川本ちょっとメモ

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橋下徹大阪府知事時代 二重行政改革、府市水道統合協議、WTC府庁移転に隠されている大阪市支配への意欲

2019-03-09 17:51:37 | Weblog

2018-12-29
<大阪都構想> 松井一郎大阪府知事(日本維新の会代表)が2回目住民投票に関する維公合意書を記者会見で公表
2019-01-08
橋下徹氏と大阪維新の動き 安倍首相へのおねだり成果
2019-01-26
<大阪維新> 橋下徹府知事(当時)が大阪府庁の咲洲(湾岸埋立出島)全面移転にこだわったことで「この人はあかんわ」と思いました(1)
2019-01-28
<大阪維新> 橋下徹府知事(当時)が大阪府庁の咲洲(湾岸埋立出島)全面移転にこだわったことで「この人はあかんわ」と思いました(2)
2019-02-24
<大阪維新> 橋下徹府知事(当時)が大阪府庁の咲洲(湾岸埋立出島)全面移転にこだわったことで「この人はあかんわ」と思いました(3終)
2019-02-27
<大阪維新> 橋下徹氏は経済人・国政政治家の後援を確認してから出馬した/二重行政問題は大阪市を制御したい府目線
2019-03-09
橋下徹大阪府知事時代 二重行政改革、府市水道統合協議、WTC府庁移転に隠されている大阪市支配への意欲
2019-03-31
大阪では維新政治が安定しません / 都構想なしの太田房江府知事時代には府市連携協議が持たれていました
2019-04-02
<大阪維新> 橋下徹大阪府知事は二重行政改革の手始めに、前任太田知事の府市水道協議成果である「府水道予算800億円削減案」を見捨てた




 ■二重行政改革の手始め――大阪府市水道統合協議

2008年2月の橋下徹大阪府政スタート時点では、「二重行政のムダを省く」という行政改革が一枚看板でした。2月就任早々に橋下徹府知事(当時)と平松邦夫大阪市長との会談が持たれ、橋下知事(当時)から平松市長(当時)に水道事業、信用保証協会、公営住宅の3事業について二重行政解消を提案しました。

大阪府と大阪市の水道事業統合協議がすぐにスタートしました。平松大阪市長は2007年11月に市長当選。知事は弁護士からの転身であり、市長はアナウンサーからの転身です。ともに就任間もない新鮮な時期でした。

 大阪府と大阪市の間で、水道事業統合協議が2008年2月から2010年2月にかけて33回行われました。統合協議は大阪市の統合案に大阪府が乗る形で合意が成立しました。そして府市共同で府営水道受水市町村に対して説明会を開きました。

 ところが受水市町村が統合案に反対したので、大阪府側が合意を撤回しました。結果、統合協議は合意に至らないままに終わりました。そして大阪市以外の府内市町村と大阪府は新たに「大阪広域水道企業団」という組織に集結しました。

大阪府市水道事業統合協議が合意できなかったことについては、両者の置かれている環境条件が違ったということであって、どちらかが悪いということではありません。

「二重行政改革」というのはもともと、大阪府事業の立場から見て大阪市事業が重なっている部分を大阪府が利用できるようにする。大阪市との共同事業によって、大阪府の財政の節減を図りたい。こういう発想に基づいています。

 大阪府財政にとって大阪市の経済力の盛衰は大きな要因です。橋下徹氏と後継の大阪維新政権が南港・北港の大阪湾岸市域の活性化に強い関心を持つのは当然でしょう。大阪府庁の咲洲移転の強い動機はこの点にあります。

 今、大阪府内で、「都構想」に賛成する市町村は皆無、ゼロです。この状況で大阪維新が大阪市だけにすがりついているのは、政令市である大都市「大阪市」を解体し、大阪市の実権を大阪府に収容することが主眼であることを示しています。


 <橋下徹氏=大阪維新の変節 全く相反する大阪市営水道政策>

 ● 大阪府知事時代
   府市水道事業統合推進 → 府内市町村反対大阪府が大阪市との水道
   事業統合を断念
      橋下徹氏の大阪府知事時代。当時の平松大阪市長と府市水道統合協議を33
      回実施、統合合意成立。ところが大阪府下市町村が統合反対。大阪府側の
      合意撤回により、水道事業統合協議破綻。その後大阪府下市町村が集結し
      て水道企業団を設立した。
 ● 大阪市長時代
   大阪府広域水道企業団参加(※統合政策)推進 → 大阪市議会反対、阪府
   は水道事業統合を断念大阪市は水道民営化に向けて方向転換


