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223505 「もう同じ過ちは繰り返すな!2009年に得た厳しい教訓」~ジョセフ・スティグリッツ②

2010年01月06日 | 経済破局か?市場の軟着陸は可能か?
223505 「もう同じ過ちは繰り返すな! 2009年に得た厳しい教訓」~ジョセフ・スティグリッツ~②
  猛獣王S ( 30代 営業 ) 10/01/05 PM10


223504の続きです。
『ジョセフ・スティグリッツ教授特別寄稿「もう同じ過ちは繰り返すな! 2009年に得た厳しい教訓」』リンクより転載します。
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■歪んだイノベーション

第三の教訓は、ケインズ派の政策は機能するということである。

オーストラリアなど、大規模で巧みに構想された景気刺激策を早期に実施した諸国は、今回の危機からいち早く回復した。だがそれ以外の国は、今回の混乱の張本人である金融専門家が押し付ける従来の正論に屈してしまった。

経済が後退期に入ると、必ず財政赤字が発生する。税収が歳出よりも速いペースで減っていくからだ。従来の正論では、増税か歳出削減により赤字を削減しなければならないと説く。「信頼回復」のためである。

しかしこうした政策はほぼ必ずといっていいほど総需要を低下させ、経済をさらに深刻なスランプへと押しやってしまい、さらに信頼を低下させる。最新の例では、1990年代の東アジアにおいて、IMF(国際通貨基金)がこのような政策を主張していた。

第四の教訓は、金融政策とは単なるインフレ対策だけではないという点である。

インフレに過大な関心を注ぐあまり、一部の国の中央銀行は、金融市場で起きている状況に無頓着になってしまった。資産バブルが無制約にふくらんでいくのを中央銀行が放置することにより経済が負担するコストに比べれば、緩やかなインフレによるコストなど微々たるものにすぎない。

第五の教訓は、すべてのイノベーションがより効率的で生産性の高い経済に結び付くわけではない、いわんやよりよい社会にもつながらない、という点である。

民間のインセンティブは重要であり、それが社会的な利益とうまく整合していない場合には、結果的に、過剰なリスク志向、過度に近視眼的な行動、歪んだイノベーションをもたらしてしまう可能性がある。

たとえば、近年の金融工学上のイノベーションの多くについては、そのメリットは実証困難であり、もちろん数量化もできない一方で、それらに伴うコストは、経済的にも社会的にも明白かつ巨大である。

事実、金融工学は、普通の市民が家を保有することに伴う単純なリスクを管理するうえで役に立つ商品を生み出しはしなかった。こうして、数百万もの人びとが家を失い、さらに数百万の人びとがその可能性にさらされる結果となったのである。むしろイノベーションは、低学歴の人びとに対する搾取を完璧なものにし、市場をより効率的で安定したものにすることを意図した規制や会計基準を逃れることを志向していたのである。その結果、本来はリスクを管理し資本を効率的に配分するはずだった金融市場は、リスクを生み出し、でたらめに配分してしまったのである。

われわれは過去の危機からも同じ教訓を学んだはずだが、さて、今回の危機ではこれらの教訓を以前よりもしっかりと学んだのだろうか─その答えは近いうちに出るだろう。

2010年、米国をはじめとする先進工業諸国において金融部門の改革が大幅に進展しない限り、残念ながらわれわれはまた同じ教訓を学ぶ機会に直面することになるかもしれない。
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