総天然色映画で肝心のコダックの
イーストマン・カラーについて…。
内式のカラーネガフィルムです。
露光指数はASA32でタングステン・タイプです。
今の銀塩フィルムのフジカラー・ネガがASA400ですから
随分,感度が低かったことになります
感度の低いフィルムを使っても映画は画面が動いていますから,
1/50のシャッターで撮らなくてはなりません。
使用するレンズ開放F値(レンズ名・バルター)とシャッター1/50が
露出の限界(明るさの)になります。
スタジオのセットの照明が暗いときは,明るくしなくてはなりません。
R電舎が、20㌔ワットのお化けのような
タングステン電球を作りました。
この電球を入れる照明器具もばかでかいものでした。
その器具を天井からのウィンチで吊り上げて
セッティングしていました。
20㌔ワットといえば,家庭のブレーカーの容量です。
それがずらりと並ぶのですから,すごいことです。
… … …
セットのあちこちに瀬戸物の器に塩を入れて置いてあります。
それを照明係さんはなめながら、
汗まみれになって天井に上がっていきます。
セットの天井は「灼熱の地獄」でした。
… … …
この20㌔ワットの照明器具に切り替えスイッチが付いています。
本番前,このスイッチで半分の10㌔ワットに下げます。
切り替えと同時に、電球を守るためのファンが
「ヒューン…」
と音を立てて廻ります。
… … …
大映では,その照明の熱を冷ますのに冷房スタジオ(A2スタジオ)を
作りました。
… … …
本番前に色温度メーター(スペクトラ・スリー・カラーメーター)で
照明の電球の色温度を、色彩計測係が3200°Kあるか調べて
色温度の低い電球をチェックします。
これがなかなか厄介なことでした…。
… … …
昼光のロケーションは色温度変換フィルター(赤味を帯びた、例えばA12)を
レンズの前に付けなくてはなりません。
フィルターで光線を吸収しますから,
実質露光指数は半分のASA16ぐらいでした。
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