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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

梅雨が足早にやってくる

2003年05月15日 | open

今年の五月は五月晴れが少な
いような気がする。
空は五月の空が一番好きだ。
きょうも雨が降っている。
伊勢正三さんは『雨の物語』
のことを『22才の別れ』の対
歌だと言っていた。
『雨の物語』の中で降る雨は、
何月の雨なのだろう。
そういえば、つらい思い出は、
思い起こすと、雨の日と重な
る。
雨の日は嫌いではないのだが。

梅雨が足早にそこまでやって
来ている。
そこそこの雨は、彼女に会う
ため渓流に行く場合は僕にと
っては歓迎だ。
アマゴは雨の子でもあるから
だ。
しかし、たまには釣りを忘れ
て、雨の日を待たずに雨が降
らないことを念じて彼女に会
いに行き、ただそこはかとな
く流れを眺めるのもいいだろう。

ここ数日、時間の密度がとて
も凝縮されている。
遠く、とても遠く思えること
が、ほんの数時間前だったり
する。
春先に雪代が川の流れに溶け
出すように、今のこの濃い時
の流れが薄れてゆき、やがて
消えていく時が来るのだろう
か。
川の流れのその水は、宙より
降りて、樹々の葉からしたた
り落ち、森を抜け、渓流から
竹林をなで、葦のある里川か
ら本流へとつながる。
そして、清き泉より湛えられ
たその水の流れは、長い遠回
りをしながら、浜にそそぎ、
洋へと結ぶ。
海と空は一つに溶け合う。
そして、渓流の石の下には神
の言葉が刻まれている。

静寂なることを学べ

今度渓流に行く時は、ケーナ
ひとつを持っていこう。
その時、私は渓流詩人になれ
るだろうか。