生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

楽譜の自家製本 その2

2016-02-29 23:21:10 | より良く歌うために
 チャイコフスキーのオペラ「エフゲニー・オネーギン」のヴォーカルスコアは購入せずに、インターネットのペトルッチ(MSLP)のサイトからpdfをダウンロードして印刷し、背表紙部分に1mm以下の切れ込みを1cm間隔程度に入れた上で、接着剤で固定する無線綴じと言う方法で製本してみました。が、接着剤が固まった後の柔軟性に乏しく、端に近い頁が剥がれやすそうで失敗したというのが正直なところでした。

 そこでインターネットの通販サイトでメッシュ状のテープを探したところ、建築用や補修用にグラスファイバーで編んだメッシュの弱粘着テープが手頃な値段で販売されていたので、早速購入して、失敗した「エフゲニー・オネーギン」のヴォーカルスコアの背表紙部に、表表紙と裏表紙に跨るように貼り付けた上で、再度背表紙にも同じ接着剤を塗りたくりました。その結果はメッシュテープの効果は絶大で、無線綴じを行うには何よりもメッシュテープが一番重要ではないかと思うほどです。

 「エフゲニー・オネーギン」公演の後には「オテッロ」公演へのオファーも貰ったので、「オテッロ」のヴォーカルスコアは背表紙に切れ込みをいれ、メッシュテープを貼り、表表紙と裏表紙には色上質紙を当てて、2本のアングルバーで背表紙近くを挟んでCクランプで締めあげた上で、固まった跡も柔軟性のある接着剤で、完成度の高い無線綴じを行おうと楽しみにしています。

NHK教育TV ロイヤル・アカデミー音楽白熱教室 第1回 神と王につかえる音楽 ~バッハ~

2016-02-28 22:29:35 | 論文・資料紹介、書評
 白熱教室といえばサンデル教授のハーバード白熱教室と思っていましたが、最近では様々なテーマで白熱教室が紹介されているようですね。先週の金曜にたまたまテレビの番組欄を見ていたら夜の11時から音楽白熱教室ということで第1回のバッハの放送があることを見つけ、録画予約して翌日じっくりと視聴しました。

 無論、音楽の父、ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)ですが、17世紀後半から18世紀前半までを生きたバッハにとっては、音楽と社会の関わりがどのようなものであったか、ホッブスが表した「リヴァイアサン」の挿絵に描かれた王が両手に持っている、一方の刀は世俗的な国家権力の象徴で、もう一方の司教の杖は教会権力ということで、バッハの当時の音楽は世俗社会である絶対君主制・封建制の国家権力に奉仕し、同時に教会権力に奉仕していたということですね。

 バッハ自身が敬虔なプロテスタントであった訳ですが、とは言え結構血気盛んなところもあり、ファゴット奏者と演奏技術に関して争いになって、殴られたところでナイフを抜いたというエピソードもあったそうです。またプロテスタントは聖書に記されていること以外の虚飾や儀式に対しては批判的なのかと思っていましたが、プロテスタントのドイツにおいても教会の儀式はカトリックの典礼に則って行われていたとか。そのためにバッハも毎回の典礼のオルガン曲をひたすら作曲していたとか。

 というようなことで、サンデル教授のハーバード白熱教室とは大分趣は異なりますが、ロイヤル・アカデミーの音楽白熱教室もサンデル教授のハーバード白熱教室に勝るとも劣らない、非常に興味深く勉強になる番組でした。第1回のバッハの後は、3月4日に第2回社交の時代の音楽~モーツァルト~、3月11日第3回個人の時代の音楽~ベートーヴェン、3月18日第4回主張する音楽~ショパン~、3月25日第5回現代の作曲家と社会、と放送が予定されています。バッハの後はモーツァルト、ベートーヴェンと続いていくのは当然だろうと思いますが、その次がショパンというのは何故?どうして?という感じもして、絶対に見逃すわけには行かないようですね。3月いっぱいの金曜の夜11時からNHK教育の地上波放送です。

