南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

闇の子供たち

2008-08-31 06:44:08 | 読書
私は梁石日(ヤン・ソギル)という作家が嫌いだ。
「血と骨」という作品を読んだとき、そのあまりの生々しさに驚いた。

しかし昨日、書店で手に取った1冊はなぜか梁石日の「闇の子供たち」だった。
タイを舞台にした幼児売買を題材にした小説だ。
子供を売る親にその非を説くが、親はこう答える。
「わしらみたいな人間に、どんな将来があるんだ。
みんな下の下の下の生活をしている。
野良犬の方がよっぽどましだ。
食う物がなくて飢えに耐えられないときは泥に這ってる蟹を取って食べる。
わしらの糞やゴミを食べてる蟹だ。」

アジアの最底辺で起こっている“幼児売春”や“臓器売買”の事実と真実をこれでもか、これでもかと暴き出していく。
そしてそれを半ばは知りながら見ようともしない欧米や日本を描き出していく。
衝撃的なクライマックスまで一気に読み終えて、さらに梁石日が嫌いになった。

心の中にズシンとした何かが残ってしまい、悶々とした一夜を過ごしてしまった。



闇の子供たち (幻冬舎文庫)
梁 石日
幻冬舎

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誰のためにあるのか?

2008-08-30 11:43:50 | 経済

農林中金が証券化商品への投資を拡大」の記事を読む。
農林中金とは、農林中央金庫法による金融機関である。
(ちなみに労働金庫は、労働金庫法による金融機関である)
農協・漁協・森林組合など農林水産業者のための協同組織だ。
総資産70兆円を誇る投資機関としても有名である。

その農林中金は1980年代のバブル期に住専に多額の貸付を行い破綻寸前まで追い込まれた経験がある。
1996年の住専国会で国が不良債権を買い取ってくれたお陰で生き延びたが、2001年の金庫法改正で経営体制を投資銀行として大きく転換した。
潤沢な資金力を背景にして、貸し出し需要が増えず金利の低い国内金融を縮小し、金利の高い外国債権購入や外国債券投資を増やしていった。
その結果、総資産のうち5割近くまでが海外証券で占めるようになったとされている。

冒頭の記事は、米国のサブプライム問題でも打撃を受けたが、その後も積極的な海外投資戦略を展開しているという内容である。
本来的な役割である農林水産業者への融資は、農林中金以外の金融機関が、国内農業を成長分野と見直し始めている皮肉な状況だ。

どこかで歯車が狂い始めているような気がするが、それは“下衆のかんぐり”だろうか?
あのビッグ3の資金繰りが悪化し政府に融資を求めているような、どしゃ降り状態の米国とともに地獄へ引きずりこまれなければよいのだが・・・。

我が労働金庫も全労済も、そして連合も誰の為に存在するのか、何のために存在するのか、を決して忘れてはならない。
その思いを強く抱きながら、これから連合東海ブロックの会議で名古屋へ向かう。


“私と あなた”

2008-08-29 23:28:40 | ユニオン

今夜は沼津のF労組30周年記念祝賀会に招待された。
30年といえば長いようで短く、短いようで長い。
大切なことは、その30年間を次世代につなげていくということだ。

2日前の晩、中遠地協幹事会で役員の皆さんと盛り上がった。
ほぼ全員が私より若い役員さんだ。
自分では、若い若いと思っていたが、もう私も56歳になってしまった

『私の小さい頃はまだ水道も引かれていない時代だったんだよ。(田舎の所為もあるが・・)
初めて水道の蛇口を開いた時、初めて家にテレビが入った時、初めて親父が中古の軽トラを買った時、本当に嬉しかったことを今でも覚えているよ。
オイルショック、ソ連とアメリカの争い、ベルリンの壁の崩壊、9・11同時テロ、ロシアの復活と目まぐるしく世界は動いていったね。
きっとこれからも変化し続けるんだろうね。
でもね、どんなに世の中が変化しても変えてはいけないものを私たちは持っているんだ。
それは“助け合い”の心だよ。』

今日の午後開かれたN労組の大会でも、“助け合い”“分かち合い”の話をした。
すると後に続いた藤本参議院議員が上手い話をしてくれた。
『“私の残業 あなたの失業”ですね。
2時間残業すればお金も入るが、もうお金はよしとしましょう。
4人の残業合わせれば8時間、1人分の雇用が発生します。
そういう生き方が求められてはいませんか?』

早速メモをとり、夜の30周年あいさつで藤本議員を前にして使わせていただいた。
藤本さん、“助け合い”“分かち合い”の心ありがとうございました


“日々是勉強”

2008-08-28 18:39:01 | Weblog

県総合計画審議会には専門部会がふたつある。
「県民生活部会」と「経済産業部会」である。
総合計画審議会は今年度より議論活性化のために委員総数を50名から20名に減員した上で、なおかつ委員を2分して10名程度の専門部会をつくり、より活性化を図った。

