自分で描いて勉強するんです。
観てるだけでは駄目。
その焼刃の焼き方の土置きについて
も、江戸期の史料を精査して自分で
筆とペンを使って紙に描き下ろしま
す。
押形(おしがた)にしても、あれは
石華墨での刷り以外はすべて描画で
すから。刀身を観察してそれをその
まま写し取る。
友人は得能先生から「錵(にえ)の
一粒一粒まで描き写せ」と指導され
たそうです。
刃文の基本的分類も、地の状態も、
自分で描いて覚えるようにしないと
類別認識が難しいものがあります。
多くの人がやらかす間違いは、小乱
れがつんだ状態の焼刃頭を「直刃
(すぐは)」としてしまう事。
直刃の刀などはそうそう存在しませ
ん。殆どは「直刃調」であって、
乱れ刃の目がつんでいる物である
場合が多い。
ひどいのになると、研ぎ師が刃取り
した白い部分を刃文だとか思って
いる人たちも大勢いる。
刀剣学習は、基本をきちんと習得
しないと、目が曇ったままずっと
そのまま時間だけが経過してしま
います。
結果、何十年経っても、刀が全く
見えないままとなる。
コツコツとした学習は刀剣研究
並びに鑑賞においては、とても
大切な事なのです。
私は刀剣の本格的専門学習は12才
の時に開始しました。今年で50年
になります。
やがてそれは、鑑賞の当て目利き
から武家目利きの道へと進んで
行った。