ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

仕事スイッチ

2020-11-07 | ほとほと日記
今日も仕事はお休みでした。


朝、自宅最寄り駅のドトールコーヒーに入ったときのこと。

注文のため、私の前に二人女性が立って並んでいました。

と、どうも私のすぐ前の女性の様子がおかしい。

顔を上に向け、荒く呼吸をし始めました。

もともと、朝の肌寒いときに半袖Tシャツ一枚と下はジャージと言う格好からしてかなり奇妙でしたが、それにしても、様子が変だ。

…と思う間もなく、前のめりにバランスを崩し、先頭の女性にもたれ掛かりました。

ソーシャルディスタンスを取っていた私は慌てて手を伸ばしましたが、支えきれず、そのまま床に転倒してしまいました。

床にゴツン!と後頭部がぶつかる音がしました。

救急車を呼んで!と言うと、若い女性店員さんは頑張って119をしています。

倒れた女性は口に何かを含んでおり、意識消失もしていたので(窒息したら困るな)と一瞬思いました。

でも、少しすると意識を回復し、口をモゴモゴさせながら手に持っていた札入れを触り始めました。

そして頭を上げて床に座ろうとするので「動いちゃダメ!」と言いました。

彼女は微かに頷きましたが、やがて立ち上がろうとしながら、「もう大丈夫…」と言います。

私が「さっき頭を打ったし、気を失ったんだから医者に診てもらわなければダメだよ。ここに迷惑かけちゃうよ」と伝えると、女性は頷いて店の席に座りました。

店内はけっこう混んでいましたが、男性客はチラチラ気にしながらも誰も声を出しません。

女性客の中には、「大丈夫?」と声を掛ける人がいました。


我ながら、(全然慌てないなあ)と思いました。

仕事柄、救急車はしょっちゅう読んでいます。

救急車に同乗したことも14年半で数十回はあるでしょう。

女性の様子が途中から命の別状は無さそうなのは明らかだったので、いつ急変するか解らないホーム入居者に比べれば、緊張感は感じなくて住みました。

また、今朝の女性は外見からしてやや精神疾患系の印象でしたが、認知症入居者とのやり取りに慣れている私には声かけも違和感なかったかも知れません。

目前で危うい印象の人が転倒して、仕事スイッチが入ったようでした。


女性が救急隊員と車に乗った後、先ほどの店員さんが私の席まで来て「どうもありがとうございました」と礼を言ってくれました。

私は急に恥ずかしくなって、少しドギマギしたことです。