フォーム その4

刀法には空気斬り用の刀法などは

無い。

普段習い研鑽している刀法で実際

に斬撃する。

また、「畳表等を切断するためだけ

のフォーム」なども武術の世界には

存在しない。

あったとしたら、それは武術とは

関係のない別なジャンルだ。

ガマの油売りの長物抜刀見せ物の

ように。

ただ畳表を切断できたかできない

かだけに視点が行くと、この一番

大切な事を見逃して、取り返しが

つかなくなる。

そういう道を外して戻れなくなっ

た人は世の中実に多い。

普段の抜刀術の剣法剣理のままで

切る。これ武術として当たり前。

そして、それで切れなければ、普

段自分がやっている抜刀術や抜刀

後の剣術らしきものが嘘なのだ。

止まったまま、腕だけ振って切ろ

うとしたり、殊更に重く長大な刀

を使ったり、武技とは無縁の極端

に切った後に前傾したり腰を落と

したり。

それらは自分がまともに武術とし

て切れないから、無理矢理畳表等

の据物を切断するための動作で

あって、武術とは無縁だ。

普段研鑽している剣法通りに運刀

し、切る。

切断も切開も自在にできるように

するには、まず基本である己の修

めている剣法の刀法を学び極める

事をきちんとやる事だ。

畳表が切断できたかできないかだ

けに心が行くのは、それはモグラ

叩きに等しく、武術ではない。

曲芸斬りができたかできないかに

心が捉われるも同。武技とは無縁。