インターネット上のサイト「ナショナルジオグラフィック日本版」の昨日のニュースに、いささかショッキングな記事が掲載されていました。それが「イヌやネコはなぜ死んだ飼い主を食べるのか」です。日本でも少し前に孤独死した男性の顔の皮膚が消失していて、猟奇殺人かとも思われましたがその後の捜査で飼い主の死後に残された飼い犬が食べた可能性が高い、という事件がありました。
ナショナルジオグラフィックの記事を読むと、犬にせよ猫にせよ、飼い主が死んだ後に飼い主の顔や頭部を食害することはさほど珍しいことでは無いようです。とは言えそこは飼い主と飼い犬あるいは飼い猫の関係なので、野生の肉食獣が獲物を食害するのとは違うそうです。野生の肉食獣が獲物を捕らえた時は、最初に美味しくて栄養のある内臓から食べるのだそうです。顔や頭部は美味しくもないし、ボリューム的にもたいしたことはないので、野生の肉食獣が獲物を捕らえた時に食べる優先度としてはかなり後の方になるそうです。
ところが、死亡した飼い主を飼い犬や飼い猫が食害するときは、最初に内臓を食べることは殆ど無いそうです。ほとんどの事例では顔、それも口の周りから食害しているのだそうです。さらに、ドッグフードやキャットフードがふんだんにある場合でも死んだ飼い主を食害する事例が珍しくない、ということで空腹のために死んだ飼い主を食害しているわけではない、とナショナルジオグラフィックの記事でも主張されています。
では何故、飼い犬や飼い猫が死亡した飼い主の顔を食害するか、ですが動かなくなった飼い主に対して飼い犬なり飼い猫なりに異常を感じて何とか起こそうとして顔、特に口の周囲を舐めてみるが、反応がないので次第に行動が強くなって口の周りを噛んでしまう。何とか起こそうとして次第に噛む力が強くなり出血すると、血の味に思わず興奮してとにかく飼い主の何らかの反応を確認したくて、半ばパニックになりながら食害してしまう、というのが真相ではないか・・・、との主旨に読めました。
飼い主が動かなくなった途端に餌としか認識しなくなった訳ではない、ということが何よりの救いです。更に動かない飼い主にとにかく何らかの反応をしてほしいという思いがエスカレートして食害に及ぶというのも、切ないと言いますか、ある意味納得できる話ではあります。私は毎晩我が家の愛犬、ロングコートチワワのリリ姫と一緒に寝ていますが、とにかく顔を舐めに来てくれます。顔を舐められないために様々な努力をしています。ともあれ、飼い犬は飼い主の顔、それも口の周りを舐めたがるものということは良くわかります。なので死んだ飼い主を何とか起こそうとして顔を、特に口の周りを舐めまわそうとする犬の思いは良く理解できます。そして毎朝早く起きろと再び顔を舐めようとしてくれます。どんな高性能の目覚まし時計もかないません。さらに土日も関係なく同じ時間に起こしてくれます。