ここに二つのスリップジョイントのナイフ
がある。
どちらも、フルタイム・カスタム・ナイフ
メーカーの作品だ。
上のナイフはかなり高い。
下のナイフは「うそ?!」と驚く程に安
い。しかも、下のナイフは有名ナイフ作家
の作品で、革製ケースまで付いている。
さて、どうしてこういう現象が起きるので
しょうか。
勿論、下のナイフにしても、プロの販売品
であるので損益分岐点は割っていない筈で
す。販売店に卸し売りしている。
その販売店は掛け値を掛けて販売して利益
を得る。
その末端価格が驚くほど安いということ
は、一体、このナイフはいくらで店に卸し
ているのか、という事。
中華製ではありません。れっきとした国
産、日本のカスタムナイフです。
なお、最終販売金額を決定するのは公取
ではありません。販売店です。
上述の高額現象が起きる原因は三つ推測
できます。
ケース1:卸値が高い→販価高額に
ケース2:販売店高利狙い→同上
ケース2:製造卸販売店とも高額設定→同上
このことは、逆に低価格の廉価で最終の
販売価格を抑えられるカラクリも示し
ています。
ナイフではなく日本刀でいえば、大層な
大仰な付加価値を付けて武用実用刀剣に
200万円も300万円もの販売金額をつける
ほうがどうかしている。
これと似たことはピンクドラゴンの故
山崎眞行氏も言ってました。
「ブランド品としてバッグ1個に100万
とかね。よくそんなことするなあ、
と。恥ずかしくないのかな、と」と。
日本刀の武用実用刀で200万、300万の
金額を付けて俺様流儀を自慢しても、
刀工に支払われる金額は20万程度です。
工作費が40万としても、原価60万。
あとの240万円はまるまる販売店の
利益。
どんなに儲けようと自由です。
でも、よくそんなことするなあ、と。
うちが小林康宏を廉価で提供できるのは、
私個人の利益ゼロでシステムを作ったから
です。販売店も利益を極度に圧縮してい
る。刀職の職方には実費を全額支払う。
廉価で多くの人に製品を手にしてもらう
ためには、販売店とプロデューサーの利益
を無くすしかないんです。
私は無償でも構わない。しかし、販売店は
それ一本での生活なので、利益は出しま
す。しかし、暴利は取らない。
それだから、半百の一括注文を実現できた
のだと思います。注文主様の熱意にも支え
られて。
妙な上から目線だったり不適格な方の依頼
はすべてお断りしました。
その数も三桁までは行きませんが、かなり
になりました。
変なことになるのも不本意ですので、どこ
の誰にでも売るのではなく、ご注文主様は
厳選させて頂きました。これは商法民法の
規程に基づく商取引として双方合意により
契約が成立するということを実行した遵法
行為であり、それについて文句やいちゃも
んをつける人も多かったのですが、それは
法云々よりご縁が無かったということで。
小林康宏作日本刀は売り先は選びます。