ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

家族食事会

2017-06-20 | 家族
今日は、実家近くのファミリーレストランで、家族揃って食事会をしました。


本当は4月の第一週にする予定だったのです。
ところが、4月に入ってすぐに父が入院しました。
父は家で夜一人でトイレに行こうとして、転んでしまったようなのです。
幸い骨折などはありませんでしたが、自宅でベッドに臥床がちの生活をしていた父は、突然の事故に心理的ショックを受けたのだと思います。

病院のベッドで寝た切りのまま、一週間、十日と検査を受けているうちに、父はすっかり心身の廃用が進みました。
一応診断名は肺炎でしたが、入院から数日後に私が見舞いに行った頃は抗生剤点滴もしていないし、ペーストの食事も始まっていました。
実際は廃用症候群の進んだ父を自宅に戻そうにも、自宅の介護力が不足していて、主治医が判断に迷っていたのでは…と思います。

その後、父を退院させて自宅で看よう…と家族の間でも話がまとまり、ゴールデンウィークを挟んで熱心な理学療法士さんにリハビリをしてもらい、母と兄と姉が日替わりのように見舞いに行って、ソフト食の作り方を教えてもらったりしました。
5月12日に退院してからも、訪問看護師さんや病院でお世話になった理学療法士さんも自宅に来てくれて、献身的にケアやリハビリをしてくれました。
本当に人に恵まれたと思います。
また、父も母も昔ながらのいかにも素朴で実直な老人なので、「お世話したくなる」タイプと言えるかも知れません。
父は次第に活気を取り戻し、一人で自宅のトイレにも行けるようになった…と聞いていました。


今日、約10日振りに父の顔を見て、表情に精気があるな…と感じました。
父は今日の食事会をずっと楽しみにしていた…とのことで、母が父の首にネッカチーフを巻いたりして、少しオシャレをして出かけました。

店に入ると、父の好きそうな料理注文して行きました。
前回も感じたのですが、このお店の若い女性店員さんたちはとても感じが良く、スタッフ教育のレベルの高さが感じられます。

父の前に色んな料理を並べると、コーンスープはたちどころに飲み干してしまいました。
そのほか、ステーキ、ハンバーグ、エビフライなど、小さく刻む必要はあるものの、確実に食して行きます。
前回、父が美味しそうに食べていたフライドポテトは、父がほとんど一人で平らげてしまいました。

また、要介護度の高い高齢者の食事にはじっくりと時間が必要だ…と改めて痛感しました。
一度勧めて「いらない」と断ったステーキやエビフライも、しばらく経つと口にするようになるのです。
これは、老人ホームで10年以上勤める私にとっても新たに身に沁みた事実でした。

そして、家族で外食すること自体の「力」を感じました。
風景が変わり環境が変わることで、自宅でのいつもの食事とは違う活気が生まれてくるのです。
過去の人生の蓄積が発揮されるのです。
「レストランのお客様」という社会的役割が、食欲も生むのかもしれません。

嚥下機能にも認知機能にも大きな低下が見られない父なら、まだまだ家族食事会に行ける…と嬉しく思ったことです。