着付け教室の生徒はみんなで10人。私同様この4月からの人が5人、もっと前から通っている人が5人でした。先輩たちは1人が去年の10月から、4人は去年の4月かそれ以前から通っているようでした。
私たち初心者は、まず『紐の結び方』から習います。腰に紐を巻いて、押さえた手の親指と人差し指で『L』の字を作って、くるっと巻いてしゅっと抜く。簡単そうだけどやってみるとなかなかできません。「これができないと何もできませんよー」そう言われて焦ります。私、今まで普通に『ちょうちょむすび』してました。これまでやってたことってみんな間違ってたんじゃあるまいか。よし、習いに来た甲斐があるぞー!がぜん張り切る私。
こんなふうに、教室では毎回新しい知識や技術を習え、とても刺激的でした。紐の結び方に始まって、丈の決め方、えもんの抜き方、おはしょりの処理など、「そうだったのか!」の連続。今までいかに適当に着ていたかを思い知りました。「浴衣なら着られる」と思っていたけど・・ははは(汗)・・という感じ。
帯だって、唯一結べると思っていた『文庫』も、実は間違いだらけでしたし、途中でわけわかんなくなっていた『お太鼓』なんて、やっとどうやってあの形になるのかがわかったというくらいのもの。もう、夢中になって毎回帯や着物と格闘していました。そうやってすごく頑張って着た着物や帯、自分では精一杯の結果を先生がちょっと触ると、見違えるように綺麗な着姿になるのも驚きでした。うーん、着付けの道も奥が深い。
1年間のカリキュラムを終えても尚通っている人がいるのも、そういうわけだったようです。先輩たちは、てんでに名古屋帯や袋帯を結んでは先生に手直ししてもらっていました。「まぁこれでそろそろ外に出られるかしらね」と、先生の評。どうも先輩たち、キモノで気軽に遊びに行ったりはしていない様子。
そういえば、講習の合間のお話でも「帯をそんな胸高に締めたら若い娘さんみたい」「衿は詰まり過ぎても抜きすぎてもみっともないですからね」などの警告を多く受け‥いや、それはそのとおりなんでしょうが‥「気楽に着物を楽しんでくださいねー」と一方では勧めるのと矛盾したメッセージが送られていたようで、全体的に「うかつな格好で外には出られない」雰囲気があったように感じました。
まぁしかし、それは私にはあまり関係ないことで。着付けを習いに行くまでに、キモノの楽しみ方については既に自分のイメージが出来ていました。お気に入りの服としてキモノを着る。その場をより楽しむためにキモノを着る。だから、綺麗には着たいけど、隙のない装いをしようとは思わない。ただ、許容範囲のイメージを知るために知識はほしい。
キモノライフのお手本は、着物好きの友人や、ネットで知ったふだんぎ着物愛好家の方々でした。当時自分の中でネットアイドルだった方々と、後になって一緒に遊んだりできるようになるとまでは、この頃は思っていませんでしたが‥。
そういうわけで、教室の雰囲気にもかかわらず、私は私で新しく習った知識で早く実地を試したい気持ち満々でした。どんどん新しいことを習っていくのが本当に楽しくて、それぞれ完璧には程遠いものの知識技術を大いに向上させ(これまでがあんまりにもだったので伸びる余地が大きかった)、4月から習い始めて6月の頭には、もういそいそと着物で出かけました。
出かけた先は「蔵女性サミット」という、日本酒造りにたずさわる女性達と語らい、かつ飲もうという集まり。日本酒で女性ならやっぱり和服でしょう~というノリでした。

着付け習って2ヶ月の蛮勇 先日と着物は同じ。着こなしは進歩したか?
キモノを着ていったということで、蔵女性の方々にも喜んでいただけ(たと思う)、更には特別ゲストの漫画家、「夏子の酒」の尾瀬あきらさんとのツーショットまで撮れちゃったりして、とてもいい思いをすることができました。やっぱり着物のお出かけはいいなぁ~としみじみ感じたことでありました。

酒飲みならば知っている「夏子の酒」の尾瀬あきら氏と
余談ですが、この「蔵女性サミット」で初めてオフラインでお会いした、栃木県の銘酒「松の寿」の美人若奥様「若葉さん」、最近キモノに目覚められたよう。少しは私も影響したかなと思うと嬉しいです。最近発売された雑誌「散歩の達人」にも着物姿で載っているそう、チェックせねば。
余談もう一つ。このあいだ大阪でお会いしたあなんさんの着付け教室では、初級クラスの仕上げとして「キモノを着て街を歩いてお茶をする」というプログラムを組んでいるそうです。教室内では着られても、そこから「街を歩く」というのはちょっとしたハードルだから、まずは先生と・みんなと一緒に街を歩いて、その楽しさを知る!というのを修了式代わりにしているのですって。キモノを着る楽しさをよーく知ってみえるあなんさんならではだわ!と、たいへん感動いたしました。着付けは習ったけど恥ずかしくて‥という方、多そうですものね。私みたいんは別として。
私が行っていたのもこういう感じのトコだったら、逆にもっとずっと通っていたかもしれないなあー・・。