ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

腸内細菌で体重減 ダイエット?

2015-12-12 10:20:33 | 健康・医療
大腸菌が満腹感に影響を及ぼすという話を少し前に書きましたが、今度は肥満に細菌が関与しているという話です。
これはサイエンスの抄録で、私の独断も入っていますので、どの程度信頼できるかはわかりません。

実験にはマウスを使ったのですが、まず生育温度の影響を調べました。通常の21℃の状態から、6℃の低温で飼育すると、10日程度でマウスの体重はかなり減るようです。これは体温の恒常性を保つために、かなりのエネルギーを使いますので当然の結果といえます。ところがこの時腸内細菌のある種の菌が激減していることがわかりました。

この温度で30日飼育を続けると、体重の減少は止まりましたが、何と腸の長さが伸びてきたというのです。たぶん低温では腸での栄養吸収効率が下がるため、それに適応すると吸収をよくするため、腸が伸びてくるのかもしれません。ここまでは単なる温度の影響を見ているにすぎません。

そこで腸内のすべての細菌を6℃で飼育したマウスから取り出し、通常の21℃で飼育しているマウスに投与してみたのです。そうするとマウスの体重は6℃で飼育したマウスと同様に減少し、しかも腸の長さが伸びてきたというのです。これはややおかしな現象と言えるのかもしれません。腸が伸びてくるのであれば、吸収は良くなるので体重は増加しそうですが、6℃で飼育を始めたときと同様に減っていったわけです。

これを説明するために、腸の長さや体重は腸内細菌によって制御されているという仮説を立てたようです。一方6℃にすると激減した細菌がいましたので、この菌のみを21℃で飼育しているマウスの腸内に移植してみました。筆者はこの菌に注目しているようですが、結果は移植されたマウスの腸は短くなり、それに伴って体重も減少し、血糖値も低下しというのです。単にこの菌は6℃という温度環境では、生育が難しいから減少すると思われましたが、そうではなくこの菌の作用が腸を短くして、血糖値を下げ体重を減らす役割を持っていたため、体重減少になるような環境では排除されてしまったというのです。

この実験のように30日という短期間で腸が長くなったり、短くなったりするのは不思議な気がしますが、代謝の速いマウスでは起こるのかもしれません。可能性として、この細菌アッケアマンシアという名前ですが、これを腸内に移植してやれば、血糖値の低下と体重減少が起き、ダイエットになるのではと言っています。これはあくまでマウスでのことですが、人間の腸内細菌も調べてみれば、同じような菌がいるのかもしれません。

前回の満腹感や今回の実験のように、腸内細菌はただ共存しているだけではなく、宿主側にも色々影響を及ぼしているのかもしれません。