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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

日本で見かけたことはありませんが、世の中(世界中)では銅製のフルートもあるようです。

2017-05-24 21:42:23 | 器楽・楽器

 インターネット上のオークションサイトやショップをうろついていると、特に酒が入っている時は(家ではほとんど常にそう)、ついついポチして必要のないものを購入してしまいます。「僕の悪い癖」。

 で、昨夜もネット上を行ったり来たりしていたら「Solid Copper Flute with Soldiered & Rolled Tone Holes」という文字列が目に入りました。というか、妙に赤っぽいフルートの画像と同時に飛び込んできたと言うべきでしょうか。「Solid Copper」ということは銅製です。オリンピックの3位入賞者に与えられるメダルの胴です。

 → http://www.schillerinstruments.com/flutes/frankfurt-elite-solid-copper-flute-with-soldiered-rolled-tone-holes

 以前国内のフルートに関するどこかのサイトで、金属製フルートの素材としては、洋銀、銀、金、プラチナが用いられる、とあり、外国の軍楽隊用の楽器の中には鉄製のものもある、という様なことを読んだ気があります。さすがに少なくともリッププレートは銀メッキとか他の素材が使われているんでしょうね。無垢の鉄のリッププレートを吹いてみたいとは思いませんね。でも白兵戦ともなれば?鉄製フルートは立派な武器になるかも???

 銅製のフルート、どうなんでしょうね?(ダジャレではありません。)金管楽器の多くは真鍮(ブラス)製が多いですが、中には塗装ではなくて赤みの強い素材があります。銅の割合の多い真鍮だろうと思っていましたが、「Solid Copper」と記載されているから銅なんでしょうね。ご丁寧にトーンホールがソルダードと引き上げと、2種類用意されているようです。オフセット配置のリングキィです。B-hoot、日本語ではH足部管つきですよ。ソルダードの銅製と引き上げの洋銀製、銀製とはぢらが良いのでしょうか?金製やプラチナ製にまでなると話が違うかもしれませんが総銀製までの話では、トーンホールがソルダードか引き上げかの違いが最も価格の差が大きいそうです。その次がC足管とH足管との違いでしょうか。管体の厚み、すなわちライト管、ノーマル管、ヘヴィー管の違いは価格差はあまり大きくないそうです。メーカーやモデルにも依るかと思いますが、キィカップがリングかカヴァードかもあまり価格差は無いのでしょうね。

 要するに手間賃、人件費しかも技術料込みが製品価格に大きく響くということですね。プラチナはどうか知りませんが、金でも銀でも銅でも、純粋に近くなればなるほど柔らかくなります。純金でも純銀でも純銅でも細めの棒なら手で曲げられますし、薄肉のパイプではぶつければ簡単に凹みます。なので純金にしろ純銀にしろ必要な硬度を持つまで僅かの他成分が添加されています。銅であっても同じはずです。金や銀等の貴金属ならともかく、電線に使われる銅であれば多少の添加物は無い方が気になるぐらいですね。

 聞いて見たいですね、銅製フルート。出来れば買わないことを前提に自分でも吹いてみたいですね、一度くらいは。それでも銀製よりも良い音がするとは想像できません。自分で購入することはないでしょう。

 3管編成のオーケストラやフルートトリオで、首席が金製(あるいは金色)、次席が銀製(あるいは銀色)、三席が銅製(あるいは銅色)という演出は、オリンピックのオープニングセレモニー等ではウケルでしょうか・・・。


楽器の音色の個体差

2017-05-23 22:27:01 | 器楽・楽器

 これまでに何度かこのブログで、〇億円のストラディバリウスと〇万円の入門者用のヴィオリンを聞き比べる企画で、(ほぼ)常に正解と間違いが50:50になることは、統計学的に区別がつかないと記しました。そのこと自体は今でもその通りだと思っているのですが、先日某大手楽器店で10本近いフルートを吹き比べた際に、明らかにメーカー毎にその音色らしさがあることを実感したのも確かです。

 そう言えばこれもまた以前のこのブログに書いた覚えがありますが、既に廃刊になっている「オーディオベーシック」という雑誌に付録として”オーディオチェック用のCD”が付いていた時期があって、これがまた著作権を嫌ってか殆どがクラシック作品を取り上げていました。その中に同じ曲をスタンウェイとベーゼンドルファーの上級機種のグランドピアノで一人の演奏者が引き比べるというものがありました。今でも大切に手元においてあります。最初に聞いた時には殆ど判らなかったのですが、何回か聞いていると確かに巷間言われている様にスタンウェイは華麗で華やかなイメージ、ベーゼンドルファーは重厚で豊かな低音が魅力と、違いが判る様な気にもなってきました。

