
出荷段階で刃こぼれしまくりだったので、
荒砥で刃こぼれの谷まで刃を引いてから
研ぎ、#1000の柔らか目の砥石で刃を付け
てみた。この段階で試し切りする。
切れ味は悪くない。刃味もさらに天然で
仕上げて研げば何とか行けそうだ。

でも、使う場面は限定的だろうなあ。
こういう細かい工作向きだろう。
彫刻にもいろいろある。
これは目釘削りで竹をガンガン削るよう
な木工や能面打ちに使える刃物ではなく、
鉛筆の木部に顔を彫ったりするような、
そういう細工用の刀ですね。

刃物が刃こぼれした場合は、一番深い
刃こぼれの谷の底から刃道を一直線に
引いたラインで刃引きしてやる必要が
ある。修正の際には少しでも刃こぼれ
が残っていてはならないからだ。

注意すべき点は、両刃でもそうなの
だが、刃物は原形の相似形になる
ように成型し直してやらないと
いけない。
下図の場合、赤線での成型は✖なの
である。青線で面を研ぎ落として
原形と刃先が同じ角度になるように
してやるのが◎。
かなり荒砥で押すことになる。
これをしないと研げば研ぐほど
ずんぐりむっくりな棒のような
断面の刃物になってしまい、刃が
付けられなくなる。
(片刃の刃物を横から見た図)

成型には各種の荒砥石を使う。
刃物研ぎは、砥石が2丁だけでは
刃物の適切なメンテナンスはでき
ない。
刃物を本気で研ごうとしたら、
最低でも
・荒砥石 3
・中砥石 4
・仕上砥石 6
・革砥 1
は必要になる。これは最低ラインで。
人造砥石でもメーカーの製品によって
その個体刃物に合う合わないがある
ので、それの見極め能力も必要だ。
簡易研ぎであるならば、荒砥と
中砥と仕上砥の3種類で大丈夫だ。
天然砥石の場合は、番手が無い。
石の中でも硬度と粒度が変化して
いるのだから番手のつけようが
ない。
天然砥石を使うならば、正確な知識
と実際に試し磨りしてみての砥あたり
を体感して感知による判断を自分
で成さないとならない。