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216427 米国金融資本の2勢力=熱心なキリスト教信者と帝国主義的な経営管理論者

2009年10月04日 | アメリカ:闇の支配勢力と略奪闘争
216427 米国金融資本の2勢力=「真面目で熱心なキリスト教信者」と「帝国主義的でプロフェッショナルな経営管理論者」
  猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 09/10/04 AM09


『「米国金融資本の2つの勢力」(EJ第2666号)』(Electronic Journal)リンクより転載します。
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米国の金融資本には、対照的な2つの勢力がある――原田武夫氏はこう指摘しています。これら2つの勢力は、全く違う価値観を持ち、対立してきた歴史を持つのです。

これらは、「リベラル」と「保守」に分けることもできますが厳密には次の2つのグループになるのです。
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 1.中世キリスト教にも通じる「地域主義」「共同体主義」を
   信奉する、真面目で熱心なキリスト教信者 ・・・ 銀
 2.プロテスタン的な宗教観を持ち、国外に打って出る帝国主
   義的でプロフェッショナルな経営管理論者 ・・・ 金
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1のグループは、いわゆるキリスト教原理主義者であり、富を自己増殖させるマシーンである「銀行」を快く思っておらず、反銀行論の立場を取るのです。

米国は建国初期において、地域的金融機関が隣国・メキシコで豊富に採掘される「銀」を地域通貨として使ってきた歴史があるので、このグループは「銀」と呼ばれるのです。

2のグループは、1のグループとは対照的な考え方を持っています。このグループは、ジャン・カルヴァンに由来する教義――神から与えられた職業を営むなかで利殖を行うのは信仰心の現れであるとして、よりプロフェッショナルな経営を行い、米国全体が経済を拡大し、富を蓄積すべきであると考えるのです。

このグループは、地域通貨としての「銀」ではなく、国際通貨としての「金」に高い価値を見出すところから、「金」のグループと呼ばれるのです。

これに関して、米国を世界最強の金融王国に押し上げた原動力について原田氏は次のように述べています。
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 いうなればアメリカは、銀を地域通貨として「国内」に基盤を
 持つ地域銀行の勢力(利殖をよしとせず反銀行論的な立場)と
 国際通貨である金本位制を促進して、「国外」へと打って出た
 「越境する投資主体」の勢力(プロフェッショナル経営管理論
 を駆使して、できるだけ権益を広げ、富を蓄積する立場)とい
 う、まったく相反する価値観が常にぶつかり合い、激しい闘争
 を繰り広げてきた国なのである。それがアメリカを世界最強の
 金融立国へと押し上げてきた原動力でもあったのだ。
                      ――原田武夫著
        『計画破産三国家/アメリカの罠』/講談社刊
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「越境する投資主体」、すなわち、金融マフィアが世界各地に進出し、米国の権益を拡大して巨額の富を収奪する――しかし、ときとして致命的な失敗をします。そうすると、排他的で国内に基盤を持つ地域銀行が台頭し、内向きの外交方針――モンロー主義に転換するのです。「金」から「銀」への転換です。

今回のサブプライム・ショックは、まさにこの転換に該当するといえます。共和党から民主党への政権交代もこの転換と無関係ではないのです。米国はこのように価値観の異なる2つのグループは、何かというとつねにぶつかり合い、激しい闘争を繰り広げその結果として米国を世界最強の金融王国に押し上げる原動力になったのです。

さて米国の「計画破産」のシナリオの第一幕の出演者は、ブッシュ前大統領と元ゴールドマン・サックスのCEOであったポールソン前財務長官です。原田氏によると、ブッシュ前大統領の役回りは、「目の前にある危機にあえて緩慢に対処することで、より深刻化させることあった」としています。確かにブッシュ前大統領の動きは緩慢であったし、事態は深刻化しています。

これに対してポールソン前財務長官は、古巣であるゴールドマン・サックスをはじめとする「越境する投資主体」が株価の下落局面でしっかりと稼げるよう金融株に対する空売り規制を解除するとともに、一方で「金融セクターに対する監督・規制の強化」を打ち出しているのです。

もともとポールソン前財務長官は、自由主義的な金融政策を推進する人物ですが、そのブレーキになるような「監督・規制の強化」を打ち出したのです。もし、本当に金融セクターへの監督・規制を強化すると、「越境する投資主体」の手足を縛ることにもなるのです。どうして、こんな方針を打ち出したのでしょうか。

原田氏は、監督・規制の強化は、確かに「越境する投資主体」の手足を縛るが、それ以上にこれから台頭するであろう地域銀行を抑えることにつながるとして、ポールソン前財務長官の動きを次のように述べています。
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 ポールソン前財務長官の行動は、一方で「反銀行論」の首が草
 の根の民主主義の伝統と共にもたげるのを未然に防ぎながら、
 他方でニューヨークを牛耳るアメリカ系国際金融資本からして
 依然、厄介な存在である地域的金融機関の淘汰を一気に進める
 という実利があつたのだ。そして20世紀初頭における展開と
 のアナロジーでいえば、そこには明らかにアメリカ系「越境す
 る投資主体」たちがこれまでのビジネス・モデルを食い散らか
 し、次のモデル、別のターゲットヘと移りつつあることを示し
 ているに違いないのである。        ――原田武夫著
        『計画破産三国家/アメリカの罠』/講談社刊
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確かにこのシナリオの第一幕の出演者であるブッシュとポールソン――とても水際立った処置とはいえなかっのです。金融機関が抱える不良債権を買い取るために用意されたTARPの資金を「ビックスリー」に使うなど、かなり場当たり的な対応だったことは確かです。さらにポールソン前財務長官にいたっては、昨年末の時点で「米政府は金融危機に対応する手段を十分持ち合わせていない」などと発言して顰蹙を買ったのです。要するに緩慢に対応したのです。 

 ~後略~
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