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納税者として財政赤字を考える

2013-08-22 12:32:58 | 塾長のまじめな話
今年10月、景気好転の状況を判断して、阿部首相は消費税を増税するかどうかを決定します。
まだ決まっていない「消費税増税」の意味を考えてみました。


そもそも日本の国の財政赤字は国の借金ではなく、行政府の赤字です。
その赤字の責任は、国民にあるのではなく、立法府と行政府にあるのです。
行政府は国債を発行して赤字を埋め合わせしています。
国債の買い手の多くは国内の銀行、民間企業、郵便局、個人なので、国民は債権者です。
したがって、財政赤字で国が破たんするわけではありません。
かと言って、いつまでも赤字を背負い続けることは「子どもたちにツケを回すことになるので」良いことではありません。


そこで政府は消費税を上げ、税収を増やし、財政赤字の増加を止めようとしています。
しかし、税金を上げても税収は増えません。

『ここ20年間、税収は、増減を繰り返してきましたが、基本的に名目GDP値に連動しています。
1997年の消費増税(消費税3%⇒5%)の際にも、政府は税収が増えると喧伝していました。
しかし、消費増税が消費不況を招いた結果、名目GDPは523兆円(97年)→512兆円(98年)→505兆円(99年)と減少し、
その結果、税収も54兆円(97年)→49兆円(98年)→47兆円(99年)へと大幅に落ち込みました。
国の税収は、名目GDP×税率×税収弾性値で概算することができます。』

それではどうすれば、税収が増え、赤字を減らすことができるのでしょうか?

◆経済成長すれば、税収は増える!

『産経新聞の編集委員兼論説委員の田村秀男氏は、先ほどお伝えした計算式の「税収弾性値」について解説しています。
(7/14 産経「【日曜経済講座】アベノミクス効果で税収増 消費増税なしの財政再建可能」)

「税収弾性値」とは、GDP伸び率1%に対して、どのくらいのパーセントで税収が増えるかを示す数値です。
財務官僚は弾性値を1~1.1程度と見ていますが、多数の民間の研究者は、弾性値は少なくみて2.5、平均で3、
特に現在のように景気の回復期には4に達すると算出しています。
すなわち、経済成長すれば、GDP伸び率の3倍前後の伸び率で、税収が増えるのです。
それを裏付けるように、先日、2012年度(11年4月~12年3月)の税収が、これまでの予想を1兆円上回り、
43兆円台になる見通しが発表されました。
(6/20 朝日「12年度税収、1兆円増見通し 景気回復で43兆円台に」)

2012年度は、法人税が30%から25.5%へ引き下げられたにもかかわらず、景気回復によって、法人税収が7千億円、
所得税が3千億円、合計1兆円もの税収増となったのです。
2012年度税収に対するアベノミクスの影響は3ヶ月間程度に過ぎません。年間に直すと4兆円程度の税収増と推測されます。
田村氏は、2013年度で名目GDP成長率3%を達成すれば、税収は9%増え、約3兆9500億円増となり、
2014年度もGDPが3%成長すれば、13年度に比べて4兆3100億円税収が増えると推測しています。

増税しなくても、景気回復すれば、相当な税収増を見込むことができるのです。

消費税増税法案はすでに昨年国会で可決しました。
しかし、付則条項「平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる」
消費税の増税を止めることができるのです。

1997年に消費税の増税を行う前年の1996年の実質GDP成長率が2.6%でしたが、増税後に景気が停滞し、金融危機を引き起こし、長期不況が続きました。
現在、景気が上向いているとはいえ、2013年の経済協力開発機構(OECD)が発表した日本の実質成長率は1.6%であり、景気条項の定めた水準に達していません。

このタイミングで消費税を上げれば、上向き始めた経済成長は止まり、景気は停滞します。景気の停滞は経済の停滞にとどまらず、日本の国力の停滞・衰退を意味し、対外的に不利な立場に追いやられることになります。

納税者として、安易に財務省の思惑にゆだねることなく、国民として国の存亡を思う気持ちで、国の財政や支出にもっと関心を持ち、選挙で選ぶ国会議員に対しては主義主張や行動規範を厳しく問う必要があるのではないでしょうか?

それが国民の権利であり、義務だと思います。
「寄らば大樹」「寄らばお上」ではなく「民主政治は与えられるものではなく、国民としての正当な権利を主張していくもの」と理解し、いつの時代にも当てはまることと胸に刻んでおきたいものです。

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