ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

アスピリンが大腸がんの予防に有効?

2015-12-07 10:24:02 | 
アスピリンが大腸がんの予防効果があるのではということで、日本でも研究が始まるようです。
アスピリンについては、2か月ほど前にこのブログでも書きましたが、歴史的なことなどが中心でしたので、ここでもう一度取り上げてみます。

アスピリンの効果は、解熱・鎮痛・抗炎症ということになっています。このメカニズムについては、やや専門的になりますが、プロスタグランディンという物質の合成阻害ということになっています。このプロスタグランディンというのは、体内には多種類が存在し、非常に重要な役割を担っていますが、炎症を引き起こしたり、脳に痛みを伝えるという働きもあります。アスピリンはこういった働きを抑えることで、炎症をおさえたり、痛みを和らげるわけです。

しかし当然ですが、痛みの原因を取り除くわけではなく、単に感じないようになるだけです。痛みというのはいわば危険信号のようなものですので、これを抑えてしまうと重要な疾患の発見が遅れるということもあるようです。ですから時間がたてば自然に治るような、頭痛や生理痛、治療後の歯の痛みなどには十分効果が出るようです。最近では血小板の凝集抑制作用、つまり血栓ができるのを防ぐ作用が見つかり、脳梗塞や心筋梗塞の患者さんの予防に処方されるようになったようです。

さてこのアスピリンがなぜ大腸がん予防になると言われるようになったかですが、これは長い歴史が関与しているようです。もともとはアメリカの話ですが、日本と違ってアメリカでは、アスピリンが大量消費されているようです。少し古いデータですが、年間1,600トンで200億錠というようなデータがあります。頭痛や二日酔いの時はもちろん、やや気分が悪い時などにも服用し、映画のシーンなどにも出てくるほど一般的なようです。アメリカの薬の副作用問題の、25%はアスピリンと言われています。

なにしろ発売から100年以上もたち、かなりの頻度で服用しているようですので、飲んでいる人と飲まない人とで、何か差があるかを調べるのも簡単なようです。そういった調査結果で、アスピリン服用者には大腸がんが少ないというデータが出たようです。日本でも大腸がんは増加傾向にあるため、今回の研究がスタートするようです。大腸がんの一部は、ポリープが変化したものであり、ポリープの炎症をアスピリンが抑えるということを期待しているようです。

しかし大腸がんが増加傾向といっても、10万人あたり数百人とそれほど多くないので、有意差が出るほどの人数に実施できるのか、いつごろ結果が出るのかわかりませんが、楽しみに待つつもりです。