♪川井弘子の声楽講座★うまく歌える『からだ』のつかいかたNo.3 顎をゆるめる ~舌骨上筋群って?~

2016-02-27 23:49:37 | レッスンに行ってきました
 を受講してきました。川井弘子先生といえば昨年の4月に3年下けて執筆した「うまく歌える『からだ』のつかいかた」を出版されて、大好評で昨年12月には第3刷を増刷販売中とのことです。講座の内容は期待以上で、次回No.4の「ささえ」について1も是非受講しようと思っています。また帰宅後に「うまく歌える『からだ』のつかいかた」もAmazonで発注しました。暫くしたら古書が安く出回るだろうからそうなってから購入しようかと思っていましたが、さっさと購入して読んだほうが良いと判断しました。講座の内容からすれば決して高いとは思えない、はっきり言って安いと思える金額で、豊かな内容の指針を教えていただけます。何よりも主観的・感覚的な話だけではなく、医学的・解剖学的な知見、科学的な方法論がしっかりしているメソッドが学べるのが嬉しいです。

 今回の”顎を緩める”と言うテーマとしては、外側翼突筋と内側翼突筋が硬直していることが多いとのことで、それをほぐす体操を紹介して頂きましたが、僅か1分にも満たない動作で確かに下顎の緊張が開放される実感がありました。

 私自身の声と歌を診て頂きましたが、開口一番、様々な可能性のある良い声とのお褒めの言葉を頂きましたが、テノールのアリアあるいはロッシーニの歌曲などの軽い曲を歌ったほうが良いと言われ、正直面食らいました。その心は重めのドラマティックな曲ばかりを選んで歌っているということがお分かりのようで、力任せに歌うのではなく、軽い曲を極々デリケートに歌う練習をすると、重めのドラマティックな曲を歌う場合でもこれまで以上の表現力が発揮できるようになる、とのことだったと私は受け止めました。

 川井先生は倉敷在住で、日本全国で出張講座・出張レッスンを行われているようです。とりあえずは次回の講座も受講するつもりになっていますが、講座を受講するよりも、個人レッスンを受ける方がよっぽど勉強になることは判りきっています。ただお安く無いですね。かなり決意のいる金額です。いずれ少なくとも1回は個人レッスンを受けようと思っていますが、定期的に個人レッスンをお願いするとなるとこれまでのその他の出費を切り詰める必要が生じます。まあ次回の講座を受けて、その後でとりあえず1回の個人レッスンをお願いして、その後でどうするか決めるしかなさそうですね。しかしスポーツにしても科学的なアプローチの有効性は様々な形でその有効性を示しています。これまでは主観的なイメージのみに頼りがちであった声楽だからこそ、少しでも科学的な知見に裏打ちされた方法論を学んで見たいと思っています。

ニャンコはクラシック音楽がお好き?

2016-02-26 23:06:10 | その他
 「ニャンコはクラシック音楽がお好き!? 猫にヘビメタやポップスを聞かせてみたらこうなった! っていう研究結果」という情報が http://rocketnews24.com/2015/04/03/564554/ に紹介されています。 サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」と、ポップシンガーのナタリー・インブルーリアが歌う「Torn:トーン」、ヘビメタバンドAC/DCの「Thunderstruck:サンダーストラック」を、麻酔を打った手術中の猫12匹の頭にヘッドフォンを載せ、3種類の音楽を2分間ずつ聞かせ、猫の舌に心拍音モニターを取り付け、音楽ごとの呼吸の速さと瞳孔径を計測したそうです。その結果猫は「弦楽のためのアダージョ」で最もリラックスし、「トーン」ではリラックスの度合いが少なくなり、「サンダーストラック」ではストレスを感じていたということでした。

