goo blog サービス終了のお知らせ 

生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

山本純ノ介  室内楽作品集  来るべき汎音楽

2014-12-02 23:06:34 | 山本純ノ介
 だから何? と言われると何でもありませんとしか言えませんが、そうは言っても何かの縁で高校の先輩後輩の関係である山本純ノ介氏のCDアルバムです。”ピアノのための絶対音楽”、”クラリネット獨奏のための旋律「語り」”、”借景”、”カリグラフィーIIチェロ獨奏のために”、”カリグラフィーIチェロとピアノのために”、”無伴奏ヴァイオリンのための音楽”という構成です。

 汎音楽とは普遍性のある音楽と言うことだと受け止めています。そうすると標題音楽よりも絶対音楽のほうが汎音楽ではないのか?という気がしています。そうすると”ピアノのための絶対音楽”と”無伴奏ヴァイオリンのための音楽”という標題は許容できますが、”「語り」”とか”カリグラフィー”とか”借景”と言ってしまうと汎音楽という精神性からは離れてしまうのではないか? とも思った次第です。しかし”「語り」”というのはその作品を演奏すること自体を比喩的に表現しているとすれば、言い換えれば行為の対象となるものとしての作曲された対象を指している訳で、汎音楽の作品として決しておかしい標題ではないと納得しました。同じように”カリグラフィー”も西洋(に限らないようですが)の修字法ということで、これも具体的な対象とは不可分ながら決してそれ自体が客観的な具象ではない点でなるほど”汎”を表していると、これも納得しました。”借景”と言うと日本庭園を設計するときの手法になりますが、借景の技法を駆使して作った日本庭園と受け止めると具象になりますが、具象から離れた手法、方法論そのもののみと考えればなるほど普遍性を持った”汎”の概念に納まっていると、これまた納得した次第です。

 さて、いずれの作品も突き放して言ってしまえば、いわゆる現代音楽的な作品です。その中でも”カリグラフィーIIチェロ獨奏のために”と”無伴奏ヴァイオリンのための音楽”を聴いていると、それぞれバッハの無伴奏チェロ組曲と無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータが思い浮かんで来ました。1720年頃に作曲されたバッハの作品と現代音楽の作品にどんな類似性があるのかと言われそうですが、純ノ介さんの作品を聴きながら、バッハの無伴奏チェロ組曲と”カリグラフィーIIチェロ獨奏のために”、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータと”無伴奏ヴァイオリンのための音楽”を一つのコンサートの中で演奏してもらうのも興味深いと思っていました。ただ全曲演奏するとバッハの作品の方がはるかに演奏時間が長いので、二人の作品を比較すると言う観点からはバッハの方は抜粋になろうかと思います。

 確かにバッハの無伴奏組曲あるいはソナタとパルティータと山本純ノ介氏の作品とに共通するものを感じています。では何が共通しているのかと言うと、演奏者が演奏するそのまさに演奏と言う行為があって初めて聴衆に音楽として届くわけで、だからこそ再現芸術と言われる訳ですが、300年と言う時の経過を越えて、演奏者が自己表現のために正に演奏しようと言うその時に、演奏者の思いを受け止める土台となる、主体としての演奏者の存在を引き受ける客体としての楽譜、必ずしも楽譜として記載されたものの完成度ではないかもしれませんが、演奏者が全力投球で演奏しようとすれば演奏者のその思いを受け止めるだけの普遍性がそこにある、ということなのかなと思ったりしています。まだ自分自身でも咀嚼しきれていません。少し時間をおいて消化=昇華?できたらあらためて取り上げたいと思います。

 いずれにしても、演奏者が個人的な行為として何かを演奏しようとするとき、その時に具象から離れて演奏者の思考に何の制限を加えないという一般性=普遍性、それが山本純ノ介氏の言う”汎音楽”なのかなと思った次第です。ははは、まだ消化不良ですね。十分に胃の腑に落ちたらまた書きます。



*********************************************************************************************************************************************

 さて宣伝です。詳細は未定ですが12月28日(日) 日暮里サニーホール(のおそらくはコンサートサロンにて?)大人の学芸会の弾く忘年会があります。

 シューマンの連作歌曲「詩人の恋」を1曲目から持ち時間の許すまで歌う予定です。おそらく1曲目から4曲目乃至6曲目ぐらいかと思います。

 詳細はわかり次第お知らせしますので、このブログに興味を持たれた方、是非聞きにいらしていただければ幸いです。

*********************************************************************************************************************************************