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270096 中国はなぜ嘘の成長率を誇示するのか~実はマイナス成長たる中国の実態

2012年11月09日 | 経済破局か?市場の軟着陸は可能か?
270096 中国はなぜ嘘の成長率を誇示するのか~実はマイナス成長たる中国の実態
 
猛獣王S HP ( 42 営業 ) 12/10/28 PM09 【印刷用へ
『中国はなぜ嘘の成長率を誇示するのか』(田村秀男の経済がわかれば、世界が分かる)リンクより転載します。
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【国際政治経済学入門】中国「7%台成長」のからくり

10/24 産経エクスプレス

メディアは「中国経済の減速」を連日のように報じているが、ちょっと変だと、多くの読者は首をかしげているだろう。何しろ、中国の国内総生産(GDP)伸び率(速報値)は物価の影響を除外した実質ベースでこの第3四半期(7~9月)7.4%、1~9月の累計で前年比7.7%に上る。実質7%台の経済成長なんて、デフレ不況にあえぐ日本人の目からして「超高度成長」と言ってもおかしくないのに、なぜ中国に限っては「超低成長」とみなされるのだろうか。

答えは、中国のGDP統計はウソだらけだからである。第一、人口13億人以上の巨大な国が9月までのGDPを2週間あまりの後の10月18日に発表できるなんていかにも早すぎる。米国だって第3四半期のGDP速報値は10月26日発表予定で、日本のそれは11月12日にやっと明らかになる。

■3つの指標で測定

中国GDP統計のインチキぶりを認めているのはほかならぬ、中国政府高官である。内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国の外交公電によると、中国の李克強副首相は2007年3月、遼寧省の共産党委員会書記(遼寧省の事実上のトップ)だった当時、C・ラント駐中国米大使に向かって、中国のGDP統計は人為(MAN-MADE)で信頼できないと明言した。李氏はそこで、電力消費、鉄道貨物輸送量と銀行融資の3つの指標をもとに実際の経済成長速度を測定する、と語った。特に、「重量をもとに運賃を計算する鉄道貨物量はかなり正しい」「銀行融資実行額も支払い利息を計算するために正確」と説明した。

李氏は11月8日から始まる5年に1度の中国共産党大会で、党中央政治局常務委員会(9人で構成)でナンバー3の座に昇格(現在は7位)し、来年3月に温家宝首相の後任となる見通しだが、生真面目な実務家として知られる。その李氏の説を参考にして、鉄道貨物輸送量とGDPの年ごとの月別累計値の伸び率を比較したのが、本グラフである。

興味深いことに、1~9月のGDP実質成長率は7.7%なのに対して、鉄道貨物輸送量はマイナス0.8%に落ち込んでいる。鉄道貨物輸送量がマイナスになったのは08年9月のリーマン・ショック後の09年1月から11月以来である。今年のその急落ぶりは、リーマン後の再来を思わせる。

ところが、GDP伸び率の方はリーマン時でも最低で6.6%のプラスで鉄道貨物と大きく差が開いている。ことし1~9月も同様である。鉄道輸送データがより信頼できるとすれば、リーマン不況時には一時的にGDPが前年比マイナスになっていてもおかしくない。類推すれば、現局面でもGDPはマイナス成長かまたはゼロ成長近傍になっているとも読める。

そこで、李氏がもう一つ、推奨している銀行融資の伸び率はリーマン不況時とほぼ同水準に下がっている。融資の中でも、企業の資金繰りを反映する短期融資は急上昇しており、リーマン不況時を大きく上回る。中小企業などの運転資金が明らかに不足に陥っている。景気実体はかなり深刻だと類推するのが自然である。

■出世競争のための投資

GDP統計値はなぜこうも過大になってしまうのだろうか。原因は中国共産党の政治体制そのものにある。

中国の統治システムは北京の党中央政治局を頂点にしたピラミッド型になっており、政治局常務委員につながる人脈が地方の党幹部まで延々とつながる。こうした人事は共産党大会で最終的に決まる。地方に配置される党官僚は現地の省や市町村の経済発展を競う。その地域の成長率が高ければ高いほど、中央で評価され、出世競争で有利に立つ。成長率を底上げするためには、公有制の土地の占有権を開発業者に切り売りしてビル、マンション、工場などに投資させる。GDPとはしょせん、消費、投資と輸出の合計値なのだが、消費や輸出は党官僚の手では増やせないが、投資だけは政治主導で増やせる。リーマン後、党中央は国有商業銀行に対して融資を一挙に3倍増やすよう指示したことから、地方政府を牛耳る党官僚がそれに乗じ、不動産開発ブームが起きた。その結果、中国は世界でもいち早く、リーマン不況から立ち直った。

ところが、過大な投資のあとには不動産や生産設備の過剰が表面化し、一挙に不況局面に突入した。そのタイミングで党大会が開かれる。党官僚は自身が責任を持つ地域の成長率を平常時にも増して過大に申告する。正直に低成長率を報告すれば、無能の烙印(らくいん)を押され、出世コースから脱落すると恐れるのだ。この地方データが集計されて、中国全体の成長率が北京によって発表される。かくして、この党大会で10年間の総書記の任期を終える胡錦濤氏は、GDPで日本を抜いて世界第2位の経済大国になったと成果を誇示するのだろう。
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