私は生まれは東京目黒だが、
子ども時分は湘南藤沢と横浜
で育った。
藤沢市は江戸時代からのお参
り名所だった江の島がある海
辺の町だ。東海道五十三次に
もある門前宿場町。
東京都民もそうだが、神奈川県民
にとっては、富士山は「見れば常
にすぐそこにあるもの」として日
常生活に溶け込んでいる。
都内も江戸期から「富士見」とい
う名のつく場所は多い。
藤沢市は獅子か狛犬が寝そべった
のを立てたような形をしている。
湘南海岸がありながら、実は北に
長く伸びており、横浜市の南部の
ほうが藤沢の北端よりもかなり南
にまである、という妙な地理にな
っている。
私などは江の島から2kmほどの
藤沢駅近辺に住んでいたので、
藤沢市というと横浜の南、という
ような印象があるが、地理的には
そうではない。藤沢市の北端より
も横浜市の南端のほうが遥か南に
位置しているのだ。
これ、神奈川県人としても妙な
感覚が生まれる。「藤沢が横浜
よりも北?」という地理に実際は
なっているからだ。
しかも緯度でいったら、横浜市の
南端は藤沢駅よりも南にある。
これ、たぶん藤沢駅周辺の地元の
人でも「あれ?」というような
感覚はあるのではなかろうか。