胆嚢炎で入院した家族が無事に昨日退院できたことで、何とか日常が戻ってくることでしょう。実は一か月以上前に、銀座ヤマハで人数限定先着順要予約で楽器選定会というイベントに申し込んでいました。サラリーマンの私としてはてっきり夏のボーナス商戦企画で暮れにもう一度あるのかなと思っていたら、年に一度で、春に吹奏楽を始めた学生・生徒が主なターゲットの様でした。私は予約時間前に行ったらすぐ試奏室に通されて、次のお客様が来ても終わらずに別の空いていた試奏室に移動して更に吹かせてもらっていたのに、私の後の中学生(高校生には見えなかったよな、お母さん同伴だったし)のお嬢様は私が別の試奏室に移る前に速攻で機種選定が終わったみたいでした。
私自身フルートの先生からもっと良い楽器を吹けと言われていて、最後の打ち出の小槌を振って(財形貯蓄を取り崩すか株を売るか、今は株の売り時かも???)本当に気に入った楽器に巡り合えれば100万円ぐらいなら買う可能性もゼロではない、と思いつつ60万円ぐらいの楽器を買う可能性が五分五分ぐらいかな、という思いで臨みました。ヤマハ点ですから当然ヤマハのモデルのラインナップは多く、リングキィH足総銀で通常管とヘビー管とを吹き比べるという贅沢なことも出来ました。ヘビー管、私にはあっているようですね。吹奏感の抵抗感がやや強くなるのが判ります。パワーを持った吹き手ならヘビー管は絶対に試奏した上で通常管にするかヘビー管にするか決めた方が良いと思います。価格の差もさほど大きくありません。
そうですね、使用によって価格差の大きいものを順にあげると、トーンホールがソルダード(半田付け)か引き上げかが最も価格差が大きいそうです。ちなみにこれまたヤマハのフルートでトーンホールがソルダードか引き上げかしか違わない2本の比較もさせて頂きましたが、自分で吹いたところでは差は感じませんでした。しかし、先生にブラインドで吹いてもらうと明らかに違うのが判り、後から吹いた方がソルダードと言ったところ〇正解でした。自分で吹いた場合にはその違いが判らないけれど、他人(少なくともその道のプロ)が吹くとその違いが判る、というのは楽器を選ぶうえで大変に悩ましいですね。明らかに音色や表現の幅が違いましたもんね、その違いにどれだけの金額を支払えるか???その前の大問題として自分が吹いた時には他人にその違いが判るのだろうか??? 今にして思えば同席して頂いた先生にも店員の方にも、自分が吹き比べたときに違うかどうか質問しなかったのが心残りです。とは言えセールストークでもあるからそのまま信じることも出来ませんが・・・。
いずれにせよヤマハ製のリングキィH足付きと、パールと宮沢とムラマツとアルタスを吹かせてもらいました。最初に一通り吹き比べたときに最も印象に残ったのはムラマツです。ムラマツだけは他のメーカーと別物と言う気がしました。ただ、大変魅力的であることは間違いないが今の自分に似合う相手かどうかは別問題、ということでいわゆるひとめぼれではありません。パールとアルタスは悪い意味で軽い感じがして選択しから外して、試奏曲に選んだのは最低音のCがある「エストレリータ」を吹き比べ、低音域の吹き易さとダイナミクスのつけ易さ、第三オクターブの鳴らしやすさなどをあれこれ比較。全ての楽器は現在の私のデフォールト楽器となっているゲマインハートに比べて、低音域は鳴らしやすいですね。殆ど甲乙つけがたいです。第三オクターブの鳴らしやすさはそれぞれ得手不得手がありそうですが、慣れん問題もあると思います。第三オクターブの鳴らしやすさについていえばゲマインハートの方が鳴らしやすい様な気もしましたし。
案外だったのが、音程の細かいズレは最近の楽器でも多かれ少なかれあるということ。1970年代に製造されたゲマインハートに比べれば多少は良い様にも思えますが、どのメーカーの楽器も自分が吹奏する際に音によって高めに吹いたり低めに吹いたりする必要はありそうです。
そんなこんなであっという間に試奏時間が終わりに近づき、最後に良さそうなモデルを一通り吹かせてもらい、最後に吹いたムラマツが今日吹いたフルートの中では最もこれだと思ったのですね。でそのムラマツがカバードキィだったのかな、リングキィはないかと聞いたところ、C足だけれどEメカなしなら在庫があるとのことで、試奏時間は終了していたのでとりあえず陳列棚の前でEメカ無しのムラマツを吹かせて頂きました。何と言っても今年の2月に初めて自分のフルートを手に入れた時から3オクターブ鳴らせたので、結構自信ありましたもんね。未だに第三オクターブを鳴らせない人が何故鳴らせないのか判りません(失礼)。