 はたまたこれもまた以前から何回か書いていると思いますが、3大テノール(パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス)饗宴CDでも、初めの内は誰が歌っているのか聞いただけでは全く判りませんでした。ところが繰り返し聞いている内に、この3人については、別の音源であっても誰の声かほぼ間違いなく当てることが今は出来ると思っています。

 ということで最初の話に戻りますが、たいていはTV番組の企画として行われる〇億円のストラディバリウスと〇万円の入門者用のヴァイオリンの聞き比べは、まず間違いなく数分間で回答を求められます。だから当たらない可能性がありますね。数十分間繰り返して聞き比べれば違いを当てられる可能性が高くなるかも知れません。

 あるいはヴァイオリンの聞き比べでも〇億円のストラディバリウスと〇万円の入門者用の比較ではなく、ストラディバリウスとグアルネリ・デル・ジェスであれば、違いが判る様な気がしないでもありません。そんな贅沢な経験はしたことが無いので判りませんが、実際のところはどうなんでしょう。

 もう一つ、聞き比べを行う会場・ホールの広さは大きく影響すると思います。大ホールであれば、ステージから遠くなるほど関節音が増えて音色がまろやかになるというか、輪郭が甘くなって行きます。先日私が経験したフルートの吹き比べでも、楽器店の狭い試奏室ではなくホールで行えばまた違った印象をもった可能性は多分にあると思います。

 さらに言えば同じメーカーの同じモデルの同じ仕様の楽器であっても、10本あれば10本それぞれが微妙に異なるから、購入するときは絶対に演奏した上で選べ、と楽器演奏者の方は皆さんおっしゃいます。私も同じメーカーの同じモデルの同じ仕様の楽器が10本あれば10本それぞれ違うことはあると思います。とは言え異なる仕様、異なるモデル、異なるメーカーの楽器との差よりは小さいと思うのです。少なくとも日本製の楽器であればそうだろうと思っています。

 AとBと二つの楽器があって、試奏した感じでは全く同じではないと感じることは十分あるでしょう。更にAかBかどちらが良いか明らかな場合もあるでしょう。しかし実際にはわずかな差しか感じられない場合も少なくないと言えるのではないでしょうか。違うのは判る、でもどちらが自分にとって良いのかは判断できない、と言うことが多くはないでしょうか?さらに言えば今の自分にとっては一方が良いだろうけれど5年後10年後まで考えれば他方の方が良いということも可能性としては否定できないと思います。

 結局最初の1台は運を天に任せて不良品を掴まされても後悔しない程度の安価なものを購入し、その楽器に修理が必要になったりして追加のコストが新しく楽器を購入する価格の半分とか3分の1程度になった時等の様に、買い替えるべき強い動機付けが生じた時が買い替え時で、その時にレッスン代をけちらなくても予定度の予算内で、その時の自分の演奏技量ではっきりとその差を説明できる程度に感じられる楽器を購入するのが良い、という結論です。

 そうすると今の私は新しく高価なフルートを購入する必要はなさそうです。それよりもバスフルートの方が興味があります。とは言え演奏頻度を考えればやはり主に使うのはノーマル(コンサートとかグランドとかいう様ですが)フルートもいずれは総銀製、リングキィ、H足部管付き(B♭足部管やA足部管付きなら尚良いけれど価格的にむりでしょう)、管体ヘビー仕様(価格はノーマルとあまり違いません)が欲しいですね。インラインかオフセットかはあまりこだわりませんが見た目がすっきりしているのでインライン仕様ですね。最も気になっているのは”Eメカ付き”か”Eメカ無し”かですが、これは楽器店の店頭で吹き比べさせてもらう程度では決められない様に思います。試しに安い”Eメカ無し”の楽器を購入して最低数か月は吹いてみるしかないかも知れません。あるいは”Eメカ付き”の楽器を”Eメカ”が作動しない様に改造するか・・・。

 メーカーはムラマツが良さそうですが、三響やマテキ、コタケ等のフルートもまだ触ったことがありません。こうしてみると日本には随分とフルートメーカーがありますね。ヤマハやムラマツで技術を磨いた人が独立して新しいメーカーを興していることもあるそうです。世界中のフルートメーカーの何割位を日本のメーカーが占めているのでしょうか?もしかしたら5割を超えているかも知れませんが、そうだとしても私は驚きません。


