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キはキモノのキ

キモノ‥愛してます

旅行ブログつくりました/衣更

2007年05月14日 | キモノとわたくし
 え~、恥ずかしながらドイツ旅行のブログも作り始めました。
 「ドイツ&リヒテンシュタイン旅行記」http://blog.goo.ne.jp/ty054/

 このブログの記事と一部重複するところもあるかと思いますが、よろしかったらのぞいてみてくださいませ。
 ‥いんやー、いまだに舞い上がっているのがバレバレでございます。

***
 それはともかく。
 みなさま、衣替えはいかが進行なさっていますか?わたくしは、ゴールデンウィーク後半に一生懸命いたしました。

 そしたら。 袷の着物を全部「あっちの箪笥」に移して、単&薄物を「こっちの箪笥」にもってきましたら。
 なんと!「こっちの箪笥」に空きがあるではありませんか。いやーん、まだ買えちゃうじゃーん。ぷぷぷ。

 うんにゃ、いやまて葉よ。袷は「あっちの箪笥」からすっかりあふれて、畳紙に入ったまま箪笥の上に積みあがったりしてるぢゃないかっ。トータル的に考えて空きなんぞないぞっ!!自重せよっ!!

 ‥てなふうに、白い葉と黒い葉がたたかっております。
  箪笥がぎゅうぎゅうでも、骨董市とかには行きたいし。衣替えでできた仮の「空き」。すごく危険ですわ。
 みなさまはこの季節、どのよに乗り切っていらっしゃるのでしょうか?

ドイツから帰ってきました

2007年05月03日 | キモノとわたくし
 本日、ドイツ&リヒテンシュタインより帰宅いたしました~!

 7日間の旅、キモノを着たのは2日目と4日目の2日間。どちらの日も、日中は少し暑いかな?程度で、朝晩の冷え込みを思うとちょうどよかったです。

 キモノ、綺麗な色柄だってドイツやリヒテンシュタインの方にとても誉めてもらえましたよー。帯も結びやすくって、快適でした。
 どうもありがとう>すうちゃん

 「うまこ草鞋」石畳の坂道や丘の上の城へ向かう山道ですごく威力を発揮しました。とっても活動的。
 どうもありがとう>うまこさん

 写真も例によってたくさん撮りました。鋭意整理中。着姿を見ていただけるのは明日以降になるかと思います。見てね。

 ずっとお天気もよく、シュパーゲル(白アスパラ)やビールなど、美味しいものもたくさん。いろんなひとに優しくしてもらって綺麗な景色を見て、とてもいい旅でした。
 またいろいろお話しますので、聞いてやってくださいねー!

旅支度

2007年04月25日 | キモノとわたくし
 昨日は半日、キモノ用旅支度にかかっていました。現地在住の友人の話では、このところ南ドイツは最高気温20度半ばの日が続き、暖かいというより暑いらしい。
 持って行く予定の着物は袷。涼しくせねばということも考えた旅支度。

・着物に半襦袢の替え袖を直接縫いつけました。
・半衿は「つけ衿」を使うことにし、ファスナーで交換できるようにしました。
・着物の下は浴衣用の汗取り下着。

 これで長襦袢ぶん着るものが少なくなって、楽になるはず。
 帯はリバーシブルなので、それにあわせて半衿と帯締めは2つずづ用意しました。
 そして、「うまこ草鞋」と、その下に履くタビックスと。
 これで、キモノ準備完了!

 さあ、旅立ちは明日です。

八掛あそび

2007年03月02日 | キモノとわたくし

 この記事は2月7日「目の保養‥」の続き、です。

 先日和裁に行きましたら、先生のお宅に前みんなが注文した品が届いていました。
 お買い上げした和裁仲間のお姉さまがニコニコと言います。「葉さん、私の八掛、見たい?見たい?」
 なにやら素敵なことがある様子。
 「もちろん!見せて~」「しょうがないなあ、見せてあげるわ~(大ニコニコ)」
 反物の詰まった大きな箱をやっこらしょうと開けて、出てきたのはこの組み合わせ!

  
  上の細かい格子が反物、下のコスモスが八掛!

 遠めには無地に見えるくらいの細かいグレーの格子、上品だけど地味な感じだったのですが‥この色この模様の八掛を合わせると、なんとまぁお洒落じゃありませんか!
 聞けばこの八掛、先生のお見立てだそう。さすがです。
 八掛って、歩くたびに翻ってちらちら見えて、動く所だからとても目立つんです。粋だわ~。素敵~!!

 それを見ていた和裁仲間のひとり「私もそんな風にしたいです~!」
 彼女は手持ちの単紬を袷に仕立て直してもらおうと、持って来ていたのです。たまたま家にあった八掛がちょうど色が合うのでそれで行こうという話になっていたのですが‥
  
  これだって全然悪くはないけど

  
  上の八掛を合わせるとこんなふうに可愛くなる!

  こんな組み合わせもいいわあ。
  

  「お誂え」の楽しみって、こんな所にもあるんだなぁとあらためて思いました。そして、またしてもひとの財布で勉強し楽しませてもらっちゃった。すまんです。
 いつかお誂えする時は、表地の反物ばかりでなく、八掛との調和もうんと考えて作ろう!と決心しました。うんとオーソドックスでじみーな表にあらまっというような八掛‥うっとり‥。

  そして、私も無地の単紬を持っている‥袷に直して柄八掛を選んでなんてオオゴトは今のところちょっと手が届かないけれど、奥身の「ちら」と翻るところになにかハギレでいいのをつけて楽しむこともできるなーと思いました。(ただしそれをするとけっこう重くなるそうです。八掛用の生地はやはりそれ用に作っているので違うそう)
  
  他にこんな柄八掛の反物もありました。ほんと、キモノって楽しい! 


目の保養‥

2007年02月07日 | キモノとわたくし

 和裁の先生と長いつき合いの呉服屋さんが、先生のお宅に反物や帯をたくさん送ってきてくれたというので見に行ってきました。おうちでのキモノ展示会のようなもの。普通の展示会だと店員さんがついて回っていろいろ勧められたりするのが煩わしくて行きにくいのですが、そういうひとがいないので(先生が「来なくていいから!」と断った)ゆっくりいろいろ見られる!と、わくわくしながら出かけていきました。

 先生のお宅、リビングと続きの和室には反物や仮絵羽状態のきものや小物がいっぱいに広げられ、先に来たひとたちが賑やかに着物談義をしていました。

 わたくしがまず見たのは「洗える着物」。一枚も持っていないので、この際買ってもいいかしらと思って。「洗える着物」だけで大きな箱に2箱、気になったものを片っ端から当てていきました。楽しい柄がたくさん。トランプ柄や、「風神雷神」や‥。
 

 わたくしが気に入ったのはこの「風神雷神」。生地の質感もよろしく顔うつりも良く、遠めには市松に見えて近くによると風神雷神の柄。「洗える着物」を着るのは雨のときだからちょっと洒落も効いてていいかしらと思って。「黒い八掛をつけたら粋じゃない?」など、おしゃべりしあって、夢が膨らんでいきます。
 値段は‥反物5万円弱。胴裏・八掛・仕立て代を加えると8万円くらい(たれものの袷は自分で縫えないので)。8万円かぁ‥。
 一緒に反物を見ている人は2反3反と選び出して取り置いています。でも、わたくしは決心がつかず‥

 決心できないまま、絹モノの方を見ていきました。やっぱり絹の手触りは気持ちいい。これも片っ端から当てていきます。と、そこにわたくしの目をハートにするものが!
 