上水道は命を継ぐ源であって大切なことなので、次回以後に経緯を学んでいこうと思います。

橋下徹府知事時代には平松邦夫大阪市長と共に、二重行政改革の重要な環として大阪府市水道事業統合に努力を重ねました。そして水道事業府市統合大阪市案を採用することが橋下知事と平松市長の間で合意成立しました。

しかし橋下徹知事は、大阪府営水道から受水している市町村(府営水道協議会)の説得に失敗。大阪市以外の府営水道受水市町村が参加する水道企業団設立へと方向転換しました。2010(H22).02.26.付の大阪府から大阪市へのこの旨通知書をもって、大阪府市水道統合協議は終わりました。

この協議終了通知書の末尾は次のように書かれています。
 
 ――平成23年4月の企業団設立を目標に、市町村と一体となって取り組んでまいります。府域一水道実現に向けては、貴市のご協力が不可欠と考えますので、引き続き、よろしくお願いします。

大阪府知事時代に上のごとく「府域一水道実現に向けては、貴市のご協力が不可欠」と大阪市に言っています。これは府域一水道(統合政策)に参加してほしいという大阪市に対する大阪府の意思表示です。

しかし、府知事に引き続いて後に大阪市長となった橋下徹氏は、府知事時代の水道事業府市統合政策を捨てて、大阪市営水道の単独民営化(=大阪市営水道経営権売却)へ、逆方向転換します。

 水道事業の府市統合問題で橋下徹氏は、変節をくり返しました。


 
大阪市と一旦は合意した大阪市案に府営水道受水市町村長らが強く反対して、大阪市を説得してくれと言います。このため橋下徹知事は、大阪市との合意を破棄。
 
 
大阪市を捨てて、受水市町村の側に乗り換えます。府営水道が公営企業団方式に模様替えしただけです。

翌年2011(H23).10.31.橋下徹氏は大阪府知事を任期途中辞職、大阪市長選に立候補して当選。2011(H23).12.19.大阪市長に就任します。大阪市退治です。

大阪市長として大阪市に乗り込むと、大阪市水道を既に発足している公営企業団水道に参加させようとします。だがここで、大阪市議会が反対。

 すると今度は一転、水道事業府市統合という大阪維新政策の大前提を捨てて、水道民営化の方向へ舵を切ります。そして後継の吉村洋文市長が橋下徹氏の水道民営化路線を推進していきます。大阪維新の水道事業政策は、「二重行政解消=都構想」から「府市並立2本立て=民営化」に変節しています。
 
 
二重行政改革のための「大阪府市水道事業統合協議」という大義名分の下に隠された「二重行政改革とは大阪府による大阪市支配を強化する」という本質がここに露顕しているのです。

さらに、「水道民営化」は安倍首相が強く推進しているPFI(※民営化)アクションプラン――10年間で事業規模21兆円の期待される新自由主義経済政策の柱でもあることを考え合わせると、安倍首相にぶら下がる大阪維新らしいことと受け取れます。

 民営化では上水道事業の収益が悪くなって経営が辛い時が来れば、値上げか、事業経営を投げ出すかのどちらかしか方法がありません。そのほか、水質の安全確保や災害時の対応は大丈夫か? 大阪市当局が事業会社をしっかり管理監督できるのか? 水道事業を完全民営化にすれば、取水 → 浄水場 → 各個住民戸口まで水道施設に関する施工・メンテナンスの技術継承はどうなるのか? 水道の民営化は電気・ガスと同等に考えることはできません。飲料水が供給不安、供給不足、供給不能になる最悪の事態の可能性があるならば、完全民営化をしてはいけません。飲料水は絶対的命綱!  これだけはどんなことがあっても、「維新の会市長」や「維新の会知事」のススメを断らなければなりません。


