『山猫は眠らない 5』(2014)は、
とてつもなくつまらない映画作品だ
った。
ベケットの息子もヘタレだし、親父の
ベケット(トム・べレンジャー)も、
動きがしどすぎるし。あるシーンでは、
索敵中なのに腹が出過ぎているから
ズボンがずり落ちて来て、股下から
数十センチ下にパンツの股がある(笑)。
ないわ。
動けるわけないだろが。兵士では絶対に
ありえない。
軍パンがすべて股上が異様に深いのには
意味がある。
ただ、このおっさんがとてつもなくいい
味出してるよ~。
役どころとしては、いてもいなくても
よいキャストなのだが、役者の演技が
どう見ても兵士の動きを忠実に再現して
いた。
銃のバッグを担いで岩山の村を行く
シーンは、まるでフォークランド紛争
の時の英軍兵士そのものに見えた。
脚をちゃんと上げているでしょ?
それと足の爪先。行軍や通常歩行や
ラッシュでは爪先外向けの外足には
絶対にしない。爪先開きは直立敬礼
の時だけだ。
動体能力を出さねばならない時には、
爪先は真っすぐに前を向ける。
これは戦闘兵士の鉄則だ。
軍事経験がないとしたら、演技でこの
ように本物の兵士の臭いを出している
ならば、大した演技力だ。
これなんて、もうモノホンの傭兵だも
んね(笑)。空気が。
こういうの見ちゃうと、『エクペン
ダブルズ』がどんだけチャチなのか
よく分かる。
『山猫は眠らない 5』も、この俳優さん
が出演していなければ、救いようがない
映画だった。
映画『ワイルドギース』(1978)では、
トッシュ役のユーリを見ていて「あ。
この人、本物」とか思ったら、調べる
と本当にマイク・ホアー中佐の部下の
元傭兵だった俳優さんでしたという、
笑えないオチがあった(笑)。
それと、劇中、どう見てもこの人
モノホンという人が何人もいたが、
テロップでは氏名さえ出てきていな
かった。イアン・ユーリは現役を引退
していたが、1978年時点で本物の現役
傭兵が多分多数エキストラで出演して
いたのが映画『ワイルドギース』だっ
たのだろうと思う。