確かにEメカ付きのフルートに比べると第三オクターブのEの音は抜けが悪いです。音色に抜けの悪さがのります。素人が聞いても判るレベルです。それでも特段の苦労なく鳴らせます。先生に言わせると第二オクターブあるいは第三オクターブのAから第三オクターブのEに跳躍する時、あるいはその逆の時に特に鳴らしにくいのだそうです。ということで別の試奏室に移動してAとEの跳躍を吹いてみました。100%外しませんとは言えませんが、成功率50%以上、曲の中で吹けるかどうかは分かりませんが、ムラマツの場合Eメカもオプション扱いでそれなりの金額になるということから、吹けるのであればムラマツのEメカレスを購入しても良いよな!!!これがH足付きだったら足お買い上げでも良かったんだけど。
ムラマツのフルートは世界が市場になっているため国内流通量はかなり少ないのだそうです。でラインナップの種類を最小限に絞って細かい仕様は全てオプションにしているとのこと。注文してもモデルやオプションの種類によっては1年以上かかる場合もあるとか。
さて、たまたま在庫のあったEメカレスを購入するか、他の楽器店を回れるだけ回ってH足付きの在庫が無いか探すか、自分の好きなモデルに必要なオプションだけつけて発注して一年(以上)待つか?私がリングキィのH足付きにこだわる理由はただ一つ、見た目で上級者に見られるから、というか格好良いから。まあ私が格好良く見えなくても良いのですが、楽器自体を見比べてもインラインキー配置の方がオフセットキー配置よりもすっきりしています。H足管は単に最低音がCからHに半音下がるだけではなく、高音域の音程の安定や替え指が増えるなど様々な利点があるとのこと。その上格好良いのであればH足付きを選ばない理由はありません。今後のフルートはH足付きが標準になるかもしれないとさえ言われているとか。でもってH足付きでカバードキィだと音色が暗くなりすぎるとかで、H足付きにはリングキィがお薦めなのだそうです。そうそうリングキィといえばメーカーによって僅かにリングの径も異なりますね。そのほんの僅かなリング径の違いでも指が十分に長くない人にとってはフルートを吹きこなせるかどうかの大問題ともなります。リングキィのフルートにはリングを塞ぐプラグがついていて、初めの内はリングを全てプラグで塞いでおいて、指が慣れて来たら一つづつプラグを外していくのだそうです。しかし私自身は最初から中古でプラグのついていないリングキィフルートを購入しそこそこ吹けておりました。先生に指摘を受けてプラグは入手できなかったものの右手薬指のリングキーにのみパッチを貼ったところ、最低音まで十分に吹けました。なのでピアノでオクターブが弾ける程度に指が広がる人であれば、リングキィのフルートでも吹けると私は思っています(楽器の選択はご自身の責任で)。手の大きさに不安のある人は最近ではリングキーのオフセット配置の楽器も販売されているようですね。インラインの利点は特に無いようですが、楽器として見た目がすっきりしていますし、演奏者が構えたときの指の形が美しく見えるそうです。またメカニズムがシンプルになるだけ故障しにくいというメリットも無視できないでしょう。
う~ん・・・、一年待ってもリングキー、H足付き、安くするためにEメカレスにしてその分管体をヘビー管にしたものを注文したいな。「A bird in the hand is worth two in the bush. 手の中の一羽の鳥は薮の中の二羽の価値がある。 明日の百より今日の五十。」いまそこにある楽器を買うべきか、自分が欲しい仕様で発注して1年待つか・・・。ムラマツの通常管とヘビー管も吹き比べてみたいな。来週の土曜は第一優先でムラマツ楽器に行ってみましょうか。その前に先ず電話で確認してと・・・。と、まあ悩んでいる時が一番楽しいというのも本当ですね。と思ってムラマツのホームページのプライスリストを見ていたら最後の方に「Tsuasa Lip」なるものを見つけました。名称からしてリッププレートの形状が異なるのだろうと思うのですが、ネット上で探してみると多くはありませんがチラホラと情報がアップされています。評判が良さそうなので、先ずはムラマツの「つばさリップ」を試奏させてもらわないことには何も決められなくなりました。