ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

片隅なれど

2018-05-14 | ほとほと日記
今日と明日は仕事はお休みでした。

このところ仕事で気持ちが滅入っていて、おとといの夜も遅くまで働いていて疲れが溜まっていたので助かりました。


今日は二年前に公開されて評判を呼んだ『この世界の片隅に』というアニメーション映画のDVDを借りて来ました。

18歳で実家の広島市から呉市に嫁いだ女性が、嫁ぎ先での苦労、空襲による負傷、原爆被災による両親の死…という壮絶な体験をしながらも生きていく…という話でした。

ただ、決して情緒的な作り方はせず、むしろ淡々と詩的な語り口で描いているのが、多くの人の共感を得たのでしょう。

設定からすると、主人公の浦野すずさんは1925年生まれですから、今存命していたら93歳。

この世代の庶民の女性には、似たような人生を送って来た方も少なくないと思います。


前のホームに、二十歳で嫁いで、新婚数か月で夫が戦地に召集され戦死した…という入居者がいました。

彼女は再婚せず、嫁ぎ先の義理の両親とずっと同居し、二人とも看取りました。

もの静かで控えめで優しい性格の方だったので、私たちスタッフにもとても好かれました。


最晩年は近くのプロテスタント教会の牧師さんがホームに何度か来られました。

そして、小さな教会の葬儀の席で、彼女が派手さはないけれど、いかに献身的に両親や周囲の人々に優しく尽くしていたかを改めて知りました。

戦後の復興を支えてきたのは、こういった名も無き人々だったのだと思います。


ふと、そんなことを思いました。