 我が名ゆえ惹かれる葉っぱ柄、とても柔らかい縮緬地に柿渋染の色もはんなりと。「それにはこの帯揚げがぴったりよ~。帯締めはこれなんか素敵」先生が箱から選んでくれた帯揚げ帯締めが、これまたぴったりで~。
 でも、お値段は‥にじゅうまんえん弱!!に~じ~う~ま~ん~‥プラス胴裏八掛仕立て代~~‥
 無理すれば出せないお金ではないけれど、趣味で着るもんにそんなに使う~~‥と、心は乱れます。すてき~でも~すてき~でも~とココロに繰り返すヘタレなわたくし。

 これまた保留にしたまま、仮絵羽の訪問着のところへ。こ、ここまで来ればもう手の届く値段ではないから心安らかに見ることができます。店員さんのいない気安さ、仮絵羽を羽織ってファッションショー。こーんな素敵な宝尽くしの訪問着も羽織らせてもらいました。
 

 いい気になってあれこれと羽織っていましたら、また現れたのです、目をハートにする着物!しかも!赤札で半額以下のじゅうまんえん!!
 
 江戸小紋に裾と袖にストライプ模様のある訪問着で、この江戸小紋が我が偏愛の「雪輪」だったのです!
 「これはいいわよう、どっしりといい縮緬。模様づけも上品だしお洒落だし。帯ですごくいろいろ着られるから便利。10万円はお買い得だわ」先生も勧めてくれます。マージンが入るわけではない専門家の言葉。説得力ありまくり。心、激しく揺れます。
 わたくし「帯はどんなのがいいでしょう?」先生「そうねー、例えば‥」

 スワトウ刺繍の帯、市松落ち葉帯。なるほど、スワトウ刺繍の方はフォーマル感あり結婚式にも行ける。落ち葉の方は粋です。秋のお出かけであればパーティーでも歌舞伎でもばっちり!。
 和裁仲間で着物お出かけすることがたまにあるのですが、そのときの先生の装いはきりっとあかぬけた感じで、さすが!と思っていました。そのセンスを分けてもらっている感じです。しょっちゅうキモノを着ているわたくしですが、こういう「きちんとしたキモノ」には自信がないのです‥うーん‥。

 どんどん心惹かれてうなっていましたら、和裁仲間のひとが「これは?」と。先生も「いいじゃない~」と小物を合わせてくれました。 
 この帯も、赤札で半額以下になっていたのです。はちまんえん。しなやかに軽く、しかも精巧な織。金と銀のこの組み合わせは、確かにコーディネイトしやすい。この着物だけでなく、手持ちのあれこれにも合いそうです。あああ、こころがすごく揺れています。

**
 洗える風神雷神。葉っぱ着物。そして雪輪訪問着。帯。帯〆帯あげ‥
 どれを取っても、すごく心惹かれるものでした。そして、お値段はとってもリーズナブル‥普通に呉服屋さんで買うよりもとってもお安く、お買い得なものばかりであることは、心から頷けるものでした。
 なので、一緒に見ていたひとたちは次々とお買い上げしていかれます。傍らに積みあがる「おとりおき」の山。

 ‥なのに、わたくしは。‥「お買い得!」とも「いいなあ!!」とも激しく思いつつ、なんだかどうしても買う決心がつかないまま、帰途についたのでした。
 十万円。二十万円。三十万円。いいトシですもの、けして出せないお金ではないのです、どうしても欲しいと思うならば。
 あったらいいと思うし、買ったならば後悔はしないとも思うのですが。でも、どうもそれだけのお金を出すことが思いきれなくて。

**
 家に着き、ヤフオクのウォッチリストをチェックしました。狙っていた着物が、ああ~2万円を越えています。もうあかんなあ。
 ‥と、いうのがわたくしのキモノ金銭感覚なのですな。ふふ。じゅうまんえんを「安い」と思っていた感覚から、一気に日常に引き戻されました。

 そう、キモノは、わたくしにとっては日常。お米やタオルや石鹸のように、普通の気持ちでざぶざぶと使いたおしてしまうもの。キモノを着ても、着ているってことを意識して不自由になりたくない。着てしまったら、着ていることを忘れているくらいがちょうどいい。
 そう思うと、じゅうまんえんはやっぱり重くって。
 あのキモノ、いいんだけどなあ。でもなあ。
 ‥「でもなあ」と思いつつ、出せるお金ではないよなあ、じうまんえん。

**
 新品の、上等の生地綺麗な染めや刺繍の反物を当てて、八掛は~小物は~とおしゃべりしつつ仕立てあがった姿を思い浮かべるのは、とっても愉しい時間でした。
 ひとそれぞれ、うつる色も違う。ぴったりの色を選び当てて「これにするわ~」と喜ぶひとたち。キモノが出来上がったら、もっと嬉しい笑顔に遭えることでしょう。その日も楽しみです。

 でも、今のわたくしにはまだそれは、ちょっと遠いような気がします。じうまんえん・にじうまんえんを一枚のキモノに出して自然でいられる器量がありません。
 でもいつの日か、自然にそんな買い物ができるようになりたい。その任に合うだけのキモノ人になりたいものです。

 美しい反物に触れるのはこの上ない愉しみです。普通だったら、それは「買わねばならない」というかなりのプレッシャーを受けながらでないと味わえないもの。でも、今回はおかげさまで重圧なしでほんとうにいい目の保養をさせてもらいました。セッティングしてくれた先生のおかげ、そしてお買い上げをしたみなさまのおかげで。わたくしは思いっきり見るだけ羽織るだけ、教えてもらうだけ。申し訳ないです。

 ああだけど、そんなわたくしでも、キモノ仲間は付き合ってくれます。
 それだから、みんなのしあわせ祈るのさ♪ 


写真が届きました

2006年11月26日 | キモノとわたくし

  9月に大阪に行ったとき取材を受け10月末に記事になったあの写真。


 記者のひとが「あとで写真を送りますから」と言ったのを「どーせ口だけさっ」とはすにかまえていましたが、今日届きましたよ。記事の写真(A4サイズ)と、その新聞と。カメラマンの女性の方、ありがとうございます。「どーせ」とか言っててすまんすまん。写真、大きくて嬉しいです。大事にします。

 で。
 それはいいのですが、写真も新聞も2部入っていて「お友達にもお渡しくださいませ」と。
 一緒に取材されたmikaさんに連絡取りましたら、mikaさんとこには届いているとのこと。したら、もうひとりの若い女の子か。しかし、彼女とはあの場で会ったきりで名前すら知りません。渡せんぢゃーん。もう。

 というわけで、あの日の彼女。もしもこの記事をご覧になっていましたら、どぞ連絡くださいませ。メルアドはプロフィールんとこにありますので。せっかくだからお送りしたいです。