買うべきか止めとくべきか、それが問題。

2017-05-21 22:36:32 | 器楽・楽器

 胆嚢炎で入院した家族が無事に昨日退院できたことで、何とか日常が戻ってくることでしょう。実は一か月以上前に、銀座ヤマハで人数限定先着順要予約で楽器選定会というイベントに申し込んでいました。サラリーマンの私としてはてっきり夏のボーナス商戦企画で暮れにもう一度あるのかなと思っていたら、年に一度で、春に吹奏楽を始めた学生・生徒が主なターゲットの様でした。私は予約時間前に行ったらすぐ試奏室に通されて、次のお客様が来ても終わらずに別の空いていた試奏室に移動して更に吹かせてもらっていたのに、私の後の中学生(高校生には見えなかったよな、お母さん同伴だったし)のお嬢様は私が別の試奏室に移る前に速攻で機種選定が終わったみたいでした。

 私自身フルートの先生からもっと良い楽器を吹けと言われていて、最後の打ち出の小槌を振って(財形貯蓄を取り崩すか株を売るか、今は株の売り時かも???)本当に気に入った楽器に巡り合えれば100万円ぐらいなら買う可能性もゼロではない、と思いつつ60万円ぐらいの楽器を買う可能性が五分五分ぐらいかな、という思いで臨みました。ヤマハ点ですから当然ヤマハのモデルのラインナップは多く、リングキィH足総銀で通常管とヘビー管とを吹き比べるという贅沢なことも出来ました。ヘビー管、私にはあっているようですね。吹奏感の抵抗感がやや強くなるのが判ります。パワーを持った吹き手ならヘビー管は絶対に試奏した上で通常管にするかヘビー管にするか決めた方が良いと思います。価格の差もさほど大きくありません。

 そうですね、使用によって価格差の大きいものを順にあげると、トーンホールがソルダード(半田付け)か引き上げかが最も価格差が大きいそうです。ちなみにこれまたヤマハのフルートでトーンホールがソルダードか引き上げかしか違わない2本の比較もさせて頂きましたが、自分で吹いたところでは差は感じませんでした。しかし、先生にブラインドで吹いてもらうと明らかに違うのが判り、後から吹いた方がソルダードと言ったところ〇正解でした。自分で吹いた場合にはその違いが判らないけれど、他人(少なくともその道のプロ)が吹くとその違いが判る、というのは楽器を選ぶうえで大変に悩ましいですね。明らかに音色や表現の幅が違いましたもんね、その違いにどれだけの金額を支払えるか???その前の大問題として自分が吹いた時には他人にその違いが判るのだろうか??? 今にして思えば同席して頂いた先生にも店員の方にも、自分が吹き比べたときに違うかどうか質問しなかったのが心残りです。とは言えセールストークでもあるからそのまま信じることも出来ませんが・・・。

 いずれにせよヤマハ製のリングキィH足付きと、パールと宮沢とムラマツとアルタスを吹かせてもらいました。最初に一通り吹き比べたときに最も印象に残ったのはムラマツです。ムラマツだけは他のメーカーと別物と言う気がしました。ただ、大変魅力的であることは間違いないが今の自分に似合う相手かどうかは別問題、ということでいわゆるひとめぼれではありません。パールとアルタスは悪い意味で軽い感じがして選択しから外して、試奏曲に選んだのは最低音のCがある「エストレリータ」を吹き比べ、低音域の吹き易さとダイナミクスのつけ易さ、第三オクターブの鳴らしやすさなどをあれこれ比較。全ての楽器は現在の私のデフォールト楽器となっているゲマインハートに比べて、低音域は鳴らしやすいですね。殆ど甲乙つけがたいです。第三オクターブの鳴らしやすさはそれぞれ得手不得手がありそうですが、慣れん問題もあると思います。第三オクターブの鳴らしやすさについていえばゲマインハートの方が鳴らしやすい様な気もしましたし。

 案外だったのが、音程の細かいズレは最近の楽器でも多かれ少なかれあるということ。1970年代に製造されたゲマインハートに比べれば多少は良い様にも思えますが、どのメーカーの楽器も自分が吹奏する際に音によって高めに吹いたり低めに吹いたりする必要はありそうです。

