今日の覚書、集めてみました

いつの間にか、10歳になりました。

何が怖いのかわからない人へ その2@テレグラフ

2007-07-03 12:20:52 | Telegraph (UK)
つづき
The optimist in me thinks that a good deal of this is fully justified by the improvements in macro-economic management and the improvements in the measurement, monitoring and distribution of risk.

私の中の楽観的な部分は、この殆どはマクロ・エコノミーの管理改善とリスク対策・監視・分散の改善で、十分に根拠を示されているじゃないか、と考えている。

The pessimist thinks that this is merely another example of the age-old tendencies, when interest rates are low, for investors to visit the wilder shores in search of higher returns and, after a period in which asset markets and the economy have been performing well, to under-estimate risk.

私の中の悲観的な部分は、金利が低い時には昔からよくある事に過ぎないぞ、投資家が、資産市場と経済が上手く行っている時期の後に、リスクを甘く見て、より高い利回りを求めてもっとリスクの高そうなものを試してみる、というアレだ、と考えている。

The fallout could be considerable. First, the rise in delinquencies and defaults, particularly among sub-prime borrowers, will eventually lead to a more severe correction in American house prices. Repossessed homes will add to the supply of properties coming on to the market, while the reduced availability of mortgage finance will undermine demand. That is likely to cause an even more severe decline in residential investment and a bigger moderation in consumption growth. This still poses a serious threat to the US economy.

その副作用は、かなりやばいかもしれない。
第一に、滞納や債務不履行の(特にサブプライム借主の間での)増加は、最終的にはより厳しいアメリカ住宅価格調整に繋がる。
差し押さえのおかげで市場に出回る物件は増えるわ、住宅ローンは貸し渋られるわ、需要は削られる。
住宅物件への投資は更に減って、消費成長はもっともっと見直される事になるだろう。

Second, there will be a major blow to the US banking system's capital base, which is about $1,000bn. Mortgage-backed securities (MBS) in total amount to just about the same sum, and about $600bn of this is held by large commercial banks.

第二に、約$1兆あるアメリカ銀行機関の資本基盤に大打撃となるだろう。
住宅ローン担保証券の総額、というのが大体その金額で、更にこの内の約$6,000億を大銀行が握っている。

This has led some commentators to speculate that the crisis in the CMO market could wipe out the whole capital of the US banking system. Less apocalyptically, it could cause a serous drop in the system's ability and willingness to lend.

これが、CMO市場危機はアメリカ銀行機関の資本を全て吹き飛ばすのではないか、などと一部のコメンテーターに憶測させているわけだ。
もう少しマシな憶測では、銀行の貸出能力と貸出意欲を著しく引き下げるのではないか、とされている。

Happily, it looks to me as though commercial banks aren't holding enough of the highly toxic CMOs - the ones whose value can easily be wiped out.

ありがたい事に、私には商業銀行は致死量の猛毒CMO(注:容易に価値がゼロになるCMO)を持っていないように見える。

Mind you, this leads to the million dollar question: if the banks don't own them, who does? Hedge funds would seem to be the most likely candidates. It would be no surprise if further casualties come to light in the hedge fund world over coming weeks.

だが注意したまえ…これは数百万ドルの疑問に繋がるのだ…。
もし、銀行がこれを所有していないのなら、誰が持っているんだ?
ヘッジファンドが一番あやしい。
今後数週間に、ヘッジファンド・ワールドで更なる犠牲者が出てきたって、ちっとも不思議じゃないだろうな。

Third, the experience of what has happened in the sub-prime market may lead investors across a broad swathe of instruments and markets to tighten their risk criteria and seek higher rewards for taking on risk.

第三に、サブプライム市場で起こっている事は、広範な商品や市場を通じて、投資家達にリスク基準を引締め、リスクをとる事に対してより大きなリターンを求めさせる事に繋がるかもしれない。

There have been some signs of this happening. US corporate bond spreads have widened slightly, and the spread of emerging market bond yields over US government yields has increased a little - although it still looks painfully thin.

これが起こっている、というサインはいくらか出ている。
アメリカ社債スプレッドは少々広がった。
また、アメリカの国債利回りに対する新興市場債券の利回りのスプレッドも少々広がった。
尤も、まだまだイタイほどちょっぴりのようだが…。

But even if the CMO crisis does not cause a serious problem in the economy it is signalling that the dangers of something going badly wrong are considerable.