 あらためて見るとなかなかいい写真ですわ。わたくしが後姿なのがよけいいいかも~(苦笑)。


わたしのきもの道 着付け教室編その9 比翼騒動

2006年11月13日 | キモノとわたくし

 前回までのあらすじ:『きもの道コンテスト(仮称)』に出ることになってしまった葉。お気楽な葉に、先生は前回の模様を収録したビデオを貸す。あまりに権威的かつ異様な雰囲気に葉はのけぞった。

 翌週、わたくしは自分の色留袖と袋帯を教室に持って行きました。これは、キモノ嫌いの母親が、それでもこのくらいは、と作ってくれた加賀友禅。知り合いの呉服屋さんが店をたたむのでものすごっく安く買えたけどホントはいいものなのよっと母談。鶯色のどっしりした縮緬に花鳥風月が染め抜かれた、自分でも気に入っている一枚です。大事に着てきたのであまりコンテストなどで着たり脱いだりはしたくなかったのですが‥。

 「あら、いいじゃないの、やっぱり自分のものだと似合うわね」
 羽織って見せると、先生はそう言って誉めてくれました。
 「じゃあこれで出てね。帯もちょうど合うじゃない。うん。決まったわね!」
 決まりですかぁ~‥。誉められるのは嬉しいけど、コンテストで着るのはなぁ‥と困っているわたくし。そこに先生、さらに言います。

 「ところでこれ、比翼は?『かさね』があるの?」
 「‥は?‥」

 そうです、この時までわたくし、留袖には『比翼』が要ることを全く知らなかったのです。
 礼装である留袖は、おめでたいことが重なるという意味で昔は白い着物を下に一枚重ねて着ていた。今ではそれを簡略化して2枚重ねてあるように見える『比翼仕立て』に仕立てることになっている、それが留袖の常識だ、と先生は言うのですが‥。

 「私が持っているのはこれだけですが‥」
 「あらまあ、留袖なのに比翼をつけないなんて。あまりものを知らない呉服屋さんだったのかしらねえ?じゃあね、これ、呉服屋さんに相談して、比翼をつけてもらってちょうだい」
 先生は当然といった調子で言い放ちます。
 比翼をつける?それはオオゴトなのではないでしょうか?

 「えっ‥それって、いくらほどかかるんでしょう?」
 「そうねえ、生地は着物ほどいらないけれど‥結局、着物一枚分ほどはかかるわね。だから、留袖って普通の着物の倍かかりますのよ」

 なんだってーーー!!

 「それは!とてもそんなお金は出せません~。やっぱりこの前の留袖をどれか、貸していただくほうがいいです~」
 「でも、あれではどうもあまり良くなかったでしょ。なんと言っても『きもの道コンテスト(仮称)』ですもの。似合うもので出なくてはね。」

 [出なくてはね」って、別に私出たくて出るわけではないのですが‥。先生の脳内ではそういうことになったのでしょうか。
 先生は、上位入賞するには先ずは着姿が大切だからと懇々と説いて聞かせてくれます。「あなたとても熱心ですもの」って、確かに教室では脇目も振らず練習しています。でもそれはキモノを着るのが面白いからやってるだけで、入賞目指すような種類の熱心さではないのです。「頑張れば入賞できるわよ」って、そんな期待されても困る。

 「そうは言われましても、そんな何万円も使うのは無理ですっ」
 とうとうわたくしも語尾に「っ」がつく語調で申しました。そんなお金かけんといかんなら、もうコンテストに出ること自体やめちゃおうと思いました。

 「そうねえ‥あまり無理してもいけないわねえ。‥じゃあね、私の留袖から比翼を外して持ってくるわ。それを試してみましょう」
 「はあ‥」
 比翼を外す?つける?なんのこっちゃわかりませんが、どうやら仕立て直しなどはせずに済むようです。しかし、これでこの色留袖を着て出ることに決まっちゃったようです。はあ‥。
 似合うとか似合わないとかこの際私にはどうでもいいのですが、「出るからには!」という先生の意気込みに、言い出すことができませんでした。

 それにつけても、先生に言われた「留袖は比翼仕立て」というのが気になりました。これまでこの留袖は2回、結婚式に着ていっているのですが‥そのときは自分で着ていないからよく覚えていないけれど、そんなことは何も言われなかったと思うのです。私の色留袖って、変なんでしょうか?やっぱり直さないといけないのかな?

 不安になっていましたら、和裁経験者でキモノに詳しい友人が教えてくれました。
 昔は色留袖は黒留袖と同じように考えて五つ紋・比翼つきで仕立てていたけれど、最近は色留袖は三つ紋または一つ紋で普通の袷仕立てで作ることの方が多いのだそうです(私の色留も三つ紋)。比翼仕立てにしてしまうと黒留袖の代替としてしか着られなくなってしまうけど、袷仕立てにしておけば訪問着感覚でちょっと改まった席に着ていけるから。そして結婚式などは白の伊達衿を重ねて着ればOKとのこと。

 そういえば、妹の結婚式のときはそうやって着たような気がします。なーんだ、呉服屋さん、別にものを知らんわけではないじゃん。先生はどうしてあんなことを言ったんでしょう?最近の留袖事情を知らんかったのか?知ってて言ったのか?

  「?」をいっぱい出しつつ翌週、教室に行きましたら、先生は何やら『のしイカ』のようなものを持ってきていました。
                 
                         のしイカ‥?

 これを着物の裏に縫いつけて、比翼がついているように見せるのだそう。『うそつき・比翼版』みたいなものですな。ただし、これはわたくしの着物には小さすぎるので、前と裾だけこれでカバーして、襟周りは白の伊達衿をつけて対応すればよい、とのことでした。はあー。めんどくさ。伊達衿だけでいいじゃん、というわけにはいかないのですな、「なんと言っても『きもの道コンテスト(仮称)』」に出るからには。 

     
      こうだったものを                         こうするわけね  

 うちに帰り、言われたとおりにちくちくと比翼・伊達衿を縫いつけていましたら、しみじみと可笑しくなって来ました。わたくしってば、こんな『のしイカ』着物にひっつけちゃって。ほんで、出るのがあの「き~も~のき~も~の~」擁するあのお笑いキモノ道場。ギャグの二段がさね。くくく、笑えるわぁ。

 でも、先生は大真面目にこの『のしイカ』を貸してくれたのです、わざわざ自分の着物から外して。先生にとっては『きもの道コンテスト(仮称)』というのは何万何十万をかけて当然なくらい大切かつ重要なものだから、半端な格好で出させてはいけないわ、と思われたのでしょう。その好意には感謝すべきなのかもしれませんが、申し訳ないことにあんまりありがたくない。
 先生はわたくしも先生と同じように感じていると決めつけて話をしてくるのですが(というより他の感じ方があるとは想像もしてみえないのかな)、先生の常識はわたくしの常識とかなりズレがあるわけで‥。

