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奈良の昔はなし(天の岩戸と七本竹)

2020-01-03 07:31:20 | 地域と文化
奈良の昔はなし~天の岩戸と七本竹~
 奈良盆地に美しい山容を見せる大和三山があります。大和三山は、畝傍山・耳成山・天香久山の三山です。
この中でも天香久山は、もともと天にあって、それが降りてきたとの神話から、とくに神聖視されてきました。
その天香久山の南麓、橿原市南浦に天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)があります。今回は、その神社に伝わる「古事記」でもおなじみのお話しです。
昔、天照大神(あまてらすおおみかみ)という、天を照らす姉神さまと、須佐之男命(すさのおのにこと)という乱暴な弟神さまがおられました。
天照は、乱暴な弟が怖くなり、天の岩戸に隠れてしまったのです。そのため、太陽は昇らず、暗闇の毎日が続きました。
困った八百万の神々が集まり、天照になんとか岩戸から出てきていただこうと相談しました。
「そうだ、踊りの上手な天宇受売命(あめのうずめのみこと)に頼もうではないか」
いよいよその日、天宇受売命は天香具山のひかげの蔓(かずら)を襷(たすき)にかけ、まさきの葛(かずら)を髪に飾り、天香具山の笹の葉を持ち、桶を伏せてそれを踏み鳴らしながら神がかりして踊ったのです。
その踊りがあまりに楽し気であったため、見ていた神々は「ゆかい、ゆかい」と手をたたき大いに笑ったのです。
天照は、不思議に思い「いったい、何が起こっているのか」。
天照は、岩戸を少し開け、外を覗いたのです。すると、その瞬間、力自慢の手力男命(たちからおのみこと)が岩戸を開け、天照を外へ連れ出したのです。それからは、もとの明るい世になったといいます。
ここまでは皆さんもご存じだと思いますが、このお話しには続きがあるのです。天宇受売が踊った時、手に持っていた笹は「七本竹」と呼ばれるようになり、毎年七本生え、七本枯れるという伝承を持っているのです。
今、天岩戸神社の一帯は、天を衝(つ)くような背の高い竹に鬱蒼(うっそう)と覆われ、空の色も見えないほどで、竹の葉ずれの音だけが、薄暗い静寂の中にさわさわと聞こえています。
~昔はなしゆかりの地「天香久山」~
このお話しに登場する天香久山は、平成17年に名勝指定された大和三山とよばれる香久山・畝傍山・耳成山のうちの1つです。
標高152.4m、万葉集では「天香久山(あまのかぐやま)」と詠まれており、山というよりは丘の印象が強い南から続く竜門山地の先端部に連なる山です。
大和三山の中で、最も神聖視されている山で、「天の」を冠するのは、天から降り来た山と言われていますが、その山の位置や山容が古代神事にふさわしいゆえに、あがめられたものだとも思われています。
山中には、南に「天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)」、北に「天香久山神社(あまのかぐやまじんじゃ)」、さらに「国常立神社(くにのとこたちじんじゃ)」があります。それらが一種の霊気のようなものを発散させています。
万葉集では、中大兄皇子が大和三山のことを詠んだ歌があります。
「香久山は 畝傍ををしと 耳梨と 相あらそひき 神代より 斯くにあるらし
古昔も 然にあれこそ うつせみも 妻をあらそふらしき」
・・・天岩戸神社・・・
天岩戸神社は、香久山の麓にある神社で本殿はありませんが、日の神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)が隠れた天岩窟(あまのいわや)または、天岩戸(あまのいわと)と言われる巨石がご神体です。
境内には毎年新しい竹が7本育つ代わりに、別の7本が枯れ死するという「7本竹の不思議」が伝わっています。
天岩戸神社・香久山へは、近鉄大阪線耳成駅より歩いて約24分、JR万葉まほろば線香久山駅より歩いて約24分
近鉄八木駅より橿原市コミュニティバスで「南浦町」下車歩いて約3分です。

天香久山
           

      

天岩戸神社