初心者の老人です

75才になって初めてVISTAを始めました。

生ドラマ

2008年12月24日 17時27分42秒 | Weblog
 力道山が街頭テレビで、ヒーローだったころ。放送局にはまだVTR(録画装置)
がなかったから、朝から晩まですべて生放送でした。
 放送時間は朝、10時から、14時まで、夕方は5時から夜10時頃でした。
 夜のゴールデンタイムは、東京からのネットで東京も生放送でした。
 テレビドラマを生で制作する場合、まず、脚本が出来上がります。
脚本に基づいて、スタジオの中のセットの配置が検討されます。俳優さんがストーリーに従ってスムースに動いていけるか検討されます。それを図面にしたのが「青図」といいます。つぎに、俳優さんが一堂に会して読み合わせが行われます。
仕上がり時間どおりに読み合わせがすみますと、スタジオの床に「青図」に基づいて、原寸大のセットがチョークで描かれます。そのうえで、扮装をしないで、動きのリハーサルが行われます。これをドライリハーサルといいます。
やがてスタジオにセットが出来上がって実際に扮装をしてテレビカメラを通して、カメラリハーサルが行われます。これで、大体ドラマはできあがったのですが、スタッフと不都合なところなどの手直しをして、念のために最後の実際の放送に従ってのリハーサルを行います。これをランスルーといいます。
 各リハーサルが問題なくスムースに出来上がっても、本番の保証はありません。
往々にして、いい加減なリハーサルのときが本番でうまく行くときが多いです。

 スタジオのAD(アシスタント・ディレクター)さんが実際の放送時間に合わせて秒読みします。
「5、4、3、2、1」
 ADさんは、俳優Aさんを、AセットからBセットへ導いてきっかけを与えます。のちの録画撮りドラマと違って、生ドラマはこのADさんの腕次第でした。

 あるドラマで、生前の元気な姿と、臨終の場面が、交互に表現されるストーリーがありました。映画でカットバックという描写です。
 臨終の場面で、俳優Aさんが間に合わなくなってしまったのです。意を決した俳優Aさんは、涙にくれる遺族の前の空の寝床に猛然と飛び込んでゆきました。
 もちろん、この生ドラマは大失敗です。

 生ドラマが無事に終わっても、俳優さん、制作スタッフとも、いま放送したドラマがおもしろかったのかどうかさっぱりわかりません。いつも皆、顔を真っ赤にしてスタジオを出てきました。生ドラマ開始前のプレッシャー、本番中のスリルは独特のものがありました。何度でもNGの出せるVTRドラマになってからむしろ懐かしいくらいです。




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