 すでに「自分はこのようにキモノを楽しみたい」という道が見えていたことは、わたくしにとってはとても幸いでした。もしそうでなければこの騒動で「キモノってお金かかるしいろいろめんどくさいし、やんぴー」とキモノ自体から離れて行ったことでしょう。
 それにしてもこの「お金かかるしめんどくさい」って、キモノをよく知らない人の先入観そのものです。キモノを広めたいといいつつ先入観そのままの世界を作ってどうするのだ。進む方向を間違っとるよ。

 キモノを着る技術だけはしっかりと習わせていただいた。でも、その世界の常識など習いたくない。留袖を着られるようになったことを成果として、とっとととんずらしよう。『のしイカ』ひっつけつつ、わたくしはそんな風に考えておりました。

 余談ですが‥最近知ったことですが、この『のしイカ』、『付け比翼』という名前なのですね。最近は留袖を比翼に仕立てる代わりに取り外しできる『付け比翼』を一緒に作ることも多いようです。そうすればフォーマル・セミフォーマル両方いけますもんね。先生もこれを持っていたってことは、そういう最近の事情を知らなかったわけではないと思うのですが‥どういうつもりで最初「仕立て直して」と言ったのか、今となっては謎です。 


私のきもの道 着つけ教室編その8 き~も~のき~も~の~♪

2006年11月01日 | キモノとわたくし

前回までのあらすじ:葉はおっちょこちょいにも『きもの道コンテスト(仮称)』に出ることになってしまった。しかし「黒は似合わない」と言い切られ、自前の色留袖で出るよう言われる。そんな葉に、着付けの先生は一本のビデオを貸した。

 それは去年の『きもの道コンテスト(仮称)』地区予選のビデオ。先生が力を込めて「これに出るからには!」と言うこのコンテスト、どんなものなんだろうと好奇心の炎を燃やしつつ、デッキにビデオを入れました。

 画面に映し出されたのは、舞台に居並ぶキモノの群れ。その数200人強。振袖に留袖にカジュアル、それに男性・子供・外国人・団体とそれぞれ30人強の出場者がみんな舞台上にひしめいています。華やかで目がちかちか。

 舞台に群れを乗せたまま、『きもの道学院(仮称)』理事長はじめ来賓の挨拶です。
 「キモノを着ることによって日本の心を美しく」『母親がキモノを着ている家庭では子供の発育が健やかに」「きもの道は美しい日本に続いています」‥
 聞いているとだんだんぐったりしてきたので早送りして、止めたところでは審査員の紹介をやっていました。何とか協会の会長そのほかエライ人がたくさん紹介される中で、極めつけは某元総理。アホな失言を繰り返し、地元では「県民の恥」とまで言われていたこんな奴に、うちら品定めされちゃうわけですか。げそー。

 所期の目的を見る前に疲れ果ててしまいそうなので、びゃーっと飛ばしてコンテスト『留袖の部』。
 『きもの道ランジェリー(仮称)』に着物の袖だけ通して羽織った女性が2列にずらっと並んでいます。うん、確かに色留袖はぽつりぽつりとしかいません。目立つのやだなあ。
 「はじめてください」の声で、皆一斉に丈を決め、着物を着はじめます。うわー、早い。ひとつひとつの動作に無駄がなく、やり直しがない。早い人では3分ほどで二重太鼓まで結び終わってしまいます。一番遅い人でも7分くらい。‥こりゃ、気を入れて練習しないと舞台上で大恥をかくことになるな‥焦るわたくし。
 でも、特別にすごいことはしていないから、練習しだいでは何とかなるかな‥とか考えているうちに、画面では幕間のだしものがはじまっていました。

 緞帳が上がり、美しい女声三部合唱が響き渡ります。
 ♪き~も~の~を着る~のは~すばらしいことなのよ~~(歌詞はイメージです)
 スポットライトが舞台を照らすと、そこには『きもの道ランジェリー(仮称)』の上に着物を羽織った女性が3人佇んでいる‥と思ったら、三人同時にさっと丈を決め、着物を着はじめました。
 ♪心が豊かになって~美しく~なるのよ~~(歌詞はイメージです)

 歌に合わせてコーリンベルトをつける女性三人。息もぴったり。ついでに髪型も化粧も表情もそっくり。衿を整える手つきもそっくり。‥
踊っとる!
 
『踊りながら脱ぐ』ぢゃなくて『踊りながら着る』って郷ひろみ以外にもいたんだあ~‥などというわたくしの思惑とは関係なく、女性三人はあえかな微笑を固定したまま優雅におはしょりを整え、伊達締めを締め、くるくると帯を巻き‥なんかこう‥
 ♪きもの~は日本の心~ららら美しい~日本の心~(歌詞はイメージです)


 
 「ぶ。ぶははははは~~~!!」
 美しいハーモニーに乗った何かこうアレな歌詞と、くるくる着踊りしている女性三人の微笑んだまま固定した表情を見ているうちに、どーにも辛抱たまらなくなってきました。こ、これはいかん。笑える。
 ♪き~もの~はす~てき~~~き~も~のき~も~の~
(歌詞はイメージです)
 ツボにはまって悶絶するわたくし。く、苦しい。
 

 間奏に入り、カメラは客席をなめていきます。観客の表情‥誰も笑っていません!皆「うっとり」という感じです。みんなマジで感動しとる‥なんかコワイです。

 続くきものショーはあまり笑えなかったので早送りして、二次審査「きものと私」スピーチを見ました。
 みんな、微笑をたたえて真面目に語ります。「キモノを着ると、日本の伝統を我が身に纏っているのだという思いで身が引き締まる気持ちでございます」「着付けを学ぶことで日本女性としての心のあり方をも学び」「キモノ、この素晴らしいにっぽんの民族衣装を受け継げた幸せ」‥うへえ。
 このスピーチは一次審査で選ばれた人にしか課されないのでわたくしに回って来る心配はほぼ無用なのですが‥もしもスピーチする羽目になったならば、こんなことはよう言いません。思っている通り「洋服が似合わない体型ですが、キモノを着るとややましなので嬉しいです」とか言ったら、どんなに浮くでしょう。

 どうもわたくし、場違いな所に行くことになったらしい‥とだんだん気づき始めました(遅いって)。どうしよう。
 それにつけても「き~も~のき~も~の~~~」の美しい女声合唱と、三人の女性の着付け踊り。しばらくは脳裏に焼きついて『思い出し笑い』の元になっておりました。
  


わたしのきもの道 着つけ教室編その7 アホかと言えない

2006年10月29日 | キモノとわたくし

 前回までのあらすじ:着つけ習って4ヶ月目の葉。おっちょこちょいが発動して『きもの道コンテスト(仮称)』に出ることになってしまいました。

 翌週。先生は大荷物を抱えて教室に現われました。荷物の中身は大量の黒留袖。手持ちの黒留めから大き目のものを選んできたそう。全部私物だそうで、着つけ教師を30年もやっているとこうなるのだそう‥なんか怖いぞ。

 それはともかく、本番で使う用の黒留を選ぶべく、片っ端から羽織ってみます。シンプルなもの、豪華なもの、モダンなもの。黒留と一口に言ってもいろんな柄があるものです。まずはサイズ優先で選び、数枚着てみますが‥先生は首をひねっています。

