キはキモノのキ

キモノ‥愛してます

芸術堪能!

2006年12月17日 | 今日のキモノ

 今日は和裁仲間のきょうこちゃんと古川美術館に行く予定でした。11月11日の記事『○○の秋』で書いた美人画などの展示を一緒に観ようと思って。ついでにちょっと足を伸ばして覚王山のおなじみ昔キモノの『きむら』にも行っちゃおう、という目論見。

 当然、キモノで出かけました。今日のキモノは以前『きむら』で求めた竹柄大島(10月10日の記事「き楽寄席 笑福亭小つる 金沢落語会」)に薄緑草花柄塩瀬、これは私には珍しく新品のもの。半衿は抹茶色麻の葉、帯揚は朱鷺色絞り、帯締めは雪輪柄。足袋はきママのところのカウプレさくらんぼつき。そして、銘仙すずらん道中着を羽織ってでかけました。
 #着姿写真は後日アップいたしますのでちょっと待っててね。

 さて、待ち合わせてまずは覚王山でランチ。そのままあちこち寄り道しながらゆっくり参道を進み、『きむら』へ。
 『きむら』、近ごろは行くとたいてい誰か知った人がいるキモノ乙女のクラブハウスみたいになっていますが、今日もまた。白雪ママさん・ぶるちゃん・にっぽんちゃんが楽しくおしゃべりしながらホリホリしていました。
 

  わたくしたちもさっそく参戦です。キモノの山を掘るきょうこちゃん。
 

 おお!私を呼ぶ声がする~。さっそく羽織ってみます。この着物の柄、わかります?波間に漂う十二単たち。まるで壇ノ浦の合戦。「波の下にも都は候らうぞ‥」
   

 その他にも素敵キモノが続々です。上品な縮緬の訪問着とか、ハイジの世界みたいな景色が描かれ、刺繍が施された精巧な裾模様とか‥。

   
 左の訪問着はしっとりと身にまといます。右の裾模様は空気をまとっているみたいに軽く、動くにつれて刺繍が光を反射してまたたくのです。うっとり‥。

 帯もいっぱい見せてもらいました。

 左上から精巧な刺繍の玉手箱・面白いカニ・上品な塩瀬の刺繍・下の段ビロード?で浮き織の竹、爪綴れの薔薇‥。
 いつも『きむら』さん、惜しげもなく素敵なものを見せて、触らせてくれます。気取った呉服屋さんだと「目垢がつく」なんて言って、いいものはあんまり見せてくれないらしい。そういう世界で上得意様扱いされるってのも憧れはしますが、わたくしはやっぱりこっちの方が好きですわ。こうやって、気の置けない仲間とわいわい綺麗なものに触れていく。心から愉しいひとときです。
 (もちろん淑女であるわたくしたち、広げた着物や帯は丁寧にたたみますわ!)
    
    
  さて、こうやって見せてくれた帯の中で、わたくしのハートをがっちり握って離さなかったのは上段真ん中、カニの帯でした。もともと海産物好き、それに壇ノ浦キモノと合わせると『平家ガニ』コーデができるし!何よりカニのユーモラスな表情。なんとなく『赤塚不二夫』って感じのお目目。らぶです。
 でも、アンティークの宿命とて短い。お値段8000円、直してまでとなると‥と躊躇していましたら、着付け師範のきょうこちゃんが工夫して結ぶやり方を教えてくれました。お太鼓の下に一本余分に紐を通して押さえれば、テが足りなくてもちゃんと模様が出せる!短いテは写真のように扇にして飾ってもいいし、隠してもいいし。
 
 これを教えてもらって心が決まり、カニさんはうちの子になりました。『壇ノ浦』は考慮中。でもきっと遠からず‥。

 夢中で着物や帯を羽織ったり巻いたりしていましたら、いつの間にか美術館は閉館時間に。あっちの芸術じゃなくてこっちの芸術を思いっきり鑑賞してしまいました。きょうこちゃんには申し訳なかったけれど、お初の『きむら』さんを喜んでくれたのでまぁよかった、かな。きょうこちゃんにも戦利品あったし。
   古川美術館には近いうちに出かけましょう。でも今度のときは先に美術館に行って、後から『きむら』に寄ろうと思いました。そうでないとまた、こっちの芸術に溺れてしまいそうです。