ごっとさんのブログ

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特許翻訳 英語と日本語

2015-12-21 10:24:52 | 文化
前回この内職のシステムについて書きましたが、実際に訳していくうえでの感想など書いてみます。

まずこういったことやれるかどうかが問題でした。現役のころは英文の文献や特許を見ることが仕事の一部で、40代後半では辞書を引くこともなく読んでいました。しかし退職前の4年ほどは英文から離れており、退職後の新しい職場では全く英語と縁のない世界でした。つまり英文を見なくなって15年以上たっていました。感じとしては、もう英語などすっかり忘れている気がしました。

開始にあたって試験のようなトライアルの問題を2件やってみましたが、思ったよりわかった気がしました。かみさんに言わせると、若いころ身についたものは、自転車と同じで何年たってもすぐに思い出すものなのかもしれません。まあこのトライアル問題がパスできて、実際に登録され仕事が始まったわけです。

ところが英文を読んで内容が理解できるということと、実際に日本文を書くということは大きな壁があることがわかりました。意味がわかるということは、必ずしも日本語に直していないようです。単語の意味がわからなくても、なんとなく概念的にこんなものだろうということで読むことができます。実際に日本語に直そうとすると、なんと訳すべきかわからないという部分がかなりたくさんありました。

通常の言葉であれば、機械翻訳が辞書の様のものなので、大体済んでしまいますが問題は専門用語です。私の専門は有機化学で、この歴史は非常に古く、多分明治時代には日本でも確立した分野です。ですからほとんどの専門用語に日本語が対応しています。例えば「reflux」という単語がありますが、これには「還流」という訳が対応しています。日本語にしても専門の人しかわからないような訳がかなりありますが、それでも日本語することはできるわけです。

ところが分子生物学のような新しい分野では、日本語訳がない言葉がかなり多いのです。たぶん現在はカタカナ語が一般的になっていますので、日本語訳を作る必要がないのかもしれません。例えばこの分野でよく使う「クローニング」という言葉は日本語がなくカタカナで書かざるをえません。知らない単語で機械翻訳もカタカナの場合は、カタカナで書くことになりますが、意味がわからなくなってしまいます。

結局カタカナの多い日本語に直して、読んでみても自分で内容がわからないというおかしなことになります。時間があるときはネットで検索して勉強することもありますが、そのままですませることも多くなります。こういったやや苦労するところはありますが、暇つぶしの一種のようなものとして続けてみようと思っています。