しかしたとえCMO危機が経済に深刻な問題を生じなかったとしても、何かが酷く狂ってしまう大変な危険性がある、という警鐘を鳴らしている。

There are too many investors, both institutional and personal, who do not understand the risks they have taken on.

機関投資家も個人投資家も、自分達が抱えているリスクを理解しない投資家が多過ぎる。

Moreover, neither they, nor anyone else, fully understands where repackaged and redistributed risk finally resides in the system.

更に、機関投資家も個人投資家も、いや、どこの誰も、パッケージされたり再パッケージされたシロモノが、最終的にはシステムのどこに落ちるのか、完全に理解していないのだ。

Financial crises rarely take on the exact shape that you might expect. It was impossible to forecast the collapse of LTCM in 1998, let alone the notion that its collapse, according to Alan Greenspan, could endanger the whole US financial system. Indeed, scarcely anyone outside a narrow professional circle had even heard of LTCM.

金融危機が予想通りの形をとる事は滅多にない。
アラン・グリーンスパンによれば、1998年にLTCM破綻するなどと予想する事は不可能であり、ましてその破綻などという考えはアメリカ金融システム全体を危険にさらしたかもしれない、との事。
確かに、狭苦しい専門家サークルの外側にいる人間で、LTCMを聞いた事のある者すら滅多にいなかった。

But it was possible to imagine that something like LTCM would happen - and a number of analysts and commentators did.

しかしLTCMのような事が起こるかもしれない、と想像する事は可能だった…そして、多くのアナリストやコメンテーターは、想像した。

Heaven knows what today's equivalent to LTCM is, or what the particular bet is which will prove a risk too far.

どの今日版LTCMが、またはどの賭けが、リスクを取り過ぎたと証明するのか…それは神のみぞ知る、である。

My own instinct is that for all the risk taken in the US housing market, the financial system is more at risk from a reversal of the so-called carry trade, in which operators borrow, unhedged, in low interest currencies, principally the yen and Swiss franc, and then invest the funds in high interest currencies, including US dollars and sterling. This has been the route to easy money but at some point a lot of people are going to come a cropper.

私の直感は、アメリカ住宅市場で取られた全てのリスクにも拘らず、金融システムにとって、運用者が主に日本円やスイス・フランといった金利の低い通貨で借入、アンヘッジして、その後、米ドルや英ポンドを含む金利の高い通貨でファンドに投資する、いわゆるキャリー・トレードのリバーサルからのリスクの方が大きい、と言っている。
これは低金利資金の入手ルートだったが、或る時点になれば、大勢が収穫に走るだろう。

There are three key rules to investment to which you must hold fast: high returns come with high risk; if it looks too good to be true it probably is; it isn't different this time.

君がさっさと学ばねばならない投資黄金律は3つある。
一つ、高利回りに高リスクはつきもの。
一つ、ありえない程うまい話は多分ありえない。
一つ、今度こそ、は幻想である。

To this classic list there could now perhaps be added a fourth, which has less universal relevance but which will resonate here in the UK this week: beware central banks bent on raising interest rates.

今こそ、この古典的なリストに、多分4つ目を加える時だろう…汎用性は低いのだが…でもここイギリスではそうだそうだと言ってもらえそうだ…。
金利引上熱中症の中央銀行に気をつけろ、だ。

This Thursday rates will rise to 5.75pc. But they won't stop there. Reach for your tin hats.

今週木曜日、金利は5.75%に引き上げられる。
が、そこで止まんないし…。
全員ヘルメット装着~!!