私は「経済産業部会」委員に選ばれ、本日第1回の専門部会が開催された。
選出された委員のみなさんの顔ぶれはなかなかのもので、2時間の会議があっという間に終了してしまった。
行政が召集する会議は、「アリバイ作り会議」が多くつまらない会議がほとんどだが、この専門部会は面白かった。
なにしろ10名足らずのメンバーだから全員発言が求められる。
それぞれから興味深い意見をお聞きした。

そのなかのいくつかを紹介しよう。
日銀静岡支店長いわく、「“ひと転び八起き”ならぬ“ひと転びアウト”」・・・日本で起業が盛んにならない理由は再チャレンジできない“ひと転びアウト”にある。

静鉄観光社長いわく、「ふたつの付加価値、“モノとコト”」・・・成熟化した日本の観光客が求める価値と、外国人(東南アジア)観光客の求める価値観の違い。

静大人文学部長いわく、「“プラスαの価値”を見出せ」・・・今こそシャッター商店街の復活の時である。

まだまだあるが、部会長まとめの言葉は、『人材の育成』であった。
なるほど、なるほど・・・。

今日は少し利口になった気分である。
朱に交われば赤くなる(なれればいいなあ)。


地域に根ざした運動・・・1年目の総括

2008-08-27 17:03:08 | ユニオン

22日に行われた会議(地協議長&事務局長&3役合同会議)で、この1年間の取り組み状況を振り返った。
モデル地協構想で「新たに取り組む機能」として提起した4つの内容について結果を検証。
あらためてスタッフや地協役員の努力に頭が下がる思いである。

まずは①労働相談機能の充実だ。
2005年度:266件→2006年度:489件(この年から労働相談街宣を毎月定例化)→2007年度:766件→2008年度:1064件(21日現在)。

次は②個別の交渉機能
地域ユニオン結成(06年10月)後、団体交渉13件、労基署同行15件、その他3件。
現組合員数57名。

③組織拡大機能
2組合結成済み、1組合準備中、1組合「労働債権確保用」組合結成。

④中小労組支援機能
ミニマム運動としての「個別賃金分析システム」参加データー数15万人目標。  
2005年:15,309人→06年:22,722人→07年:22,954人。

特にこの1年間は、「モデル地協」から「ブロック体制」へと大きく変化させ活動を進めてきた。
従来からの取り組みである地協活動の強化も決して怠たったりしていない。(①政策立案・提言機能の強化、②政治活動の強化)
苦労の毎日ではあるが、充実した1年間だった。
会議の中でいただいた意見もおおむね前向き(評価)の声が多かったように思う。
足らざるを足して、さらなる前進を図りたいと思う。

なんとしても連合評価委員会が予言する労働運動の沈没だけは避けなければならない。
そうはいっても限られたスタッフのみでは限界があるのも事実だ。
中部事務所では、昨晩遅くまで倒産企業の対応に追われていたし、今日東部事務所へ足を向けたら相談者が訪ねてきてゆっくりと話もできないくらいであった。
こんな状況でも前向きな取り組みができるのは地協役員の協力あればこそ・・。
スタート直後はスタッフのパワーが外へ向くことに批判的な声もあったが、今では積極的に街宣活動や電話相談にも協力してくれるようになった。

“攻求心 守離心” 苦しくても攻め抜くことで求心力は高まる。
内に篭って守りに入れば楽はできるが、それでは遠心力が働いて組織は離散する。
“攻求心 守離心” この言葉を噛み締めながら2年目の補強案を考えていきたい。


2008年県知事要請

2008-08-26 16:08:01 | ユニオン

政策委員会で検討を重ねてつくりあげた「2008年政策・制度要請」を県知事に手交した。
県労福協の要請も同時に行ったが、連合の本来的な要請活動はこれからの部局交渉に委ねる。
今日は県知事と産業部の部長・局長を相手の要請活動だが、セレモニー的要素も合わせ持つ。

要請説明がひと段落し、知事との雑談。
昨晩、静岡地協・清水連絡会で聞かされた深刻な景気談義や、田舎の鳥獣被害の話も出す。
「苦労して農作物をつくっても猿や猪に食べられてしまうから、農家の人たちは困っているんだよね」
「連合静岡が守り育てている“連合の森”も鹿の被害で大変ですよ」

『南アルプスの高山植物が鹿の大繁殖でどんどん少なくなっているとの苦情を聞いてます。
猟友会の方々も高齢化して有害鳥獣の駆除もできずにいる有様で本当に困っています。
いよいよ切羽詰ってきたら自衛隊にでも有害鳥獣の駆除をお願いしなくてはならないかもしれないと真剣に考えています』

知事の冗談めかした発言に一同笑ったが、当事者にとっては笑い事では済まされない!真剣に検討してくださいよ(笑)。
有害鳥獣の跋扈には荒廃した山林と温暖化の影響もあると聞く。
県内の各市町に対して、野生鳥獣被害対策をとりまとめるよう展開中だと聞いたが、なかなか有効な手立ては見つからないらしい。
自然を知らない評論家もどきの人たちは“自然との共生”などと、もっともらしいことを言うが、現実はほんとうに厳しい。

