目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

エンジェルウォーズ ★★

2011-04-30 09:11:57 | ★★
ちまたで話題になっているエンジェルウォーズを鑑賞。TOHOシネマズ上大岡にて。吹き替え版しかやっていなかったのでしぶしぶ吹き替え版を鑑賞。なんだか、映画館で洋画を吹き替え版で見るのは苦手。ピクサーやディズニーは我慢できるけど実写だとちょっと。金曜ロードショー感が出すぎてしまって、せっかくの高い鑑賞料金と素晴らしい鑑賞環境が台無しになってしまうのが嫌なのです。




(あらすじ)
原題「サッカーパンチ」。1950年代。精神病院に入れられ、5日後にロボトミーを受けることになったベイビードール(エミリー・ブラウニング)が、同じ精神病患者の仲間とともにファンタジーの世界へと飛び込み、人格破壊の危機を回避するための5つのアイテムを集める。
(以上 wikipediaより)

このあらすじを見たときにちょっと映画館に行くのをためらってしまったのですが、前評判も賛否両論とのことで、どういう映画かは気になっていました。監督のザック・スナイダーは「ドーン・オブ・ザ・デッド」や「300」は結構面白かったし、(「ガフールの伝説」はいまだに借りる気が起きないけど・・・)期待してもいいのかなあ、と思いながら映画館に足を運びました。

結論から言ってしまうとこの映画の妄想の部分だけなら100点あげてもいいけど、全体の構造がイマイチ乗り切れず、20点くらいなので平均してしまうと結局40点くらいになってしまうような映画、というか。数字で表現するのも何ですが、この映画はやや複雑な構造になっています。

A(現実世界)と
B(妄想の世界)と
C(妄想の中での妄想の世界)に分かれた映画となっており、
(当記事でわかりやすく説明するための仮称です)

A世界で起きる出来事の暗喩もしくは直喩としてBおよびC世界が存在しているとかんがえてよいでしょう。A世界での描写は序盤と終盤のみで、後はほとんどB世界とC世界を行ったり来たりするような話なのでいまいち飲み込みづらい構造になっています。

この構造ってインセプションが流行ったからこういう構造を取り入れたのかもしれないけど、インセプションは映画の前半のほとんどをこのややこしい構造を理解させることに割いているからこそ、わかりづらくてもヒットしたのであって、この辺りの映画の構造って、きちんと説明臭くない描写である程度は描写するなり、喋ってもらわないと本当にわかりづらい。

それでもBとCのつながりは理解できるのだけど、Aとのつながりや関連性は本当にわかりづらくなっている。わかりづらいことを責めているわけではなくて、物語上の必然性も薄いのか濃いのかもわからない描写が幾重にも折り重なるので、どうしても意図が見えづらい話になってしまっているわけです。なので、ノレない。

いや、それでも情けない話、このC世界の妄想世界でのバトルはそれだけでガンガンご飯食べられるくらいの映像ではあります。ザック・スナイダーが「300」のときにも使いまくったスロー多用のアクション映像で女子高生姿のエミリー・ブラウニングが日本刀と拳銃片手に自分の身の丈以上の鎧武者やオーク、ドラゴン、ゾンビ兵などと渡り合う姿、やパワードスーツが出てくるところ、ロボット兵との死闘、など見ているだけでニヤニヤしてくるような映像のオンパレードなのには間違いないのですが・・・。

このC世界シークエンスの映像を撮りたいがために無理くり入れ子構造にして複雑な映画にしたのだとするならば、それは失敗だったと思います。もっと単純かつ燃える展開にすればよかったのに、妙に精神病院描写やロボトミー描写などの非常に説明の必要な現代ではよしとされていない医療描写なども取り込んだり、娼婦の格好させたりと男性諸氏が乗り切れない要素を満載にしたがために誰に訴えかけている映画なのかも非常に曖昧になってしまいました。
どこまでいったって、C世界の描写はB級映画でしかないんだから振り切ってB級アクションの傑作を作るつもりでやってくれたらよかったのになあ、と非常に悔やまれます。

まあ、でもこの監督はもう少しお話の組み立て方とか脚本を直せばアクションは素晴らしいし、「わかっている」監督なので、もう少し今後の作品を観ていきたいと思わされました。


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1 コメント

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Unknown (けん)
2011-04-30 10:01:19
TBさせていただきました。
またよろしくです♪

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