 「ピンと来ないわぁ。なーんか、イナカっぽいのよね。あなた、黒似合わないわね。黒は誰にでも似合うのに、不思議ねぇ」
 ・・えーと、わたくし今、暴言を吐かれたのでしょうか?でも先生の表情には一点の曇りも邪気もなく、無心に心情を吐露したのがありありと。ずーーん。落ち込むわたくし。

 「やっぱり似合うもので出ないと、着姿の評価が下がるのよ。そうだ!来週サロン会があるの。黒留袖もたくさん出ますから、どうかしら?やっぱり『きもの道コンテスト(仮称)』ともなると、これをいい機会にってお誂えされる方も多いのよー」

 冗談はよしこさんっ!そんな金は無いっ!!ていうか『いい機会に』って何なんだ?たかが宴会芸の習得のためにそんな出費をするアホがおるかいなっ!!
 ‥とは言えないヘタレなわたくし。
 「そ、それはちょっと‥。そんな余裕は‥」
 「『きもの道学院(仮称)』のサロン会は製造元直通だから、普通の呉服屋さんでお求めになる半額以下よ。半年に一度のサロン会で、いつも私、2~3枚は着物を作るの。みなさんも前のサロン会ではお値打ちに買い物なさったのよねっ!」
 先輩たちは曖昧な笑顔で頷いています。‥買ったんかいあんたら‥
 
 「でも、ウチには子供もいませんし‥甥姪もまだ小さくて‥黒留袖、作っても着る機会がありません~」
 「なら、色留袖をお作りになるのはどう?やっぱり『きもの道コンテスト(仮称)』ですもの、良いものを着てお出になりたいでしょ」

 こういったことを言う先生にはやはり邪気のかけらもないのです。マージン目当てのセールスとかではなく、『きもの道コンテスト(仮称)』というのがほんとうに『それほどのもの』だと信じており、そうであるから『よいものを着て出る』のが私のためだと心から思っている様子。あー‥困ってきました。善意に対して無下に「アホか」とはなかなか言えません。それがたとえ的外れであっても。

 「いえ別に‥あ、色留袖なら私、親が作ってくれたものを持っていますし‥」
 「ああ、そうなの。ひとつあるのね」
 先生はやっとちょっと諦めてくれました。

 「コンテスト、色留袖で出る方も毎年少しはみえるのよ。数が少ないから目立っちゃうけどね。でも、練習すれば大丈夫よね。よし、それで行きましょう。あなたの色留袖、来週持ってきてみて。」

 大丈夫って、練習する前から言われても‥。わたくしとしては、似合わなくても目立たない方がいいんですけど‥。多少イナカっぽくても、舞台で恥さえかかなきゃいいわけで‥。「5分で着られる」ようになるのが重要で、別に評価とかどうでもいいんです‥。とは言いにくいよなあ‥。
 わたくしが「‥。」と逡巡しているうちに、先生はすべてをしゃんしゃんと決めてさっぱりした顔になっています。あうー。

 「ぁ、それからサロン会にはやっぱり行ってみてね。『きもの道ランジェリー(仮称)』もお安く出ているし、小物も要るでしょ。目の保養にもなるわ。ハイ、招待ハガキ。入り口で私の名前を言ってね。」
 「はい‥」
 コンテストに出るとて特別にお金をかける気は全くなかったのですが、最小限の小物はやっぱり必要のようです。あと、『きもの道ランジェリー(仮称)』ねぇ。うーん‥。

 「そうそう、これお貸しするわ。去年の地区予選の模様。舞台の様子を見ておいでなさいな。それから、コンテストの合間のショーもぜひごらんになって。素晴らしいわよー。」
 先生は一本のビデオを貸してくれました。
 このビデオ、家で再生したわたくしはのけぞることになりました。(次号に続く)


私のきもの道 着付け教室編その6 おっちょこちょい発動

2006年10月28日 | キモノとわたくし

 それは8月下旬のこと。わたくしは着つけ教室でもたもたと二重太鼓の練習をしていたとき。

 「今年のきもの道コンテストに出てみたい方はいない?」先生が皆に呼びかけました。
 「振袖の部・留袖の部・カジュアルの部とあるの。みなさんはミセスだから振袖はなしね。留袖とカジュアル、ひとりずつ誰かいらっしゃらないかしら?」 みんな、なんとなーく先生の顔を見ないようにしています。出たくはありません~という空気が教室に漂いました。

  「コンテストではね、きもの道ランジェリー(仮称)か長襦袢で舞台に上がるんですよ。そしてお着物を羽織った姿から、合図でいっせいにお着物を着て帯を結ぶの。振袖で7分、留袖で5分、カジュアルで3分くらいね。でも、速さではなくて着姿の美しさを競うのよ。どうですか?上達するわよー」
  「全国優勝したら、きものクイーン(仮称)として海外旅行にいけるのよ。副賞で素敵な着物や帯ももらえるの。今回の地区予選でも、上位入賞したら着物か帯かあたるわ。いいわよー」
  「どうかしら~」
 先生が熱心に話すほど、教室の空気は「やだよー」という色に染まっていきます。

 「私は着付けの教師を30年やっていますけど、これまでは毎年生徒を出場させていたのよ。みんな入賞して、中にはクイーンになってフランスに行った子もいたわ。でも、今年は誰も出る子がいないの。皆さんの中で誰か、出てくれないかしら?」
 お勧めモードから懇願モードに先生の声色が変わります。教室の空気はますます重く。でも、わたくしはのんびり帯締めを結んでおりました。だって、習い始めてたった4ヶ月。教室の半数は1年以上、なかには3年ほども通っている人もいるのですから、出るとしたらそっちの方でしょう。先輩は袋帯も名古屋帯もちゃんと結べてるもの。私はどっちもあやしいもの。

 「誰か出てくれないと困るのよねぇ。背の高い方は舞台映えするから特にいいのよ‥あなた、カジュアルの部に出てくれない?」
 指名されたのは、教室でいちばん若い20代の若妻ちゃん。困惑した顔をしつつも引き受けました。まぁ彼女は1年以上通っているし、『きもの道学院(仮称)』が催したきものショーにもキモノモデルで出たそうだし、適役でしょう。

 留袖の部は誰かいな~とお向かいの先輩たちを眺めていると、先生はくるりとこっちに向き直りました。
 「そして留袖の部はあなた!葉さん、出てくれないかしら?」 
 先生の視線はまっすぐこちらを見ています。えーーーーっ。まぢかよ。

  「そ、そんな無茶な。私まだ袋帯、まともに結べません。着物も‥5分なんてとてもとても‥」
 「コンテストまであと3ヶ月あるわ。5分って言ったら短いように思うでしょうけど、無駄な動きをせず、流れるように着ればいいだけよ。その美しい動作も審査対象になりますからね。練習したらできるようになるわよ」
 「む、無理ですぅ~~それに私、黒留袖持ってませんし‥」
 「大丈夫!私が貸してあげるから!出てくださいな!!」
 「で、でもやっぱりできるような気が全然しません‥」

