
キューのリングにもいろいろある。
一番上はブシュカリングと呼ばれ
バラブシュカが多用した樹脂2枚で
金属輪リングを挟んだリング。
真ん中はメープルリングに切れ目
を入れて黒檀を埋めた輪を上下
黒樹脂で挟んだリング。スロット
やラダーリングとも呼ばれる。
TADが多用したので、別名TAD
リングとも。
一番下は黒樹脂一体物のリング。
ただの樹脂の輪っかだ。ダン・
ジェーンズ(Joss)が多用した。

これはザンボリングと呼ばれる
リングで、ガス・ザンボッティ
が考案したデザイン。
左と右がポール・モッティ作で
真ん中がBaddy藤田製。
赤や青のタネ板を黒檀でサンド
したベニアをメープルスロット
リングに埋め込んでから黒樹脂
で上下に挟む造り。
他にも実に多くの種類のリング
がある。
製作の手間は、樹脂単体が一番
簡単で、次にブシュカリングだ
ろう。
それ以外はどれもかなり精密な加
工技術と手間が必要になる。
世にあるキューのファンシーリング
で一番ブシュカリングが多いのは、
既製品の金属の輪っかを樹脂で挟
んで接着するだけで生産性が高い
からだろう。
個人的に好きなのは樹脂一体物だ。
次がスロットのTADリングが好み。
樹脂一体物が好きなのは打感から。
スロットが好きなのは視覚的なも
のから。和風な印象がある。
あまりごてごてしたリングは私は
好きではない。
ファンシーTADなどは、バットが
かなり派手な細工なので、シンプ
ルなスロットリング等はそれとバ
ランスとしてマッチしていると思
う。
こんなのもある。
これはTADの荒ネジ、茶樹脂リン
グ。
元世界チャンピオンのジョー・バ
ルシスが亡くなった1995年に彼
の使用したTADの追悼記念モデル
として作られた。
打感はシャフト二本とも極めてソ
リッドだ。

上が吉村、下がTADコハラ製。
どちらももう新品では手に入ら
ない。
TADさんにスペアシャフトを頼
んだら、アメリカまでバットを
送らなくても日本には吉村さん
がいるから彼に作ってもらって、
と言われて誕生した嘘みたいな
シャフト。
吉村さんのTADシャフトはネジ
が傷まないように樹脂で作って
あり、TADよりある意味精巧(笑
ちなみに、コハラさんと吉村さん
はツーカーです。親友。
吉村さんの作るキューはTADに
よく似ているけど独特な味のある
キュー。60年代からの古い職人
さんでしたが、今は引退されて
ます。大阪の人。TADさんは親
が広島の日系二世アメリカ人。
本名コハラタダチさん。

先角は本象牙。