 それはそれできちんとした実験だと思いますし、その結果にも意味があると思います。とは言えクラシック音楽愛好家としては、多少突っ込みたくなりますね。クラシック音楽と言っても静かな曲から激しい曲までその変化の幅は非常に大きい物があります。それをバーバーの「弦楽のためのアダージョ」一曲で代表させることには問題があると指摘せざるを得ないでしょう。端的に言えばオルフの「カルミナ・ブラーナ」を聞かせたらストレスと感じる猫がいた可能性は大いにあり得るように思います。ゆったりとしたテンポであればリラックスするでしょうし、早いテンポの場合はストレスとして感じる可能性はあるでしょう。あるいは弱音から強音への短い時間での変化があればストレスと感じるのでは無いでしょうか。例えばチャイコフスキーの「大序曲1812年」の大砲の音をグランカッサで叩いている演奏ではなく、本物の大砲の空砲で再現している演奏などであればストレスとして感じますよね。ここまではおそらくその通りだと思いますが、ではハイドンの「びっくり交響曲」を聞かせたらトゥッティのところでストレスに感じるでしょうか?これはニャンコに聞いてみないと、と言うかちゃんとした実験をして検証する必要がありますかね。飼猫とのコミュニケーションが取れている飼い主であれば、その時の猫さんの表情を見ていれば判るものでしょうか。

 以前から家畜などの動物にとどまらず、野菜や熟成中のワインにもクラシック音楽、特にモーツァルトの作品を聞かせると良い、ということが言われて来ています。どこまでが科学的に検証されているのかよく判りませんが、モーツァルトの作品にはα波が出やすくなる揺らぎが多い等と言われています。それならα波が出やすい揺らぎがたっぷりな部分だけを繰り返し聞かせればより効果があるのではないかと思いますが、モーツァルトの作品としての全曲を聞かせることが行われているように思います。

 ニャンコにしろワンコにしろ、室内飼いのペットは音楽を聞き分けますよね。飼い主が毎日見ているテレビ番組のテーマソングは覚えていますよね。したがって飼い主が遊んであげている時に決まった音楽を流して習慣づければ、音楽本来の特質に関係なく、条件反射としてペットをリラックスさせることも可能なはずですね。そうすると絶対音高や特定の和音を聞き分けられるかの実験も出来そうですね。とは言え猫や犬は飼い主の言葉による指示よりも飼い主のしぐさ、ジェスチャーにより多く反応しているという話もあります。

 



ヴェルディに隠し子がいた?

2016-02-25 22:39:54 | ヴェルディ
 ヴェルディといえば22歳でマルゲリータと結婚し、翌年長女ヴィルジーニアが生まれ、さらにその翌年長男のイチリオが生まれたもののヴィルジーニアが死亡し、そのうえ翌年には長男のイチリオが弱1歳にして死亡するという悲劇を味わっていますよね。そのためヴェルディの作品、特にオペラに関しては親子の愛情が様々な観点からの主題となっていると思います。「ラ・トラヴィアータ」のアルフレード・ジェルモンとその父ジェルモンしかり、「リゴレット」のリゴレットとジルダしかり、「シモン・ボッカネグラ」しかり。

 ところで http://style.nikkei.com/article/DGXMZO97459370Z10C16A2000000?channel=DF280120166611&style=1 によれば、音楽評論家の加藤浩子女史が昨年末に出版した「オペラでわかるヨーロッパ史」(平凡社新書)の中で後妻のジュゼッピーナとの間に、これまではいないと思われていた子供が存在して、更にはその孫と加藤女史ご自身が面会されていることが紹介されているそうです。

 ということになれば早速加藤女史の「オペラでわかるヨーロッパ史」を購入して読みたいところですが、夏公演の「エフゲニー・オネーギン」のロシア語講座が始まって楽譜の整備などが追いついていない今現在は、「オペラでわかるヨーロッパ史」を購入しても読む暇がとりあえずは確保できそうもありません。ということでとりあえずAmazomのほしい物リストに登録しました。じっくり読む時間が出来る頃には中古で安いモノが出ていることを期待しています。

 そういう状況で、ヴェルディに後妻との間に子供がいた事が判ったからといって、ヴェルディの作品に対する評価に多少なりとも変化は生じないのではないかと思います。むしろ最大の興味は、特段隠す必要性が理解できない後妻との子供の存在を隠さなければならない理由はなんだったのか、ということだろうと思います。どうしてなんでしょうか? 加藤浩子先生、「オペラでわかるヨーロッパ史」を読めばその理由が分かりますか?