川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
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10年前に警告されていた所得格差拡大の社会問題

2006-02-07 11:07:49 | Weblog


私の手元に10年前に発刊され、当時、共感をもって読んだ2冊の本があります。

〇「中流」が消えるアメリカ 稲葉陽二著 日本経済新聞社刊
              1996年11月5日1版1刷
〇ダウンサイジング オブ アメリカ(大量失業に引き裂かれる社会)
              ニューヨークタイムズ編 日本経済新聞社刊
              1996年11月15日1版1刷

◇「中流」が消えるアメリカ
この本では、1980年代から1990年代にかけてのアメリカ中産階級の縮小貧困化と社会階層間の所得格差拡大の問題を論じています。

この本は、①所得格差拡大は民主主義の根幹を揺るがす恐れがある、②このアメリカでの所得格差拡大が日本でも近い将来起こり得る、という危機意識のもとに書かれています。

◇ダウンサイジング オブ アメリカ
この本では、大企業を中心に進んだ大規模レイオフ(首切り)の問題を取り上げています。米国労働省統計は1979年~1993年に、3600万以上の雇用が消滅したことを示しているとしています。

これによって失業者が増えた。新たに増えた雇用も多いが、その主力はパート職で、低賃金と福利厚生がほとんど保障されていない。こうしたことを問題提起しています。

◇「人員整理」は経営者のタブーでなくなった
昭和年代の日本の中・大企業では、不況下でも従業員を解雇しないで切りぬけることが経営者の誇りでありました。国鉄の民営化という例外は在りましたが、社旗一般に、それが一流の経営者という社会的な評価がありました。

平成年代に入ってその倫理道徳が突然、変わりました。竹中大臣のように「グローバル化」が流行になった時期に、変わりました(グローバル化というのは単純にアメリカ政府好みに衣替えしようということです)。

企業業績を回復した、決算の利益や利益率が前年より向上したと、誇らしげに経営者が語ります。どうして向上したか? 合理化です。合理化には、業務の再編効率化、生産設備の更新などいろいろありますが、何より人員整理が一番でした。経営者は、従業員を何百人減らします、何千人減らしますと誇らしげに語るようになりました。

◇派遣労働とアウトソーシングで低賃金化
「職業選択の自由を拡大保障する」という名目のもとに、「派遣労働」が認められるようになって、アウトソーシング(業務下請け)市場が飛躍的に拡大しました。これによって、低賃金化が全国に広がり、もはや回復のめどはありません。

◇10年前の日経の警鐘キャンペーン
10年前に、日本経済新聞が警鐘キャンペーンを張っており、多くの識者がそれを知っていたにもかかわらず、今、所得格差社会が日本に定着しました。年収500万円以下の世帯は、あたりまえのように私の身のまわりに数多くいます。

小企業や零細企業に勤めていれば職があるだけで幸せとしなければならない時代です。それに小企業主や零細企業主には、従業員にゆとりある給料を出す力がありません。年収500万円以下の世帯では生活にゆとりがありません。税金、年金、健康保険、介護保険などの料金増額に加えて、診療費の負担率増大などは、低所得者には心底応えます。

◇10年前に見えていても名門政治家には…
今、所得格差拡大の社会問題化について、政府与党内では公明党が言及しています。しかし、小泉首相は取り合う様子がありません。小泉首相は保守政治家3世です。祖父も、父も、本人も政治家です。権力の最中で子どものときから育っているので、民情を理解できないのでしょう。

安倍官房長官も政治家3世、名門の出です。谷口大臣は政治家2世です。麻生大臣は吉田首相の孫で、これは日本のエスタブリッシュメント、貴族のような階層に属します。下々のことに痛みを感じてくれるとは、とても思えません。

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