南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

ハリスの日記

2010-01-19 18:26:10 | Weblog

初代米国総領事タウンゼント・ハリスは初めて訪れた日本について日記にこう書き残してあります。
この文章は下田に駐在した折の日本人の生活を現したものです。

『この土地は貧困で、住民はいずれも豊かでなく、ただ生活するだけで精一杯で、装飾的なものに目を向ける余裕がない。
それでも人々は楽しく暮しており、食べたいだけは食べ、着物にも困ってはいない。
それに家屋は清潔で、日当たりもよくて気持がよい。
世界の如何なる地方においても、労働者の社会で下田におけるよりもよい生活を送っているところはあるまい』
(下田のハリスといえば「唐人お吉」で有名だが、そんな下世話な話は出てきません・・・残念?)

さらに人々の生活風景をこう綴ります。
『柿崎は小さくて、貧寒な漁村であるが、住民の身なりはさっぱりしていて、態度も丁寧である。
世界のあらゆる国で貧乏にいつも付き物になっている不潔さというものが、少しも見られない。
彼らの家屋は、必要なだけの清潔さを保っている』

ハリスの日本に対する好印象は、街並みや人々だけにとどまりません。
初めて下田奉行所から接待を受けて、鯛の吸い物や、鰻の蒲焼などをご馳走になって感激しています。
『料理は立派なもので、見る目も至ってきれいで、清潔なものであった。
私は彼らの料理にはなはだ好い好印象を受けた』
さらに、『我々一同はみな日本人の容姿と態度とにはなはだ満足した。
私は、日本人は喜望峰以東のいかなる民族よりも優秀であることを、繰り返して言う』

私たちが学ばなくてはならない日本の伝統がここには残されています。
ハリスが現在の日本人を見たらどんな日記を書くでしょうか。
繁華街ですれ違うオミズ風の若い娘さんや、そんな娘さんにつきまとう黒服のカラスたちを見るたびに心が痛みます。
時代についていけなくなった中年男の愚痴でしょうか?