 この段階で私、着物を着て帯を締めるのにたっぷり30分はかかっていました。5分で着るなんて、別世界の話です。練習すればフルマラソン走れるようになるからオリンピックに出なさいと言われているようなものです。無理だワニの腕立て~。

 でも先生は自信たっぷりなのです。
 「大丈夫!あなたとても熱心ですもの。大丈夫よ。着つけ教師30年の誇りにかけて、絶対あなたを仕上げて見せるわ!ここで特別にいろいろ教えてさしあげるわよ。決して恥はかかせない!絶対大丈夫!!」

 私の『熱心』はキモノ着て遊びたいがためであって、コンテストに出る類の『熱心』とは種類が違うと思うのですが‥しかし、先生があまりにも自信たっぷり言うので、なんだか興味が沸いてきてしまいました。

 ほんとうに、そんなすごいことが自分にできるようになったとしたら、こいつぁすごいぞ。「特別にいろいろ」習うのも面白いかもしれない(それにお得だ)。失敗したとて失うものは何もないし、もしもできたなら儲けもんだ。得がたい経験だ。‥やってみちゃおうかな?
 ‥おっちょこちょいが発動されたようです。

 「わかりました‥やってみます‥」
 「まぁ!ありがとう~。がんばりましょうねっ!!あなたたち!!」 

 先生は目を輝かせています。あ~あ、喜ばせちゃったよ。
 わたくしは「ほんとうにできるのか?」という不安と「これから何が起こるんだろう?」という好奇心が半々の気持ちでした。
 そして、(5分で留袖着られるようになったら宴会芸になるな。「一番、葉、留袖着まーす!」なんちて)などと能天気な想像をしておりました。


私のきもの道 着付け教室編その5 ハッピーサマーウェディング

2006年10月26日 | キモノとわたくし

 久しぶりの『私のきもの道』です。これまでのあらすじ‥2年前、2004年の話です。かねてからキモノが好きだった私、念願かなって4月から着付けを習い始め、6月にははやキモノでお出かけしていい気になっていました。

 そんなある日。私のところに、ステキなお誘いが飛び込んできました。
 ”酒仲間のみかんさんがこの度めでたくご結婚されるので、その披露パーティーを8月1日にやります「和装推奨で」!!いかが~。”

 みんながキモノで集まるなんて。しかも結婚披露の宴で。ワンダホー!!。うきうき気分で参加の返事をしました。この会の幹事に、mikaさん・あなんさんがいたわけです。酒仲間だったおふたりとの、キモノ仲間はじめでもありました。

 さてこの会、和装推奨ということだけどどのくらいのドレスコードで行ったらいいのかな?普通の披露宴なら「付け下げ以上」ということになるんだろうけど‥と思いつつその辺を問い合わせてみると「フォーマルでどうぞ~」との幹事のご返答。そうかフォーマルか。ならば袋帯ね!燃えてきました~。

 自分で着られるようになる前からキモノは好きだったわたくし、数年前結婚することになったとき、結納用に絽の付け下げと紗の袋帯を誂えていたのです(あっぱれ働くオンナの心意気)。その時着せてもらって以来ずーっとしまいっぱなしだったけど、今ようやく紗の袋帯、締める機会が来た!って、まだ自分では締められないけどその日までに着付け教室で習っちゃえばいいや~(能天気・楽観的)。

 着付け教室では、個人的に習いたいことの希望があれば対応しますよ、と言われていました。それで6月終わり、まだ名古屋帯ももたもたしていたにもかかわらず、先生に「披露宴に出るので袋帯の結び方を教えてください」と申し出ました。
 「まぁ、夏なのにキモノで行くの!えらいわね~」先生はニコニコと教えてくれました。

 (余談ですが「えらいわね~」ってこれに限らずキモノ着ていると、特に年配の方によく言われます。でも何がえらいんだ?欲望に忠実であるだけなのですが。同じ欲望に忠実な行動でも、酒飲んでて「えらいわね~」と言われたことはありません、なぜだ。)

 どうも、先生はこのことで私をかなーり熱心な生徒だと思ってくださったようです。熱心は熱心なんですが、先生の思う熱心と私の実態とはズレがあるように思うのですが。そして、これが更なる悲劇を‥(伏線)。

 一ヶ月ちょいの練習で、まぁまぁ着られるようになり、披露宴には予定通り紗袋帯を二重太鼓に締めてでかけました。
 このとき初めてオフラインで逢ったあなんさんmikaさん、そして幹事をしている女性たちの着姿はちょっとした衝撃でした。コーディネイトだけでなく、キモノを着てきびきびと立ち働く姿がとてもいい感じで、自分もこういう感じでキモノが着たいなぁと改めて思ったのでした。
 また、あなんさんが着付けた花嫁さんも、古典的なのに個性的で、いつまでも見ていたいくらいでした。
 そして、何十人もの参加者が男女とも皆和装で集っている、この心躍る眺め!
 美味しい料理と飛び切りのお酒とともに、和装の華やぎでほんとうに心うきうき、みんな幸せいっぱいな披露パーティーでした。
 花嫁さんの姿および宴会の様子は、ここに載っています。わたくしがお世話になっているお酒サイト「由紀の酒」のコンテンツです。
 下の写真は、宴果ててのち二次会のカラオケにて。
  
 右から、あなんさん・mikaさん・葉。9月13日の記事と同じ登場人物の2年前。

 夏の和服って、ことさらに爽やかでいいですね。ちなみにこの時と同じ着物と帯で、今年も披露宴に行ってきました。着こなし、少しは進歩しているかなあ。
 

  さて、楽しい夏の結婚披露パーティーも終わり、「キモノって、楽しい!」という思いをますます強くしたわたくしは、前にも増して熱心に着つけ教室で練習をするようになりました。なかなか上手くはならないのですが、なんかもう、着物や帯をさわっているだけで楽しいという状態。
 そんなある日、先生がとんでもないことを言い出しました。「あなた、きもの道コンテストに出てみない?」‥悲劇の始まりです‥
 (次号に続く) 


私のきもの道 着付け教室編その4 恥を捨てよ街に出よう

2006年09月25日 | キモノとわたくし

 着付け教室の生徒はみんなで10人。私同様この4月からの人が5人、もっと前から通っている人が5人でした。先輩たちは1人が去年の10月から、4人は去年の4月かそれ以前から通っているようでした。

 私たち初心者は、まず『紐の結び方』から習います。腰に紐を巻いて、押さえた手の親指と人差し指で『L』の字を作って、くるっと巻いてしゅっと抜く。簡単そうだけどやってみるとなかなかできません。「これができないと何もできませんよー」そう言われて焦ります。私、今まで普通に『ちょうちょむすび』してました。これまでやってたことってみんな間違ってたんじゃあるまいか。よし、習いに来た甲斐があるぞー!がぜん張り切る私。

