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奈良の昔はなし(龍蓋池)

2020-01-10 09:57:28 | 地域と文化
奈良の昔はなし~龍蓋池(りゅうがいいけ)~
 西国三十三ヵ所第七番札所、厄除け観音霊場として知られている岡寺ですが、龍蓋寺とも呼ばれているのです。
今回は、岡寺が龍蓋寺と呼ばれるようになった龍と池のお話しです。

昔、明日香村の岡というところに一匹の暴れん坊の龍がいて村の人たち困らせていました。
雨のいらない時に急に雨を降らせたり、田畑に種をまいて芽が出ると、地面を這いずり回って芽を枯らせたりしていました。
そこである日、村人たちは義淵(ぎえん)さんというえらいお坊さんに相談したのです。
「あの龍を何とかしてください」
義淵さんは、村人に龍の入れるほどの小池を造らせました。そしてお経を唱えて龍を呼び寄せました。龍は、「よい寝床を造ってもらった」と喜び、その小池の中に入っていったのです。
義淵さんは「おいおい龍さんよ、もう二度と出てきて暴れるのではないぞ」といい、法力で龍をその池の中に封じ込め、石で蓋をしました。
そこでこの池を龍蓋池と呼ぶようになり、その後、この地に建てられた寺を龍蓋寺といったそうです。
~昔はなしゆかりの地「岡寺(龍蓋寺)」~
明日香村東の山腹に建つお寺が岡寺(龍蓋寺)です。
僧である義淵は、のちに仏教界の最高位、僧正(そうじょう)に任じられました。奈良時代の高僧行基(ぎょうき)、良弁(りょうべん)らはその弟子です。
朱塗りの仁王門を入ると、境内に本堂、開山堂、書院、三重塔などがあり、この昔はなしに登場する龍蓋池も残っています。
三重塔からさらに散策道をのぼると、西に明日香の地が一望できますし、遠くは生駒山、二上山、葛城・金剛の山々を見渡すことができます。
また手前には、畝傍山・甘樫丘・橘寺・川原寺跡も見ることができます。
散策道の両側は、初夏は石楠花(しゃくなげ)、秋は紅葉で美しく彩られます。
本堂の本尊は、如意輪観音像(奈良時代・国宝)は日本最大の塑像(そぞう)で、高さ4.6mあります。
岡寺は、平安時代から巡礼者で賑わっています。
江戸時代、本居宣長(もとおりのりなが)の「菅笠日記(すがかさにっき)」に「笈摺(おいずる)の老若男女が詣ですき間もなく、御詠歌を大声でうたう」とあります。今もその賑わいは変わりません。