 そんなこんなであっという間に試奏時間が終わりに近づき、最後に良さそうなモデルを一通り吹かせてもらい、最後に吹いたムラマツが今日吹いたフルートの中では最もこれだと思ったのですね。でそのムラマツがカバードキィだったのかな、リングキィはないかと聞いたところ、C足だけれどEメカなしなら在庫があるとのことで、試奏時間は終了していたのでとりあえず陳列棚の前でEメカ無しのムラマツを吹かせて頂きました。何と言っても今年の2月に初めて自分のフルートを手に入れた時から3オクターブ鳴らせたので、結構自信ありましたもんね。未だに第三オクターブを鳴らせない人が何故鳴らせないのか判りません(失礼)。

 確かにEメカ付きのフルートに比べると第三オクターブのEの音は抜けが悪いです。音色に抜けの悪さがのります。素人が聞いても判るレベルです。それでも特段の苦労なく鳴らせます。先生に言わせると第二オクターブあるいは第三オクターブのAから第三オクターブのEに跳躍する時、あるいはその逆の時に特に鳴らしにくいのだそうです。ということで別の試奏室に移動してAとEの跳躍を吹いてみました。100%外しませんとは言えませんが、成功率50%以上、曲の中で吹けるかどうかは分かりませんが、ムラマツの場合Eメカもオプション扱いでそれなりの金額になるということから、吹けるのであればムラマツのEメカレスを購入しても良いよな!!!これがH足付きだったら足お買い上げでも良かったんだけど。

 ムラマツのフルートは世界が市場になっているため国内流通量はかなり少ないのだそうです。でラインナップの種類を最小限に絞って細かい仕様は全てオプションにしているとのこと。注文してもモデルやオプションの種類によっては1年以上かかる場合もあるとか。

 さて、たまたま在庫のあったEメカレスを購入するか、他の楽器店を回れるだけ回ってH足付きの在庫が無いか探すか、自分の好きなモデルに必要なオプションだけつけて発注して一年(以上)待つか?私がリングキィのH足付きにこだわる理由はただ一つ、見た目で上級者に見られるから、というか格好良いから。まあ私が格好良く見えなくても良いのですが、楽器自体を見比べてもインラインキー配置の方がオフセットキー配置よりもすっきりしています。H足管は単に最低音がCからHに半音下がるだけではなく、高音域の音程の安定や替え指が増えるなど様々な利点があるとのこと。その上格好良いのであればH足付きを選ばない理由はありません。今後のフルートはH足付きが標準になるかもしれないとさえ言われているとか。でもってH足付きでカバードキィだと音色が暗くなりすぎるとかで、H足付きにはリングキィがお薦めなのだそうです。そうそうリングキィといえばメーカーによって僅かにリングの径も異なりますね。そのほんの僅かなリング径の違いでも指が十分に長くない人にとってはフルートを吹きこなせるかどうかの大問題ともなります。リングキィのフルートにはリングを塞ぐプラグがついていて、初めの内はリングを全てプラグで塞いでおいて、指が慣れて来たら一つづつプラグを外していくのだそうです。しかし私自身は最初から中古でプラグのついていないリングキィフルートを購入しそこそこ吹けておりました。先生に指摘を受けてプラグは入手できなかったものの右手薬指のリングキーにのみパッチを貼ったところ、最低音まで十分に吹けました。なのでピアノでオクターブが弾ける程度に指が広がる人であれば、リングキィのフルートでも吹けると私は思っています(楽器の選択はご自身の責任で)。手の大きさに不安のある人は最近ではリングキーのオフセット配置の楽器も販売されているようですね。インラインの利点は特に無いようですが、楽器として見た目がすっきりしていますし、演奏者が構えたときの指の形が美しく見えるそうです。またメカニズムがシンプルになるだけ故障しにくいというメリットも無視できないでしょう。

 う~ん・・・、一年待ってもリングキー、H足付き、安くするためにEメカレスにしてその分管体をヘビー管にしたものを注文したいな。「A bird in the hand is worth two in the bush. 手の中の一羽の鳥は薮の中の二羽の価値がある。 明日の百より今日の五十。」いまそこにある楽器を買うべきか、自分が欲しい仕様で発注して1年待つか・・・。ムラマツの通常管とヘビー管も吹き比べてみたいな。来週の土曜は第一優先でムラマツ楽器に行ってみましょうか。その前に先ず電話で確認してと・・・。と、まあ悩んでいる時が一番楽しいというのも本当ですね。と思ってムラマツのホームページのプライスリストを見ていたら最後の方に「Tsuasa Lip」なるものを見つけました。名称からしてリッププレートの形状が異なるのだろうと思うのですが、ネット上で探してみると多くはありませんがチラホラと情報がアップされています。評判が良さそうなので、先ずはムラマツの「つばさリップ」を試奏させてもらわないことには何も決められなくなりました。


楽器の値段は何に対する対価なのか? 良い音色で演奏するために必要なことは?

