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遊びをせんとや

毎日できるだけアンテナを張って
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歌舞伎座の怪人

2013-12-25 07:29:15 | 歌舞伎
ちょっと、顔見世を見て今、歌舞伎界の危機かも?

と思ってしまった。

まず、仁左衛門が右肩の故障で入院。これが寂しい。
仁左衛門がいない関西歌舞伎なんて、なんと華がない。

今年の6月に観たときには本当にうまくてノーブル(これがなかなか最近ない)で
芝居がうまくて間がいい。  本当に千両役者とはこの人のためにあるような、、、。

たとえ、市川猿之助の襲名披露と言えどもなんとも寂しい。

先代猿之助が最後の南座の顔見世に出演した公演を見たような気がする。

でもこの顔見世のようなクラシカルな公演は座組みが完全なヒエラルキーなのだ。


学生時代から独身時代にかけて歌舞伎公演を見まくっていたころは
今から思えば華やかなりし時代。

少し相撲界と相通ずるものがあるかも。

猿之助一座はバンバン公演して宙乗り、早変わりやりたい放題。
歌舞伎界の小林幸子のようだった。

三之助と言われた新之助(亡き団十郎)菊之助、元気はつらつだった辰之助(若くして亡くなった現松緑の父さん)、

海老玉(亡き団十郎と玉三郎)コンビや孝玉コンビ(現仁左衛門と玉三郎)の
道行のなんと美しかったことか、、、。

バイブレーター的な澤村藤十郎や市川染五郎(現松本幸四郎)

もちろん現役巧者の先代勘三郎、先代勘九郎親子

若い頃からうならせる芝居をした中村吉右衛門

中村歌右衛門も健在だった。

恵まれた時代だった。

踊りの名手、中村芝翫、とびきり若い福助や橋之助、坂東八十助(現三津五郎)

なんと層の厚い、歌舞伎界だったことか、、、。
東京の歌舞伎座、新橋演舞場と梯子すればなんと色々な味が楽しめか。

上方歌舞伎も元気だった。

それが今や勘三郎、団十郎とことごとく亡くなり
大名代歌右衛門を襲名するべき福助は重病、三津五郎も癌

仁左衛門は肩損傷、猿之助もすでに舞台には立てないようになり。

吉右衛門は頭髪ともに真っ白で疲れ切っていた。

残るは元気な玉三郎くらい。


やはりヒエラルキーは現代人を消耗させるのか、、、。
はたまた松竹の使い方が悪いのか、、、。

歌舞伎公演はほぼ1か月にも及び、残り少ない月末は
次の公演の稽古が入る。
50代くらいになると疲れも溜まるローテーションだ。
(出演がなければ、1か月の休みになるとは思うがその間に地方巡業や踊りの稽古なんかが入るのだろう)


それとも先代歌舞伎座の怪人の怨霊か、、、。

先々代の歌舞伎座が立て直しの時も5人の名優が亡くなったそうだ。

江戸時代から役者を神格化して崇めてきた民衆。

さて海老蔵がその大役をどこまで全うするのかがこれからの楽しみかな?