Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

本を購入

2011-07-31 12:57:07 | 文学
きのう、モスクワの書店に行ってきました。ガイドブックに載っているようなお店ではなく、ちょっと隠れ家的なお店。そこで丹念に物色して回ったのですが、これといったものが見当たらず、買わずに帰ろうかと思っていたところで、オレイニコフの詩集を発見。薄っぺらい冊子が2冊に単行本が1冊の計3冊、約1000円ほどで購入しました。収穫があってよかった。本当は何かの研究書や論文集が欲しかったのですが、まあいいや。

今回はこれしか買いませんでしたが、この書店はかなりマニアックな品揃えで、文学や芸術関連に関心のある人の多くを満足させられるのではないでしょうか。

ところで、ハルムスを研究対象にした卒業論文がネットにアップされていたので、早速読んでみました。ぼくも少しだけ卒論でハルムスをやりましたが、これオンリーというのはけっこう珍しい気がします。どうでしょう。

従来の先行研究を踏襲した論文で、日本の「ハルムス学」の域からは出ていないように見受けられましたが、注は丁寧に付けられており、体裁も整っているので、しっかり勉強しているんだな、と思いました。児童文学との関連を取り上げたのは興味深く、そこをもっと突っ込んでもよかったのではないかな、と感じました。ただ、有名な「男が家を出ました」という詩を、政治的な解釈には留まらない、ハルムスの詩学の集大成的なものと見る視点は大変おもしろかったです。概して、児童向けの作品と大人向けの作品とはしばしば切り離して論じられる傾向がありますが、前者はむしろその作家の深奥の作家性・文学性のあからさまな発露と見ることが可能であり、そういう意味でも、児童向けの詩にハルムスのビブリオグラフィーの中で重要な位置を与えたことは、意義のあることだったように思います。

また、ハルムスの活動時期を区分していたのは明確であり、議論を進める上でも有効になりうるので、その姿勢は評価されるべきでしょう。もっとも、この論文では完全には有効に機能し得ていなかったきらいがありますが・・・。

と、偉そうにつらつら書いてきてしまいましたが、いったいぼくにこんなことを書く資格があるのか?人のことより自分のことをきちんとしなければならないのに。何はともあれ、この学生が大学院に進んだのかどうか分かりませんが、もしそうであれば、2,3年後が楽しみですね。