南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

経済の舵取り

2010-01-22 13:10:44 | 経済

大戦前は金本位制で貨幣には価値がありませんでした。
その裏づけとなる「金」が備蓄されているから、その国の通貨に信用がついたのです。
いつしか金本位制は無くなり、世界の基軸通貨としての米ドルの信用力で通貨は回り始めました。
「金」に変わる担保は、アメリカの「軍事力」になりました。
その信用力が失われつつある頃から世界経済の歯車が狂い始めました。
信用力を失った通貨は、増刷可能な文字通り「紙幣」(紙切れ)になりかねません。
有限である「金(資源)」や「実体経済」に裏打ちされた通貨が価値を持ちはじめる時代に入り始めています。

実体経済下では、その限りある資源をどのように有効に使ったらよいのか、と常に悩みます。
AかBかそれともCか、その選択を科学的に行なう学問が経済学です。
資本主義社会では、基本的に市場経済のもとで経済活動が行われますが、決して市場は万能ではありません。
そのことを新自由主義という“行き過ぎた資本主義”を経験した私たちはよく学びました。

そこに政府の重要な役割が生まれてきますし、政権交代の意味もあります。
市場の実態をよく観察し、規制を強めたり弱めたり、市場経済のルールでは難しい公共サービスの供給や貧富の差を解消するための所得再配分を行ないます。
当然行き過ぎた政府の介入も社会に悪影響を与えますが、いずれにしても時代の移り変わりとともにそのバランスは右に左に振れていきます。
民主党政府の経済政策が、これまでの自民党政権と異なるのは当然です。
あまり過去にとらわれず大胆に振り子を振って欲しいものです。

今日は日経株価が大きく値を下げています。
中国経済の回復が鮮明になっていますから、日本経済にとってはプラス材料なのになぜでしょうか。
からくりは21日オバマ政権が打ち出した“金融新規制案”にありました。
「金」や「軍事力」の裏付けを失った米ドルは、コントロールされずにひたすらマネーゲームに走り、世界中で悪さをしてきました。
この巨大な悪にオバマ政権は立ち向かったわけです。
大手金融機関の業務の中で、預金を取り扱う銀行業務と、ヘッジファンドのようなリスク投資部門を切り離す法案により、金融機関の巨大化とリスク拡大に歯止めを打つ狙いがあろうかと思います。
株式市場には行き場を失ったマネーが流入していますから、そのマネーが急速に移動すると株価は大きく動きます。
日本の株式市場にも同様のマネーが流入していますから、実体経済とは違ったところで影響を受けてしまうんですね。
早くマネーの正常化を図って、実体経済で株価が動く時代に戻って欲しいものです。