渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

キャンプナイフのオススメ

2020年09月29日 | open
 

(オールドガーバー)
 
キャンプではナイフの存在は必須となり
ます。
最近はナイフで薪割りをするバトニング
(薪でナイフを叩いて薪を割るサバイバル
術)が知られて来て、ナイフバトニングに
耐える丈夫な造り込みと断面構造のナイフ
に人気が集中しているようです。
そのため、40年程前の1980年代から米国
ナイフの影響を受けた日本のナイフで標準
化してしまったホローグラインドは廃れつ
つあります。
私個人はホローが好きではなかったので、
コンベックス(ハマグリ)やフラットをあえ
てホロー全盛時代にも多用していました。
 
どうしても米国の影響下にあった日本は、
ホローグラインドという新規の肉えぐり
の断面形状がさも至高であるかと思い込
む時代が続いていました。

この2口のうち、私が真に多用したのは、
下のド蛤刃のハットリのほうです。


上の山下刃物オリジナルは、私がハンドル
部を加工再構築した。かなり箱出しとは
シルエットを変えてある。製作者が契約
切れのため今は山下刃物製のマウンテン
ブレードは製造されていない。カスタム
ナイフメーカーによる下請ショップライ
ンナップだった。この人の小型渓流ナイ
を私はフライフィッシングでは愛用し
いました。今でも使います。


元々はブローニングのモデル・チーター
をOEMで服部刃物が請け負った時にこの
優れたブレード形状は根付いたみたいで
す。後年、ハットリの実力ナイフとして
ラインナップに加わります。


但し、チーターはフラットグラインドだ
ったが、OEM解消後に服部が手掛けた
3716はハンドルを少し伸ばしてブレード
をハマグリにし、鋼材をVG10にした。
最高に切れる。
ただし、マグロ真っ黒な黒檀が希少な為、
現在は注文生産となっている。
 
ベースのチーターもハットリも、唯一の
ウィークポイントはハンドルが彫刻刀の
ように細すぎることです。
これは細かい作業には向くが、大技には
適していない。
フェザーも作りにくいし、バトニングな
どにも不適といえます。
 
しかし、そのまま指を咥えてポケーッと
しているアウトドアマンなどはいない。
工夫する。
時計ベルトを巻くだけで、北欧プーッコ
のようなハンドルタッチになる。


このブローニング・チーターとハットリ
3716は、素晴らしいナイフなのだが、い
くらナカゴ突き通しのナローであるとは
いえ、フルタングではないので、ナイフ
バトニングなどすると壊れる可能性があ
る。これが、ハンドル材が堅木ではなく、
レザー ワッシャーならばバトンにも耐え
る。


私自身が作る鍛造ナイフも、フルタング
でない物は、バトニングには適していな
い。たとえ材料と作り方が斬鉄剣工法で
あろうとも。
(私が製作した打ち刃物。斬鉄試験済み)


(材料)


キャンプで使うナイフは、バトニング等
のハードな使い方に耐える云々よりも、
見落としがちな大切なことがある。
それは、長さだ。
長すぎる刃物は非常に使いにくいのであ
るのだが、短い小型ナイフでは食材など
をカットするにとても使いづらい。とい
うか、使えない。
これはやってみれば判るかと思います。
 
せめてこれくらいの長さがないと、調理
においては使えない。
その凡その長さは8センチあたり。
それ以下ではロープ切り等では能力を見
せるが、野外での汎用性には劣るのだ。


このブローニング277フォールダーなど
は、デスクナイフ、細かい作業ナイフ、
開梱ナイフとしては最高だが、野外活動
での全域をカバーすることはできない。

無論、これでバトニング薪割りなどは
できない。
先日、テストで杉の薪をこれでバトニン
グで割ってみたが、フォールダーの定め
の通り壊れてしまった。
まず、ライナーロック部のかかり面が破
損する。ボルトピンも歪んで曲がる。
それを今は全バラ完全修理を施して再び
日常的に使用している。これは365日離
さず共にある。


キャンプで使うナイフの長さの目安は、
大きなトマトをスライスカットできる位
の長さなのではないでしょうか。
大体、それは8センチ以上となります。








かといって、ブレードの長さが11センチ
を超えると大型ナイフの分類になってき
て、これまた不思議なものでかなり使い
にくくなって来る。用途が限られて来る
んです。
 