 こんなふうに、教室では毎回新しい知識や技術を習え、とても刺激的でした。紐の結び方に始まって、丈の決め方、えもんの抜き方、おはしょりの処理など、「そうだったのか!」の連続。今までいかに適当に着ていたかを思い知りました。「浴衣なら着られる」と思っていたけど・・ははは(汗)・・という感じ。
 帯だって、唯一結べると思っていた『文庫』も、実は間違いだらけでしたし、途中でわけわかんなくなっていた『お太鼓』なんて、やっとどうやってあの形になるのかがわかったというくらいのもの。もう、夢中になって毎回帯や着物と格闘していました。そうやってすごく頑張って着た着物や帯、自分では精一杯の結果を先生がちょっと触ると、見違えるように綺麗な着姿になるのも驚きでした。うーん、着付けの道も奥が深い。

 1年間のカリキュラムを終えても尚通っている人がいるのも、そういうわけだったようです。先輩たちは、てんでに名古屋帯や袋帯を結んでは先生に手直ししてもらっていました。「まぁこれでそろそろ外に出られるかしらね」と、先生の評。どうも先輩たち、キモノで気軽に遊びに行ったりはしていない様子。
 そういえば、講習の合間のお話でも「帯をそんな胸高に締めたら若い娘さんみたい」「衿は詰まり過ぎても抜きすぎてもみっともないですからね」などの警告を多く受け‥いや、それはそのとおりなんでしょうが‥「気楽に着物を楽しんでくださいねー」と一方では勧めるのと矛盾したメッセージが送られていたようで、全体的に「うかつな格好で外には出られない」雰囲気があったように感じました。

 まぁしかし、それは私にはあまり関係ないことで。着付けを習いに行くまでに、キモノの楽しみ方については既に自分のイメージが出来ていました。お気に入りの服としてキモノを着る。その場をより楽しむためにキモノを着る。だから、綺麗には着たいけど、隙のない装いをしようとは思わない。ただ、許容範囲のイメージを知るために知識はほしい。
 キモノライフのお手本は、着物好きの友人や、ネットで知ったふだんぎ着物愛好家の方々でした。当時自分の中でネットアイドルだった方々と、後になって一緒に遊んだりできるようになるとまでは、この頃は思っていませんでしたが‥。

 そういうわけで、教室の雰囲気にもかかわらず、私は私で新しく習った知識で早く実地を試したい気持ち満々でした。どんどん新しいことを習っていくのが本当に楽しくて、それぞれ完璧には程遠いものの知識技術を大いに向上させ(これまでがあんまりにもだったので伸びる余地が大きかった)、4月から習い始めて6月の頭には、もういそいそと着物で出かけました。

 出かけた先は「蔵女性サミット」という、日本酒造りにたずさわる女性達と語らい、かつ飲もうという集まり。日本酒で女性ならやっぱり和服でしょう~というノリでした。


着付け習って2ヶ月の蛮勇 先日と着物は同じ。着こなしは進歩したか?

  キモノを着ていったということで、蔵女性の方々にも喜んでいただけ(たと思う)、更には特別ゲストの漫画家、「夏子の酒」の尾瀬あきらさんとのツーショットまで撮れちゃったりして、とてもいい思いをすることができました。やっぱり着物のお出かけはいいなぁ~としみじみ感じたことでありました。

酒飲みならば知っている「夏子の酒」の尾瀬あきら氏と

 余談ですが、この「蔵女性サミット」で初めてオフラインでお会いした、栃木県の銘酒「松の寿」の美人若奥様「若葉さん」、最近キモノに目覚められたよう。少しは私も影響したかなと思うと嬉しいです。最近発売された雑誌「散歩の達人」にも着物姿で載っているそう、チェックせねば。

 余談もう一つ。このあいだ大阪でお会いしたあなんさんの着付け教室では、初級クラスの仕上げとして「キモノを着て街を歩いてお茶をする」というプログラムを組んでいるそうです。教室内では着られても、そこから「街を歩く」というのはちょっとしたハードルだから、まずは先生と・みんなと一緒に街を歩いて、その楽しさを知る!というのを修了式代わりにしているのですって。キモノを着る楽しさをよーく知ってみえるあなんさんならではだわ!と、たいへん感動いたしました。着付けは習ったけど恥ずかしくて‥という方、多そうですものね。私みたいんは別として。
 私が行っていたのもこういう感じのトコだったら、逆にもっとずっと通っていたかもしれないなあー・・。


私のきもの道 着付け教室編その3 「きもの道ランジェリー(仮名)」

2006年09月20日 | キモノとわたくし

 着付けの講習第1回目は・・・「注文取り」から始まりました。

 あらかじめ必要だと言われていたものは「肌襦袢・裾よけ・長襦袢・着物・帯(半巾・名古屋・袋帯)腰紐(4-5本)伊達締め(2本)足袋・前板・帯しめ・帯揚・帯枕」ですが、手持ちにない人には「きもの道学院(仮名)」の純正品を頒布しますよ、という話です。
 これに加え、「無理なさらなくてもいいですからね、ご紹介だけ」と言って勧められたのが「きもの道ランジェリー(仮名)」でした。

 これは、図のようなものなのですが‥キモノ乙女の間では有名ですよね。要するに上等なうそつきです。

 別売りの「きもの道衿(仮名)」・きもの道袖(仮名)」をつけたら長襦袢として着ることができる。衿袖をいろいろ付け替えれば複数枚の長襦袢を持っているのと同じことになって経済的。それに衿袖を外したらそのまんま洗濯機で洗えるから清潔。その上、きもの道衿(仮名)は美しい衿のラインが作ってある立体設計だし、きもの道ランジェリー独自の工夫・補正ポケットで体型に合わせた補正もでき、労せずして美しい着姿が得られる。
 というわけで、いい事尽くめの優れものですよー、私はもうこればっかり!と先生は熱く語り、「でも、お手持ちがある方は無理しなくてもいいですからね。ご紹介しただけですから。」と付け加えました。

 楽だ!安あがりだ!と聞けば、心は揺れます。でも、私もう長襦袢持っているし(お祖母ちゃんのだけど)。それに、安いって言っても一式買うと2万円近くかかります。そりゃ呉服屋さんで長襦袢新しく仕立てるよりはうんと安いけど‥。でも、私はそもそも「呉服屋さんで仕立てる」をばんばんやっちゃうようなお大尽キモノ生活を送る気なんてなかったし‥。
 私が逡巡しているうちに、他のひとたちは次々に先生に注文をしています。気がつくと残っているのは私ひとり。

 「無理はなさらなくていのよ」と先生は繰り返します。見渡すと、先に講習を始めている先輩達は皆この「きもの道ランジェリー(仮名)」を使っている様子。なんだこりゃー、やっぱりそういうことかぁ。
 群集心理であやうく注文しかけましたが、みーんな買っているせいで逆に思いとどまった天邪鬼のわたくし。

 でも、後から頭を冷やしてみると、やっぱり買わなくて良かったです。結果として、このことで厭な扱いを受けることはありませんでした(それどころか‥続きはいずれ)。「紹介しただけ」という先生の言葉に嘘はなかったのです。ちゃんと、普通の長襦袢の着方も教えてもらえました。「楽して綺麗に着られる」もので最初から練習してしまうと、普通に着ることができなくなったと思います。差別なく教えてくれた先生に感謝です。

