渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

強度計算上の問題

2022年08月02日 | open





ある凄腕リペアマンの方のレポート
を読んでいたら、ハイテクシャフト
のフェルール(先角)割れのトラブル
が非常に多いのだという。
先角を除去してみると構造が判る
が、手玉の横トビを軽減させる為
に軽量化第一で極度に先角素材を
薄くして短くしているのが原因で
亀裂が発生するようだ。
見ると先角の外周厚みは三角定規
の厚み程もない。これでは割れも
しよう。
 
最近はカーボン製シャフトも多く、
シャフト先の割れの心配も無い為、
先角さえ存在しないカーボンシャ
フトも登場している。
ビリヤードキューの先角は、プー
ルもスヌーカーもシャフト木部の
先端が割れる事を防止する目的で
装着される保護ガイドカラーだ。
細いスヌーカーキューはさらに割
易い為に金属フエルールにして
ある。完全にガイドカラー万全の
構え。
先角が割れてしまっては保護カラー
の意味ない。
 
手玉直進性のみを求めてのモノヅク
をした結果、保護カラーである
という本来の目的達成を忘失した
製品。
これらは工業的にも「良製品」と
は呼べない。
亀裂破損はいつ発生するか分から
ないので、重要な試合の時などは
爆弾を抱えたようなその状態で
大事な試合に臨む事になる。
 
かつて象牙が高級キューでは一般
だった頃、象牙も時々割れたり
浮いたりした。
だが、それは衝撃によるものでは
なく、天然素材の象牙が湿度や
温度や気圧で割れたりしたケース
が殆どだった。何もせずともパリッ
と亀裂が入る事があった。
その為にメウチなどは人工樹脂に
こだわっていた。
 
象牙先角


リペア後


ハイテクシャフトは、木材資源枯渇
問題と木製品の個体差を克服する為
に開発された。
その中でキュー先を軽くすると
極端
に手玉のズレが減少する
実が発見
された。
以降は、手玉の直進性のみを求める
シャフト作りが爆発的流行となり、
全メーカーがそれを実行した。
真っ直ぐにしか進まないその手玉
動きこそ良質なキューの現れ、
う大衆洗脳が企業により
開始され
た。(今は洗脳ネタはカー
ボンシャ
フト)
全ては新製品を次から次に売る為
だ。利潤第一。
その結果、多くの弊害がビリヤード
界にもたらされたが、その一つと
して、儲け第一主義によるキュー
先の耐久性の著しい低下という工業
製品としてはあってはならない事態
を現出させるに至ってしまった。
製造メーカーの目の曇り、心の曇り
がそれを発生させている。
品質とは、目先の事や見た目の綺麗
さとは違うのだけどなぁ。
もしかしたら、切れる電球のように
破損買い替え促進を見越して設計し
ていたりして。
 
走るとホイールが割れて壊れ
オートバイ。
それ、乗りたいですか?

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