ところが、デザインが秀逸なためブレード
を握ることで、大型ナイフなのに小型ナ
イフのような働きをするようなナイフも
あります。


この関の石川刃物IC-CUTの大型ナイフ
がそれ。


このようなホールドでゲームのスキニング
や細かい作業にも対応させられます。
このナイフの唯一の欠点は、時代の流行
の為か、ホローグラインドであったとい
うことのみ。


このナイフでバトニングもバンバンやり
ますが、全然平気です。
なんだかんだいっても、このIC-CUTの
使用率が私は非常に高い。
スチール缶やアルミ缶をサクサク切って
現場で物を作るのもこのナイフを多用し
ています。信頼度ハンパない。安心。
形はタイガージェットシンの靴みたいな
感じですが。不人気だった初代ウルトラ
マンの何話かで登場した靴先みたいな。


全般的な汎用性の高さと、心置きなく使
い倒しができる価格帯としては、モーラ
がオススメかなあ。
ただし、こうした一般モデルはタングが
途中までなので、バトニングはやめてお
いたほうが賢明です。ナイフ壊れます。
バトニングやるなら、タング=なかごが
突き通しでエンドまで貫通しているナイ
フにて。フルタング構造がベストです。


このような私の短い8センチナイフでも、
このモデルのようにフルタングならば、
ハードなユースにも耐えられます。
このモデルなどは肉厚も4ミリもある。
トラベラーズというモデルですが、見た
目のギャンブラーナイフのような華麗さ
とはかけ離れたタフネスさを持っていま
す。こういう「いかにも」とした仰々し
さのない可憐なナイフが実はとんでもな
い実力をもっている、というのは、なか
なかイキなことやってのけてるように思
えます。
こういうのがカッコいいんだよなあ。
見た目でオラオラしてるのではなくても
実はすげーぜ、みたいなのが。
猿の惑星のゴリラみたいなマッチョ脳筋
系ではなく、沖田総司系みたいな。
私はこのシルエットとホワイトのアイボ
リーマイカルタが好きで、このモデルは2
丁持っています。
 
クラブブラザーに支給するコマンドナイフ
は、このモデルをベースにハンドルを延長
し、ヒルトを無くしたフルタング、コン
ベックスグラインドで私が作ろうと思って
います。刃厚はベースモデルと同じく4ミリ
計画。SUS鋼材なので熱処理は八田さん
に出します。ステンレス鋼は鍛冶炉では
焼き入れも焼き戻しは絶対に出来ない。
規程温度で一定に規程時間保持しないと
熱処理ができないからです。炭素鋼の様
にやって上手く行く筈もない。冶金とし
て、それはあり得ないんです。
無論、サブゼロも鍛人では出来ません。

ただ、ナイフは作れるけど、私はシース
がド下手くそなんだよなあ(笑)。
ツーリングナイフだから、カイデックス
で作ろうかしらん。
でも、そうなると、ギャンブラーズのよ
うなホワイトハンドルとは似合わなくな
るよなあ。思案どこ。
計画は、焦らずぼちぼち進めます。
フルタイムのプロビルダーではないので。
 
今後は、しばらくは、太くて短い同田貫
のようなこの謎のナイフをこれでもかと
いう程に使い倒してみようと思っていま
す。ハードなユースから繊細な作業まで。
切り屋兼作り屋としての知見を得るため
のテストとして。
刃厚5ミリ。ナイフとしては厚い部類で、
武器である刀剣に肉薄するブレードの厚
みで作られています。


ただ唯一の欠点。
製造者、リリース販売者共に詳細不明の
謎のナイフなので、リピート購入ができ
ない事がそれ。
まあ、でも、こういう出所不明ながら、
なかなかやるなというナイフが一本位は
あっても良いのでは。
差し当たり、フェザーはとてつもなく作
り易いナイフです。これ、実に優秀。






ハンドル形状は左のリアルスチールのほう
が優れているが、リアルスチールは軽すぎ
てチョップには向かない。
 
バトニングやチョッピング技法は、実は
日本では江戸時代から薪割りや竹割
りに
広く行なわれていた。棟に打撃
痕の残る
日本刀刀身は多く存在する。
短刀や残欠
刀などに多く見られる。
戦闘武器としての役目を終えた日本刀は、
道具として農村部や市街地で使用される
シーンも多かった。
一番頭痛くなる事実は、日本刀を人力車
のスプリングに使っていたことだ。
「加州兼若はさすがによい弾力だ」など
と笑うに笑えない実話が伝えられている。
残欠刀ならば、現代でもナイフとして再生
させてあげるのもアリかと私は思う。

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