~狐に化かされた山伏~

今回は、奈良の中央部に位置する大峰山系の峻厳な山々に囲まれた天川村が舞台のお話です。
天川村は飛鳥時代に役行者が開いた修験道の聖地です。修験者は山上ケ岳、八経ケ岳など険しい山中で苦行を行います。修験者は山伏とも呼ばれ、頭に頭襟(ときん)、身には鈴懸(すずかけ)、結袈裟(ゆいげさ)、山袴(やまばかま)を付け、手には錫杖、法螺貝を持っています。
そんな山伏の聖地である天川村に伝わる怖いお話です。
昔々、ある山伏が大峰山中で修行をしていました。ふと見ると、昼寝をしている狐がいました。
山伏は「ちょっといたずらをしてやろう」と狐の耳元で法螺貝を思いっきり大きく吹き鳴らしたのです。
狐は驚いて跳ね起き、一瞬にして林の中に姿を消したのです。
山伏はそんな狐に気も留めず、なおも山中を進んでいったのです。ところが、なぜか空が暗くなり、日暮れになってしまったのです。
不思議に思いながらも、山伏は先を急いで泊まれそうな宿を探したのだが見当たらず、仕方なくある墓地に入り、火葬場の屋根裏で一夜を明かすことにしたのです。
あたりは益々暗くなっていったのです。ふと屋根裏から外を覗くと、「あれっ」と思った。
何やら大勢の光の行列が近づいて来るではありませんか。その行列をよく見ると葬列だったのです。
葬列は墓地に着くと、供養のあと、遺骸に火をつけ立ち去ったのです。
さあ、ここからが大変で、火をつけられた遺骸が、何と火の中から飛び出してくるではありませんか。そして山伏を見つけると、「これから私が行く死出の旅路。一人では心細い。あなたに同行してもらおう」と言うやいなや、山伏に襲い掛かってきたのです。山伏は恐怖のあまり気を失ったのです。
しばらくして、山伏の意識が戻ったのです。すると不思議なことに、辺りはまだ夕方にもなっておらず、墓地も見当たらない。さては先ほど法螺貝で驚かした狐の仕業だったのかと思い、山伏はまた修行の道を真剣に歩き出したのでした。
天川村
最近新しくなったのが誰でも利用できる天然温泉がリニューアルオープンしました。

また、近くに御手洗渓谷があり遊歩道が整備されていますので、登山のような装備はいりませんが、ウォーキングシューズなど少し装備はいりますが、誰でも楽しめますので一度行ってみてはいかがですか?

天川村までは車でも行けますが、できれば公共の交通機関を利用することをお勧めします。
また、夜の旅館街も風情があり良いですよ。

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