにロサンゼルスに行った。
そこで事故に逢ったのだ。
そして、智也は喪ってみて、いかに佐藤あおいが自分にとってかけがえのない存在だったかを知る…。

地味な作品です。
主人公の二人とも不器用で、自分の気持ちを上手く伝えられない。
そもそも、自分が本当はどういう気持ちなのかも、良くはわからない。
恐らく相手がとても大事な存在なんだ…とは内心では気づいているのだけれど、それがまっすぐな行動にならない。どうして良いかわからない。

そんな青春の姿を自然なタッチで描いているのですが、その微妙な屈託や懐かしい感じを主役の二人はとても素敵に演じています。
蒼井優や佐々木蔵之介を初め、共演者もとても良い。ドキュメンタリー作品のようです。
だからこそ「あおいがいなくなってしまった」ことの喪失感に哀しむ智也の姿に、若くない観客たちが深く共感するのでしょう。

興行的には上手くいかなかった作品です。
ロードショーでヒットするのはもともと難しかったと思います。
特に若い人たちにとっては、ともすると地味で辛気臭く感じられるテーマですから。
でも、地味だけれどとても大切な真情をこんな丁寧な映画作品にしてくれた関係者に、改めて感謝したくなりました。

映画を終わってから、私は無性にラーメンが食べたくなりました。
そして、思い切って、複雑な商業ビルの上の階に上がって行きました。
ちょうど「全国ラーメン祭」というフェアをやっている一角があり、私は「大阪風ラーメン」という牛肉が入っている白いスープのラーメンを頼みました。
周りにはたくさんの家族連れがいましたが、その中には日本語でない言語を勢い良く喋る人たちもアチコチいました。

お台場には活気がありました。





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