2017-05-18 23:24:13 | 器楽・楽器

 TVの番組などで時々数億円のストラディバリウスと数万円の入門器の音色とを引き比べて、どちらがストラディバリウスかを当てさせる企画がありますよね。私自身これまで数回この様な企画を見てきたことがありますが、全て正解率はほぼ50%でした。しかも回答者がその楽器のプロの奏者であったとしても、素人と同じようにほぼ50%という結果です。

 この事実は数学的と言うか統計学的には、楽器の音色はその楽器の値段には寄らないという真理を証明していると私は理解しています。しかし(おそらく)ストラディバリウスを演奏するヴァイオリニストにとっては数億円を支払う価値はあるのだろうと思っています。と言っても現在世界中に存在しているストラディバリウス等のオールド楽器は、人類の資産として公的機関が所有して演奏者に貸し出しているものも多いそうです。無論個人で所有している楽器もあるでしょう。

 自分自身でヴァイオリンを弾いてみるまでは全く予想できないことでした。他の多くの楽器と違ってフレットを持たないヴァイオリン属の弦楽器は自分で音程を作らなければならないので、音感が悪い人間が弾けば音階自体が不安定になると思っていました。それはその通りなのですが、私の様に絶対音感を持っていない人間でも注意深く聞いていると、楽器が音程を教えてくれることがあります。と言うのは一番低いG線で開放の2度上のAを弾くとわずかではありますがオクターブ上の開放のA線が共鳴して鳴ってくれます。D線で4度上のGを弾くとオクターブ下の開放のG線が鳴ってくれます。例えばですが、この様なことが高額な楽器ほど著しくて弾き易いということがあるのでしょうか? この程度のことは楽器の値段に限らずきちんと調整してあれば当たり前のことなのでしょうか? 私が有するヴァイオリンは当然入門者様なので低額の楽器でも調整さえきちんとされていれば楽器が音程を教えてくれるということはあると思います。

 ということで、楽器の音色を決めるのは楽器の値段よりも演奏者の技量によるところがはるかに大きい、というのが今現在の私の認識です。が、同じ楽器でも良い音を出すために比較的安い費用で出来ることはないか?ということです。ヴァイオリン等の擦弦楽器であれば、楽器の次に大切なのが弓と言われていますね。私もヴァイオリン本体の値段の割には良い弓を使っていると自分では思っています。良い弓は軽くバランスが良く弾き易いと思います。しかし必ずしも音色には関係ない様にも思います。直接音色に関係するとすれば、弓に張る弓毛の選択がありますね。モンゴルだったかアジア大陸中部辺りの馬の毛が良いそうです。更に、そんなことをしているのかどうか知りませんが、馬の毛一本一本を吟味して状態の良い毛だけを選別したら良い音色になるのでしょうか?原材料代よりも手間賃の方がはるかに高くなる気もします。

 擦弦楽器であれば弓毛につける松脂の品質は間違いなく音色に影響しそうですね。これまた自分でヴァイオリンを弾くまでは知らなかったことですが、ヴァイオリン用とチェロ用、コントラバス用は特性の違いからそれぞれ専用のものが販売されています。ヴィオラについてはヴァイオリンと共用と謳っているものもあればヴィオラ専用のものもあります。更に使用環境の温度別に応じて夏用と冬用とそれぞれ分けて販売されているものもあります。

 もう一つ大きな要素は当然のことながら弦ですね。弦についてはまだ私自身の感想を述べるほど使っていないので、いずれ何か言えるようになった時に紹介します。その他駒だってかなり影響しそうです。魂柱の位置の僅かな違いだけで音色が変わると言われていることから考えても、駒自体、あるいは駒の位置も重要ですね。ちなみに駒はヴァイオリンメーカーが作っているのではなく駒専門のメーカーが作っているそうです。また駒の位置については両側のfホールの横棒の位置に合わせることが基本だそうです。その他、テールピースに顎当て、糸巻き(ペグ)の素材や位置も響きに影響するそうです。更には演奏者が自分の楽器を弾き(鳴らし)込むことによっても楽器の音色・鳴りが変わって行くことも楽器演奏者であれば知っていますよね。

 これら様々な要因が複雑に絡み合ってその瞬間の楽器の音色が作られるとなると、何を気にして演奏すれば良いのかもわからなくなりそうです。自分自身が出したい理想の音色のイメージを明確に持つことが、楽器演奏を上達する上で決定的に重要と思う次第です。そこまでは行っていませんが、ヴァイオリンについては自分自身で弾いていて良い音だと思うことが多々あります。一方でフルートを吹いていて良い音色だと思うことは殆どありません。と言うよりもまだ私自身が出したいフルートの音色のイメージが出来ていないというのが正直なところですね。好きなフルーティストはペーター・ルーカス・グラーフなのですが、グラーフと同じ音色を出したいと思っているわけでもなく、フルートの良い音ってどんな音なのでしょうか?