■府市水道統合協議の渦中から浮上した大阪府庁咲洲WTC移転計画
■大阪市懐柔策の意義と府庁咲洲移転で大阪市政に発言力を強める意図

 府市水道統合協議を継続している間に、大阪府庁咲洲さきしまWTC移転計画が浮上しました。これは2008(H20)年9月府議会で明らかにされました。

橋下徹氏についてのこれまでのニュースから感じるところでは、彼はもともと、大阪市の未開発地域或いは開発途上地域(南港・北港など大阪市の湾岸地帯)が大阪に残された経済的に発展余力のある土地であると見て、関心が高かったと思われます。

 橋下徹氏が一番やりたいことはおそらく、大阪市域の大阪湾岸地帯の経済開発だろうと思います。湾岸地帯の経済開発に高い関心があり、一方で平松大阪市長との会談、府市水道協議などで大阪市政との接点がつながって、咲洲さきしまWTC(ワールドトレードセンター)に注目することになりました。

府庁移転計画先の咲洲さきしまは埋立地なので災害に弱い地盤です。咲洲は大阪湾の出島で、対岸とのアクセス道路は海底トンネル臨港道路と阪神高速架橋道路の2本です。対岸の臨港地域も海と河口が入り組んでいるところで災害に弱い。咲洲も、橋やトンネルの接続口である対岸臨港地域も、似たようなものです。高潮被害、津波被害、交通障害など孤立しやすい地勢条件にあります。だから、大規模災害時の災害対策本部になる大阪府庁には適さない。緊急事態に対応できない。

大きな欠点を知りながら、反対論に目もくれずWTCを府庁用途に買った理由を、下の一連の橋下徹知事(当時)を賞賛する産経記事から読み取ることができます。

 橋下徹知事(当時)は「地上高256メートル55階建て超高層ビル」を運動始点にする南港・北港地域埋立出島の都市開発を思い描いていました。これが彼の本当にやりたいことでした。本来の目的でした。「府庁WTC移転」は超高層ビルを手に入れるための手段でした。WTCが超高層ビルでなくて10階建てや20階建ての並みのビルであったなら、橋下徹氏がWTC買い取りを強行することはなかったでしょう。

 ただ、WTCを買おうとしたのには、もう一つ、大阪市の苦境を助けて大阪市への発言力を高めたい、二重行政改革を円滑に進めたいという事情がありました。とりわけ府市水道事業統合協議が継続されている時期でもありました。しかしこれはこれで府庁移転先の長短評価とは縁のないことで、WTC買い取りが大阪市との折衝手段に使われた、ということになります。


<産経大阪2009(H21).10.20.08:18>

  「来年(※2020年)はWTCの知事室から歩いて出席したい」

   ※WTC……ワールドトレードセンター、大阪南港咲洲にある地上高256m 55階建て
    超高層ビル。現在の呼称は「さきしまコスモタワー」、大阪府咲洲庁舎が入居。


 今月7日、WTCそばの大阪市住之江区のインテックス大阪で行われた「新エネルギー産業フェア大阪」の開幕式であいさつに立った知事の橋下徹は、大阪府庁の移転への強い思いを語った。3月24日未明の2月定例府議会で、賛成46票、反対65票の大差で移転案が否決されてから半年あまり。橋下の表情には当時にはなかった自信が満ちていた。

 ―略― 橋下にとってWTCへの府庁移転は、単なる役所の移転以上の重大事だった。昨年8月、大阪・心斎橋の日本料理店で橋下と府特別顧問で慶大教授の上山信一が昼食をともにした。

 「大阪がパッとしないのは、鳴り物入りで建設しながら、大阪市の負の遺産と化したWTCと、利用が低迷する関西国際空港が原因じゃないのか」。

  2人の意見は一致した。  WTCをどうするか。おのずと結論が導き出された。「府庁を移転させれば、老朽化した庁舎問題が解決できるだけでなく、新たに人やモノの流れを作り出せる」と話がはずみ、橋下はベイエリア一帯の開発や関西国際空港の活性化につながるヒントを得た。

          

<産経大阪2009(H21).10.22.08:39>

 「まちづくりの最終責任は大阪市長にあります」。

  ※WTC(現コスモタワー=大阪府咲洲庁舎)は、西尾正也大阪市長の時代である1988年建設
  計画策定、1995年3月竣工。その後、磯村隆文市長、關淳一市長を経て、2007.12.19.~
  2011.12.18.平松邦夫氏が大阪市長を務めた。上の発言は、大阪市に責任があるという意
   味で、発言当時の大阪市の長たる者の責任を表明している。