こんな雑談もなかなか為になるものだ。
今夜は三島・田方地協幹事会、現場の活きた話を聞かせてもらうことはなによりも為になる。
ワクワクしながら行って来ます。


2009年問題

2008-08-25 13:41:48 | ユニオン

働く者と雇う者、この2者の関係は契約によって成り立つ。
資本(お金)を持つ者が会社を興したとしよう。
仕事が増えてきて一人では間に合わなくなったので従業員を募集した。
ハローワークなどで求人票を見た人が応募してきて、入社試験と面接を経て合格。
正式に両者で雇用契約書を交わして働き始める。
一番スタンダードな直接雇用スタイルだ。

そんな常識がひとつの法律ができたことで崩れていった。
“労働の中間搾取”として禁止されてきた“間接雇用”を認めた「労働者派遣法」の成立(1985年)だ。
当初は適用対象業務13業種でスタートしたが、その後16業種(1986年)→26業種(1996年)に拡大され、1999年には原則自由化(港湾運送・建設・医療・警備・物の製造のみ禁止)された。

その上、2004年には派遣期間の上限規制を緩和し、「26業務」は規制撤廃、それ以外は派遣期間を1年から3年に延長した。
加えて禁止されていた「物の製造業務」も派遣対象業務に追加したのである。
しかし製造派遣は1年という期間制限が設けられていたため使い勝手が悪く、企業側は「偽装請負」という違法行為に染まり始めていった。
それが2006年に大問題となってクローズアップされてきた。

違法行為を攻め立てられた企業は、急遽、労働力を「請負」から「派遣」にシフトした。
経団連は政府に働きかけて、「物の製造業務」の派遣期間制限撤廃を強力に推し進めたが、それはならず、3年間の延長(2007年)にとどまった。

2006年に大量に増えた製造派遣労働者の契約期間が切れる2009年にはどんな問題が起こるのか?それが「2009年問題」だ。
3年を超えて雇用しようとするならば派遣労働者を企業が直接雇用しなくてはならなくなる。
再び派遣契約を行おうとするならば、一定期間(3ヶ月以上)の空白期間が生じてしまい、製造現場に大混乱が起きる。
大企業内部ではすでにその対応が進んでいるようだが、サプライヤーである中小零細企業での対応はまったく手付かずのところが多い。

「2009年問題」はもう目前に迫っている。
現実的には、派遣から請負へ変更するか、直接雇用に切り替えるしか手はない。
3ヶ月の空白期間だけを切り抜けようと工夫しても無理が生ずる。
この期間だけを直接雇用(新規雇用)で逃げようとしてもそれまで働いていた派遣労働者への雇用努力義務が生ずるし、他社からの派遣受入れも違法となる。
3ヶ月だけの請負対応も合法的に行うことは難しい。

派遣業界も受入れ企業も大きな転換期である。
これからはオーソドックスなスタイルに戻すことを考えたほうがいいだろう。
請負スタイルも考え直し、やむを得ない場合でも、社内に残る付加価値は減少するが、下請会社への発注スタイルに転換させたほうが健全だ。
それこそが合法的な請負だ。


アフガンの男

2008-08-24 18:22:27 | 読書
アメリカがパキスタンで同盟関係をつくっていたムシャラフ大統領が辞任した。
アフガニスタンもパキスタンもイスラム勢力同士の紛争の渦の中に沈んでいってしまうのか。
仮に核保有国のパキスタンが崩壊すれば、核がアルカイダの手に渡ってしまうかもしれない。
ソ連侵攻、そして9.11テロ以後のアメリカによる爆撃とアフガンは非情な歴史の波に翻弄されている。

小説「アフガンの男」を読むとアフガン問題の根源が見えてくる。
恐るべき諜報活動の実態にも驚かされる。

アフガンの男 上
フレデリック・フォーサイス
角川グループパブリッシング

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次なるステップ論議

2008-08-23 14:33:57 | ユニオン

昨日・今日と2日間をかけて「地協議長&事務局長&3役合同会議」。
1日目の中心テーマは「地域に根ざした顔の見える労働運動1年目」の総括と今後についてのグループ討論だ。
2グループに分かれて、まずは「事務局サイドから見た1年間はどうであったか」を報告し、そして「今後どうしようとしているのか」を説明。
その後、「地協役員および3役から見た連合静岡の活動はどうであったか」の感想をもらい、そして「今後どうすべきか」の意見をいただいた。
参加者全員から発言をもらい、両サイドから見える連合運動や、それぞれの悩みなど、多くを聞くことができた。

2日目は、「2009年度活動方針補強案」について3役での検討会議。
“最大にして最後のチャンス”の政権交代に向けて決意を新たにし、男女共同参画の推進に向けて議論し、中小零細企業の労働災害防止についての新組織のあり方を検討した。
忙しい中2日間の貴重な時間を割いていただいたことに感謝し、あらためて全員発言の価値を感じ取った合同会議であった。