南町の独り言

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日本経団連の指針

2010-01-21 12:38:54 | ユニオン

日本経団連が毎年作成する「経営労働政策委員会報告」が19日に発表されました。
この報告書に示されている内容に十分注意していかないと大変なことになります。
1995年に同報告書から出された「新日本的経営システム」は、日経連お抱えの自民党の力を借りて、労働者派遣法や入管法の大改正を経てアッという間に我が国の雇用環境を変えてしまいました。
非正規労働者が大量に生まれ、労働力の安売り競争がはじまりました。
とんでもない状況になったことで世間の批判を浴びたために、日経連は08年度の報告書では「経営者の高い志と労働者への配慮」を謳いましたが、その言葉が空虚に響きました。

昨日、日経連の発表を受けてマスコミ各社は一斉に「定昇凍結」の考え方をアピールしています。
正確を期すために、報告にある日経連の基本姿勢を紹介しますと、
1、賃金カーブを維持するかどうかについても、労使が実態に即し話し合って判断する
2、総額人件費の視点が何より重要
3、賃金の決定は自社の支払能力に即して判断
4、需給の短期変動による一時的業績変動は、賞与・一時金への反映が基本
というものです。

労働組合もそろそろ本気になって闘わないといけません。
企業の実態を聞いてみると、“雇用確保が第一”の決まり文句に脅されて、黒字決算でありながら賃金カットや賞与ゼロなどに追い込まれた単組も出ています。
従業員の給料を下げて黒字を出すだけの経営なら“猿”でもできます。
定昇にまで議論が踏み込むようなら、全単組“スト権”をとって交渉に臨むくらいの覚悟が必要です。
しかし問題なのは全雇用者の半分以上を占める100人以下企業、ここでは労働組合組織率がわずか1%であるということです。
定昇そのものが確立されていませんので、この日経連の指針をまともに受けてわずかばかりの昇給もストップしてしまうかもしれません。
勘ぐってみればそれを見越して下請企業にコストダウンを強いる大企業軍団(日経連)の戦術かもしれませんね。

「経営労働政策委員会報告」の概要は以下のサイトからどうぞ。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/kenkai/data/20100119repo.pdf