 それに、後からいろいろ調べたり経験したりした結果、うそつき一式に2万円はやっぱり(私には)高すぎです。
 キモノ好きの友人は「いらなくなった長襦袢の衿を外して『なんちゃってきもの道衿』!袖を外して『なんちゃってきもの道袖』!いらなくなったタオルでゾーキンのようなものを作って補正パッド!」となど楽しい工夫を教えてくれました。そのほかにも、いろんな人がいろんな工夫をしている。私もいろいろと。こういうのが楽しいんです。それが私のキモノ道。

 そして、私にとって致命的に思える「きもの道ランジェリー(仮名)」の欠点が、後に見つかりました。

 「きもの道ランジェリー(仮名)」、本体の小さな衿に外側から「きもの道衿(仮名)」をひっかけて固定するのですが、その小さな衿が図のように上の方から除くと肌と半衿の間に見えるのです。
 先生はかなり小柄な方なので、後ろから回るとその小さな衿、いつもばっちりと覗いていました。他の方々も。気がつかないうちはそう目立つものでもありませんが、気になりだすと気になって。

 その後、講習の中で「きもの道ランジェリー(仮名)」がいかに優れているかということはたびたび話題になり、心が軽くゆれることもありましたが、やっぱりその「小さな衿芯覗き」がストッパーになってついに買わずに終わることになりました。
 もっと後、和裁教室で半襦袢を作ったり、ネットで使いよいうそつきに出会ったりもしましたので、もし買ったとしても今はたいして使っていないと思います。なにはともあれ、初志貫徹できて良かったなあと思ったことでありました。


私のきもの道 着つけ教室編その2 いよいよはじまる

2006年09月13日 | キモノとわたくし

  最後は「えいっ」と選んだ着付け教室。見学も受けつけているというので見に行くと、20畳ほどの畳敷きの部屋に受講生が10名ほどに先生が2人。若い方の先生は助手ということでした。
 先生方は「きもの道学院(仮名)」に所属していて、プログラムは本院の初等科に準じて組まれているとのこと。これを修了したら、「きもの道(仮名)」の方から修了証も出て、更に先のコースにも進めますよ、ということでした。まぁそのへんは私は興味ない。

 一番気にしていたのは「買わないといけないもの」がどのくらいあるかということでしたが(けち)、必要なものがお手持ちにないのなら「きもの道(仮名)」標準グッズを斡旋しますよ、という感じでした。必要なものとは「肌襦袢・裾よけ・長襦袢・着物・帯(半巾・名古屋・袋帯)腰紐(4-5本)伊達締め(2本)足袋・前板・帯しめ・帯揚・帯枕」。これらはすべて祖母が遺したりしたものが揃っています。何も買わずに済む、ありがたい。これをクリアしたので、来週から正式に通うことに決めました。
 
 教室の雰囲気など、もっと検討すべきこともあったかなという気もしましたが、この時はとにかく「いよいよ習うぞ!」という意欲でいっぱいでした。10数名の女性が皆それぞれ着物を着ている姿というのにも魅了されましたし、先生2人の着姿はやっぱりすばらしかったのです。小柄な年配の先生は、衿元をゆったりと開けて楽そうな着付け、助手の先生は細身を生かしてしゅっと粋な感じで。あんなふうに着られるようになりたい!と、教室が始まるのが楽しみでした。

 初日。先生二人が前に、受講生10人が5人ずつ並んで正座します。「正しい御辞儀の仕方」を習い、静かに礼。このように、美しい立ち居振る舞いも少しずつ教えてくれるとのこと、着物美人への道!と期待も高まりました。

 


私のきものみち・一章 着付け教室編その1まずは教室選び

2006年09月06日 | キモノとわたくし

 数々の失敗を繰り返しつつ心に芽生えた気持ち「着付を習おう!」。しかし、なかなか実際に足を運ぶまでになりませんでした。
 何故かというと「着付け教室」に関しては、どうも悪い噂ばかりを聞いていたからです。お金ばっかりかかってたいしたことは習えないとか。その教室独自の器具を買わされ、その器具を使った着付しか教えてくれないとか。呉服屋さんと繋がっていてしつこい売りつけに会い、買わなかったら先生の扱いが違ってくるとか。女の園で見栄の張り合いがすごいとか。

 でもまぁ、何にせよ行動しないことには始まらない。というわけで、まずはネットで検索。着付け教室×愛知で調べると、大手から個人から、たくさんの教室がヒットしました。

(写真がないと寂しいので記事に関係ない写真。当地名物おっぱいまんじゅう)

 そのなかでまずやめておこうと思ったのは、大手の着付け教室。
 カリキュラムを見ると、ここはどうも私のようにただ着物を楽しみたいという者が行くところではなく、資格を取って仕事にしていきたい人に向いているように思えました。いろいろ器具や小物を買わされるのもここが多かったし。紐にせよ帯枕にせよ祖母の残したものがたくさんあるので、あるものを使いたいというのは第一条件でした。
 それに、パーティーやコンテストなどの交流行事があるのも何だか煩わしく、華やかな訪問着で絢を競うというのも私の目指す気楽なキモノ生活とは離れていると思いましたし。

  次に除外したのが「無料着付け教室」の類。
 「無料ほど高いものはない」と言いますから。「見学会」の名目で強引な売りつけがなされるのはこの類に多いと聞いていました。講師料や経費がどこから出ているのかと考えると、これは無理からぬことです。セールスや勧誘を断るのは得意(鬼並み)の私ですが、厭な気分になるのがわかっているところに行くのは厭でした。
 (後から聞いたところでは、とても当たり外れがあるようです。無料で習えてキモノ友達もできてとても良かった!という声も聞きました。逆に、強引に売りつけられてキモノ自体嫌いになったという声もありました。)

  迷ったのは、個人でやっている着付け教室。
 特に、呉服屋さんなどとのつながりはなく楽しむためにやっていますよーと強調しているところには心惹かれました。でも、今度はその輪の中に入っていけるかなあと心配が。昔から、学校など女子が集まってきゃあきゃあやっている中では馴染めない性質でした。これこそ行ってみないとわからないのですが、できれば教室の人間関係はある程度希薄な方がありがたいなあと思っていました。

  悩むだけ悩んで、あげく疲れて「えいっ」と決めちゃう、というのが私のパターンですが、この着付け教室選びも結局そのとおりになりました。
 行くことに決めたのは、近所の公民館で開かれていた「着付けと帯むすび」教室。器具を使わない手結びで、週1回開催、1年の講座。料金は3ヶ月ごと1万円。 公民館でそう商売気な催しもないだろうし、1年と期間が切ってあるなら煩わしい人間関係もたいして生じないだろうし、見栄の張り合いがしたい有閑婦人はもっとサロン的なところに行くだろうし‥。

 これらの目論見、一部は当たって一部は外れて‥。まぁ、決めた条件を列挙するといかにも熟慮の末選んだような印象ですが、いちばんの決め手となったのは「近い」ということでしたから。でも、着付け教室行きの荷物はけっこう重くかさばるものですので(キモノ・長じゅばん・小物一式ほか)これはかなり重要な条件だった、と今では思います。

(おいしいですよ)

 (次回、いよいよ習い始めます)