 21日午前、大阪府議会に招請された平松邦夫はこう訴えた。
 自治体の首長が他の自治体の議会で意見表明することは極めて異例のことだ。

 平松は大阪ワールドトレーディングセンタービルディング(WTC、大阪市住之江区)への府庁移転に関連し、市側の「本気度」を示すためにも海外出張を取りやめて臨んだ。

 ―略― ある市幹部は「これから水道事業の統合や大学の問題をはじめ府市の二重行政を解消するためにしなくてはならないことがいくつもある。WTC問題は両者にとって、そのきっかけになる」と話す。府と市の雪解けのシンボルにもしたいという思いもあるという。

 ―略― 大阪府庁移転は府知事の橋下徹にとって、単に府庁所在地を変えるという以上の判断がある。府のトップとしてだけでなく、大阪市の面倒もみる「大阪のリーダー」としての視点があるためだろう。

  WTCがある大阪市咲洲地区周辺は市が中心に開発を進めたものの頓挫した、いわく付きの土地。そのシンボル
 のWTCには現在、市の部局が入居し、その賃料で命脈を保ってきたが、再び破綻した。府のWTC購入は、市を救済するという意味を含んでいる。―略―もちろん、市の抱える問題に知事が口を出す必要があるのかという声は根強い。

          

<産経大阪2009(H21).10.23.07:49>

  「これがソウル全域です」。9月上旬、韓国・ソウル歴史博物館で、大型ジオラマ(縮尺模型)を眺めながら、大阪府知事、橋下徹はソウル市長の呉世勲(オセフン)から説明を受けた。ソウルの街全体が1500分の1に縮小され、天井の照明が探したい場所を照らし出す仕組みもあり、まるで空中からソウルを自由自在に操れるような“王様気分”になれるのが売りだ 同行した府職員は「街並みを示しながら、都市の将来ビジョンを堂々と語る呉市長の姿に知事はショックを受けた様子だった」と振り返る。

  大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)への府庁移転構想で、WTCを「迎賓館」として位置づけ、「外国の方々に展望台から、大阪や関西を一望してもらうのが僕の夢」と語っていることからもその感激度合いは相当だ。

 大阪府庁には週に1~2回のペースで、海外からの賓客が訪れる。平成20年度は20カ国以上から表敬訪問があった。橋下には彼らを歓待する「外交官」としての役割もある。

  ―略―  外交官としての役割を強く意識する橋下が府庁に「迎賓館」の機能を求めるのは当然で、WTCは最もふさわしいと映った。その理由について、ある府幹部は「知事は何でも一番が好き。WTCは大阪で一番高いビルだから」と分析した。

  ジオラマの上から市の将来ビジョンを語ったソウル市長のように、橋下も大阪はもとより神戸や奈良まで見渡せる地上256メートルのWTCの“オーナー”として、55階の展望室で「これが大阪の街です」といいたいはずだというのだ。

さらに府幹部はこう続けた。「伝統を重んじるヨーロッパが相手なら大阪城の方が効果はあるが、知事はアジアの要人に東洋文化を見せても効果は薄いと思ったのだろう。知事は彼らを感激させるための方策としてのWTCに思いを巡らせているのかもしれない」

          

<産経大阪2009(H21).10.24.10:28>

  JR桜島線の延伸、南港エリアのカジノ構想、関西リニア…。いずれも大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC、大阪市住之江区)に大阪府庁移転を目指す知事の橋下徹が提唱する周辺整備構想だ。

 しかしリニアやカジノなどは、具体的な計画がはっきりしないうえ、多額の費用がかかることは必至だ。大阪ではWTCをはじめ、五輪誘致や関空建設に伴う大型開発で失敗を繰り返した歴史があるが、「次代に借金を負わせるような起債発行でリニアを造ったり、桜島線の延伸をしたりすることは考えてない」といい、財政問題にシビアな橋下らしい方針だ。



――次回も「橋下徹氏―大阪維新」政治の話題です


 
 
 
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