↓ま、気が向いたらヨロシク





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2 コメント

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Unknown (ちゃたぽんV)
2007-07-03 15:24:22
喜多さん

毎度。お気遣いコメントをいただきありがとうございました。おかげで少し元気が出てきました。○○Max8と11はどこが違うのか、人体実験をやって報告します。

今回も、とても啓蒙的な記事をご紹介いただき、ありがとうございます。勉強になりました。Bootleさんの記事にリンクしていたMouldsさんの記事に「サブプライム債務者が破綻したら、サブプライムローンを裏付けとして発行されたABS保有者が被害を受け、さらにこのABSを原資産として組成されたCDOの債券保有者に損失が波及する」旨の記述がありました。そこでふと考えたのですが・・・・。

金融取引に共通するのは、将来リスクと現在価値を交換するという約束ですが、リスクが顕在化したらそれを誰がどのように負担するか、ある程度明確になっていなければなりません。かりに、外部ショックによって金融機関がいっせいに資金ショートしたら、金融システムを守るため、中央銀行が流動性供給を行う必要があります(LTCMの例)。その前提として、「何時、どれだけのリスクが顕在するか」について、画一的かつ明確な基準が存在しなければならないはずです。ところが、CDOなどに仕組んでしまうと、そのリスクの把握が容易でなくなります。投資家が分からないのはもちろん、組成している人間にも分からないかもしれません。このように考えてくると、そもそもリスクの所在が分からなくなるような金融商品を組成すること自体が、市場に対する詐欺として「違法」ではないかと思うのです。たしかに、キャッシュ・フローのトランシェを「テキトーに」切り分けるのは誰でもできます。しかし、それはあくまで、その金融商品に内在するリスクが「何時、どれだけ顕在化するか」というモノサシがあることが前提で、もし投資家が自身のリスク計算によって投資判断することが最初から不可能だとすれば、それは金融商品として「ダメダメ」なのではないでしょうか?金融工学によっていろんなリスク特性を持つ商品設計が可能だということと、それを「市場で売ってもいい」ということは別です。「リスクがいつまでも出てきませんよ」なんていうのは、やるやると一緒で、詐欺そのものです。

>最終的にはシステムのどこに落ちるのか、完全に理解していないのだ

ここ、考えてみたいです。中央銀行の役割と、会計・税務、法的ルールとの関係なども書きたいのですが、時間がないので、また別途おじゃまさせていただきます。失礼しました。


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ちゃたぽんVさん (喜多龍之介)
2007-07-03 20:25:18
毎度です。

いや~、今日は「そんなバッタもんじゃなくて、アリナミンのめ、アリナミン」と叱られました。
明日はアリナミンに挑戦してみよう…。

>Mouldsさんの記事に「サブプライム債務者が

これを読んで見に行ってみましたが、なかなか分かりやすいですね。
タイムスはちーーーっとも取り上げてない感がありますが、流石最後のクオリティ紙を名乗るテレグラフ。
そういう読者が多いからかも知れませんが、粘り強くやってますね。

>「何時、どれだけのリスクが顕在するか」について、
>画一的かつ明確な基準が存在しなければならないはずです。
>ところが、CDOなどに仕組んでしまうと、
>そのリスクの把握が容易でなくなります。

ええ、これ「いちカイにヤリ」さんで読んで初めて「なるほど!」と膝を打ったのですが(それまでわかってませんでしたので:照)、こういう事だから「詐欺」と感じてしまうわけですよね。
しかもこれほどの規模になってるわけで、買う人・投資家だけに影響だけで済むわけではなく、国全体、というかグローバライゼーションとやらの進んだ素晴らしい国際金融システムのおかげで「親亀こけたら皆こけた」なわけで。
蝶々が山ほどパタパタしている現状は非常に空恐ろしく…。

>金融工学によっていろんなリスク特性を持つ商品設計が可能だ
>ということと、
>それを「市場で売ってもいい」ということは別です。

ああ、それを良心というか、プロ意識を持った専門家が声を大にして言うべきでしょう。
現状では外から門外漢が「やばいんじゃね?」とざわざわしているだけで…。
それじゃあたとえ今回なんとか出来ても、必ず次の「小賢しい金融商品」が出てきて同じ事の繰り返しになるのではないんでしょうか。
そしてまた餌食になる人がわんさとでる、と。
でも資本主義、市場主義の世の中でそれを期待するのは大変難しいというかほぼ無理。

じゃ、それを防ぐにはやっぱり大衆煽動のショック療法で、一般人の嗅覚をレベルアップしておくしか予防法はないんでは?

ということで、今回のプライベート・エクイティ騒動なんですかね?

でもイギリス人の住宅差押えの嵐は、前回から10年そこそこしか経ってないんですよ…それなのにまたやっちゃった、わけです。

カモがいるかぎりサギはいる、って事ですかねorz
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