渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

漫画『ワイルド7』(1969-1979)の喫茶店VON

2023年09月19日 | open



名作漫画『ワイルド7』には
メンバーがいつもコーヒーを
飲んで寛いでいる喫茶店が
ある。
それが19才位(推定)の女性
イコとその妹志乃(推定8才)
が二人で経営している喫茶店
「VON」だ。
場所は「18チャンネル帝国TV」
まで1970年時点でタクシーで
200~300円の距離にある。
多分都内大田区多摩川ぞいか
神奈川県川崎市の多摩川沿い
あたりの商店街。


ひなびた下町ぽい街の中の
古いビルの1階角にある。


だが、この店は、ワイルド7に
追い詰められた汚職大臣の
裏権力行使により、放火→
消防庁の放水破壊で店を破壊
された。
再度開店するには300万円程
かかるとの予測だった。現在
換算で凡そ2500万円程か。

この最初のボンの場所は、多
摩川ぞいの商店街のある場所
にあり、新丸子なども近かった。

時々店の入り口付近の外装
が変わるのはご愛敬。

ナンパ師に連れ出されたイコ
をオートバイで追いかけろと
親分と両国に言われて追う
リーダーの飛葉。
ナンパマンのカマロは両国
たちが細工して、暑い時期に
暖房がかかるようにされて
いた。
服を脱ぎだしたナンパマンに
怒ったイコは多摩川ぞいで
車から下りる。
そこに飛葉たちがオートバイ
で偶然のようにやってくる。
助かったわ、と言うイコを
オートバイの後ろに乗せて
飛葉たちは多摩川沿いを走る
のだった。
そして、煮え切らない二人
(飛葉は高校生くらいの年)
にデートに行くようにオヤブン
と両国ははやし立てるのだった。



ここのシーンで、実は喫茶店ボン
の新築2号店の原型がちらりと
登場する。多摩川ぞいのドライ
ブインとして。
権力によって破壊された喫茶ボン
はワイルド7が悪徳大臣からせし
めた2億5000万円(1970年当時)
をたっぷり使って、別場所に
新装開店した。


都内ならば多分二子玉川あたり、
神奈川県内ならばやはり多摩川
ぞいの当時街から郊外だった
新丸子あたりだろう。
この新店舗の大型喫茶店ボンは
「ワイルド7」最終章の1979年
でも順調経営されており、物語
の中でも重要な場所となる。
一時「地獄の神話」編では時限
爆弾が仕掛けられて、内部が
破壊されたが、再びワイルド
の支援により改装開店したの
だろう。

開店10年後の1979年時点では、
付近は開発が進み、ビル街が
近所にある景色となっている。


二輪で行っていつも寛げる
店があるというのはいいもの
だ。
だが、喫茶店をはじめとする
飲食店の経営は非常に厳しい。
それでも、1960年代~1970年
代はまだ喫茶店が街のあちこち
にあった。ファストフード店
と大手企業系カフェがまだ国
内に普及していない頃は、
喫茶店こそが国民のいこいの
場だったからだ。
それは小学生から大学生まで、
また社会人たちも多く利用し
ていた社会現象があった。
その光景は1960年代のアニメ
『巨人の星』や『アタック
No1』にもよく出て来る。
人と話をする時には喫茶店。
一人で寛ぐのも喫茶店。
出かけた時に昼食を取るの
も喫茶店だった。
私も中学の時から喫茶店が
好きで各地の喫茶店に行き
まくった。
喫茶店では店の広告代わり
にオリジナルデザインが描
かれたマッチを無料で客に
あげるのが定番だった。
私は小学生の頃から集めま
くり、高校3年の時点で
段ボールに2箱位集まって
いた。かなりの量だった。

そして、16才で二輪に乗って
外に走り出しても、休憩は必
ず喫茶店かドライブインだっ
た。
電車などで移動しても喫茶店。
観光地に行っても喫茶店(笑
いつもどこでも喫茶店だった。
学生街はまるで喫茶店街のよう
な街だったし、原宿表参道も
そうだった。
どこにでも、まるで公衆電話
が沢山あったように喫茶店が
街には存在していた。

だが、21世紀の現代。

喫茶店は全国的に絶滅しかけ
ている。諸条件が厳しすぎる
からだ。

来客があってもやっていけない
飲食業の筆頭が喫茶店となって
いる。これは産業白書的にも。
諸経費がかかりすぎて、売り

上げのうちの純利がそれに
追いつかないのだ。かといって
コーヒー1杯2000円とかにした
ら客は来ない。
貨幣価値はどんどん下落して
物価も上がる中、喫茶店の
飲食代はコーヒー1杯100円の
頃の1970年からさして上がっ
ていない。実質的には物価は
8~9倍になっているのに。
缶コーヒー料金が上がらない
のと同じく。
大手企業のファストフードと

カフェの進出は、大手スーパー
の進出により街から個人商店
(青果店、鮮魚店、精肉店、
金物店等々)が消滅したよう
な状況を喫茶店という飲食業
にも影響を及ぼしている。
この先、喫茶店業で生き残る
のは大手企業
系のカフェだけ
だろう。

個人経営の喫茶店は、近い将来
日本国内では完全消滅するので
なかろうか。
それは5年ほど前に流行した
ライダーズカフェという新スタ
イルも含めて。(ライダーズ
カフェは一般喫茶店よりも更に
継続は困難な個体特性の飲食店
となっている)
その兆候と流れは、ドライブイン

の消滅減少と連動している。

喫茶店の経営が現代では厳しい
背景と理由について(外部サイト
東京経済オンライン)

カフェで起業する人がだいたい失敗する理由

カフェで起業する人がだいたい失敗する理由

長年、「人生80年時代」と言われてきたが、最近は「人生設計100年」と言われる。会社員の定年が60歳から65歳に伸びても、いつのまにか、ゴールが20年遠ざかった。年金も当て...

東洋経済オンライン

 

 




この記事についてブログを書く
« 寛げるカフェ | トップ | ワイルド7リーダー飛葉のオー... »