ごっとさんのブログ

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満腹感に大腸菌が関与?

2015-12-02 10:29:10 | 自然
何か食べると満腹感が出て、それ以上食べたくなくなるというのは、動物の基本的感覚と思っていましたが、それに腸に住む大腸菌も関与しているという話を読みました。

本来おなかが空いたとかいっぱいになったという感じは、脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢が働いています。このあたりはあまり詳しくないのですが、食べてから時間がたつと血糖値が低下します。そうすると体内に貯蔵してある脂質が分解され、脂肪酸が遊離してきます。この脂肪酸が直接か、さらにやや小さくなったカルボン酸が摂食中枢を刺激しおなかが空いて何か食べたいという感じが出てくるようです。

逆に食事を摂ると、当然血糖値が上がりこのブドウ糖が満腹中枢を刺激するのか、満腹中枢が血糖値の上昇を感知するのかわかりませんが、これによって十分食べたという感じが出て、それ以上食べたくなくなるわけです。この血糖値上昇後満腹中枢から指令が出るまで、20分程度かかるとされていますので、ゆっくり食べることが食べ過ぎを防ぐためには必要とされています。

それにフランスの科学者が、大腸菌が関与しているという研究結果を発表しました。大腸菌を十分な栄養の下で培養すると、約20分後に大腸菌の増殖はピークを迎え、それ以上は増えないようです。そこで栄養を与え始めた直後の大腸菌(腹ペコ)と開始20分後の大腸菌(満腹)を、それぞれマウスに投与し、マウスの食欲を見たわけです。そうすると腹ペコ大腸菌を投与したマウスは、普通の餌を食べましたが、満腹大腸菌のほうは食べなくなってしまったというのです。

このメカニズムを調べてみると、満腹大腸菌は腸内細胞に作用し、PYYというホルモン様物質を分泌させることがわかりました。これが脳内のPOMC(これが満腹中枢かもしれません)を活性化させ満腹感を感じさせるというのです。これは大腸菌が満腹になると、もう栄養はいらないというサインを宿主に出すとしていますが、これは怪しい気がします。

もともと細菌だけでなく動物細胞なども、一定の空間で培養するとある程度の密度になった時、増殖が停止する性質を持っています。ですから大腸菌が満腹になったから増殖が停止するわけではないような気がします。しかしPYYという物質を作り出すことは確かだと思いますし、これが何らかの意味を持っていることも確かでしょう。

それにしても増殖が止まった大腸菌をマウスに投与して、摂食行動を見るという発想は非常に面白いです。やはり研究者というのは、普通でない発想が面白い結果を生み出すものだと感心しました。