珍しい楽器とネット流通状況

2017-05-15 23:01:16 | 器楽・楽器

 還暦が近づいてきた私にとって珍しい楽器と言うと、本番のステージで同席した回数が少ないのはチンバッソでしょうね。ヴェルデイやプッチーニのオペラでは頻繁に登場します。以前はバストロンボーンやチューバで代替されていたようですが、最近ではチンバッソそのものが使われだしているようです。チンバッソとはどのような楽器かと言うと、スライドの代わりにバルブを備えたバルブトロンボーンと言う楽器がありますが、そのスライドトロンボーンであればスライド部分を下に折り曲げた様な楽器です。更に細かく言えばピストンバルブの数が5個もあるらしい(トランペットは3個)です。オペラを演奏する際に狭いオーケストラピット内で、スライドを前後させるスライドトロンボーンは意外とスペースを必要とするためにチンバッソが用いられたようですし、チューバに比べると低音量で音が割れるために低音量でフォルティッシモらしさを表現できるということで、歌い手にとっては音量的に張り合わずにすむため優しい楽器だったと思います。

 バスクラリネットやコントラファゴットは今や特殊楽器とは言えなくなっていると思いますし、コントラアルトクラリネットやコントラバスクラリネット、バスサキソフォンやコントラバスサキソフォン等も実際に見聞きしたことはありませんが、現時点で世の中に存在していることは認識しています。音楽史の中で一時期存在したにもかかわらず、ライバル楽器の登場で駆逐されてしまった楽器が多数あると思っています。何れも低音楽器ですが、セルパンとかオフィクレイドとか。セルパンは語源のとおりのたくった蛇の様なS字型のがっきですが、オフィクレイドはバリトンサキソフォンと言うかより近いのはバスサキソフォンでしょうか、低音系のサキソフォンを逆立ちさせてシングルリードの代わりに金管楽器のマウスピースを取り付けた様な楽器です。発音原理からは金管楽器に分類されるものの、サキソフォーンの様な大口径のトーンホールの開閉によって音程を作る楽器です。

 もはや音楽史上の存在でしかないかと思っていたら、なんと現在でも入手可能な様です。ネット上の最大手の通販サイトの米国本社サイト上で”Schiller”というドイツメーカー製(実際の生産は中国かもしれません?)で 「Ophicleide Key of Bb」とし$1,485.00+ $4.49 shippingで販売されています。日本へのデリバリーにも対応しているようです。ことほど左様に海外の通販サイトを見ていると、日本では殆ど見かけないような楽器が案外と流通しているようです。例えば古楽器に分類されるリュートやヴィオラ・ダ・ガンバの類、共鳴弦を多数備えた北欧ノルウェーのハルダンゲルヴァイオリン等々。同等品がある場合でも、日本までの運賃を含めても、楽譜やCDと同じように日本国内で購入するよりかなり割安だと思います。輸入業者の懐に入る経費を考えれば当たり前と言えば当たり前ですよね。日本にまではデリバリーしてくれない場合も少なくありませんが、デリバリーしてくれる場合は航空便と船便とを選べたりします。米国からであれば太平洋の北半球側を通ってくるでしょうから船便でもあまり気にする必要はないかも知れません。しかし英国などのヨーロッパからの場合、スエズ運河を通過しようがしまいが、どうしても赤道を2回通過する必要があります。赤道を通過する際の船倉の温度はどれぐらいになるのでしょうか???気になる方はヨーロッパからの輸入であれば航空便を使い、同等品があるならば米国から購入する方が良いだろうと思っています。私自身はこれまでヨーロッパからは楽器の類は購入していません。米国からはインナーカーボンのヴァイオリンの弓等を購入していますが、特段のトラブルはなく、十分満足しています。ヴァイオリンの先生からも国内で購入するとすれば倍ぐらいの価値があると言われています。