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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

フォーレ 捨てられた花 作品39の2  G.Faure Fleur Jetée  Op.39

2016-12-30 23:44:56 | フォーレ

 昨日紹介したレスピーギの「霧」は、実はインターネット上の動画サイトでフォーレの「捨てられた花」の音源を探していた時に見つけたものです。このフォーレの「捨てられた花」も知る人ぞ知る名曲ということでしょうか。梅が丘歌曲会館に日本語役の歌詞が公開されています。梅が丘歌曲会館のコメントでも、フォーレの作品には珍しい怒りの曲であるとのコメントが寄せられています。

 少なくとも半年以上前に購入したフォーレの歌曲集CDに収録されていて、つい最近聞き直したときにフォーレらしからぬ激情を前面に押し出した曲として興味を覚えました。ペトルッチ(IMSLP)のサイトに楽譜が公開されています。8分の6拍子、アレグロのテンポ指定。調性はAs-durかf-moll。音域は高音部譜表で五線の下にぶら下がるDesからHigh-Aまでで、低・中声の方にはちょっと辛いかもしれません。ピアノ伴奏は殆どが16分音符で細かく和音を畳かけるパターンが続きます。

 フォーレの作品といえば”耽美的”というイメージが一般的かと思いますが、「捨てられた花」については”耽美的”という形容は当てはまらないように思います。なのでまさに”フォーレ的”とでも言うべき”耽美的な”歌曲と組み合わせたプログラムで、フォーレの持つ意外性を聴衆に提案して、フォーレの作品が持つ間口の広さと奥行き、いわゆるパースぺクティブの広がりをあえて問うてみたいと思います。

 レイナルド・アーンの歌曲もフォーレの作品と同じように優しく優美な印象が強いですが、だからこそ、そうではない曲想の「夜に」を典型的なアーンのレパートリーである「クロリスに」と組み合わせて歌いたいと思うわけです。現在私が歌えるフォーレの歌曲と言えば「夢のあとに」だけですが、「夢のあとに」と「捨てられた花」とを並べたプログラムとするのが最適の様には思えません。ということで、しばらく「捨てられた花」と「夢のあとに」と組み合わせてそれぞれの曲の良さを引き立てられる新しいフォーレの歌曲作品を探すつもりです。よい曲をご存知の方がらっしゃれば是非推薦を頂ければ、有難く存じます。


フォーレ 「3つの歌」作品18から 第2曲「旅人」

2016-10-04 22:25:52 | フォーレ

 フォーレの歌曲全集は4枚組のCDボックスセットを持っているので、ネットのオークションサイトでフォーレの歌曲CDを見た時に特段触手が動いたわけではありませんが、価格が極々手頃だったので入札したところ、そのまま落札できました。フォーレ以外にもCD何枚組かの歌曲全集は持っていますが、ベタで聞いていくと直ぐに飽きてしまって、それぞれの曲が持っている良さを十分に味わうことが出来ません。その点誰が選曲しているかは定かではありませんが自信作のみを選んだCD、特に今回入手したものはバリトンのジェラール・スゼーとソプラノのエリー・アメリングが交互に歌っている構成だと、全く飽きません。

 収録曲の1曲めはお約束の「夢のあとに」ですが、3曲めと4曲目が、「3つの歌」作品18の第2曲の「旅人」と第3曲の「秋」です。フォーレというと耽美的というイメージが強いと思いますが、この2曲、特に「旅人」の方はスゼーがダイナミックに歌い上げています。耳にした瞬間にフォーレもこんな曲を書くんだと驚きました。ペトルッチ(IMSLP)のサイトに楽譜が公開されています。移調版は3曲めの「秋」が最も多く用意されているので、「秋」の方が人気があるのかも知れません。第1曲の「Nell(ネル=固有名詞;人の名前)」が最も人気がないのかも知れませんが、動画サイトには音源がアップされています。3曲とも「レクイエム」や「夢のあとに」から思い浮かぶフォーレのイメージとは大分違うような気がします。作品番号が18番ということでフォーレの初期に属する作品と思いますが、若い頃は様々な作風を試みて、やがて耽美的と言われる作風に昇華していった様に思えます。

 フォーレの「3つの歌」作品18については、梅ヶ丘歌曲会館に3曲とも和訳と翻訳者のコメントが掲載されています。

 私が今回購入したCDは”EMI CLASSICS”レーベルの「フォーレ歌曲全集(第2集)」で第1集でより知名度の高い曲を優先し、第2集では”落穂ひろい”とまでは言わないまでも、あまり知られていないけれども魅力的な歌を選んでいるのかも知れません。他にも紹介したい曲が複数ありますので、追々取り上げて行くつもりです。


Armand Silvestre Gabriel Faure  Aurore Op.39,No.1   シルヴェストル  フォーレ  「夜明け」

2015-03-24 23:56:19 | フォーレ
 昨日紹介したのが「4つの歌作品39」の2曲目の「捨てられた花」ですが、その「4つの歌作品39」の第一曲目が「夜明け」です。「4つの歌作品39」の中では4曲目の「イスファハンのバラ」が最も有名かもしれません。作品39の4つの歌は梅丘歌曲会館に歌詞の和訳が公開されています。梅丘歌曲会館氏が解説している通り、作品39の1曲目から3曲目まではアルマンド・シルヴェストルの詩に曲をつけていますが、4曲目の「イスファハンのバラ」はルコント・ド=リルの詩です。

 この作品39の1曲目の「夜明け」ですが、ペトルッチ(IMSLP)に公開されている楽譜を見ると、タイトルの下に(ソプラノのための)と記載されています。でもそれ程高域側が広いわけではありません。最高音がト音記号の五線譜の第5線の上に顔を出しているGなので、私でも余裕で歌えます。歌詞については梅丘歌曲会館を参照して欲しいのですが、要するに恋の歌だと思います。イタリア歌曲の恋の歌は極めて直情的と思いますが、フランス歌曲の恋の歌は直截的ではなくアイロニーが効いているというべきか、一ひねり二ひねり、いやひねりが効き過ぎているというべきか、少しはなれたところから客観視している自分が歌っているイメージがあります。梅丘歌曲会館氏の邦訳を読む限り女性の詩というよりは男性の詩のようにも思われます。

 そうしてみると昨日紹介した「捨てられた花」を歌うのであれば、この「4つの歌作品39」全体を一つの作品として全4曲を通して歌うのがあるべき姿なのかもしれないと考えるに至りました。そうでなければあれこれ悩まずに、「夢のあとに」を歌って次に「捨てられた花」を歌うのが良いかもしれません。

Armand Silvestre Gabriel Faure  Fleur jetee Op.39,No.2   シルヴェストル  フォーレ  「捨てられた花」

2015-03-23 21:08:36 | フォーレ
 通販での送料を無料にするために3枚同時に発注したCDの中に、英国人バリトンのサイモン・キーンリィサイドの歌曲集がありました。シューベルト、ヴォルフ、フォーレとラヴェルにプーランクの歌曲を歌っています。このCDの中で最も衝撃的だったのがフォーレの4つの歌作品39の2曲目、「Fleur jetee」(jeteeの後から2番目のeにはアクサンが付きます)、梅丘歌曲会館の和訳を借りると「捨てられた花」です。叩きつけるようなピアノの三連譜の前奏を聴いた瞬間にシューベルトの魔王が浮かびました。ペトルッチ(IMSLP)に楽譜が公開されています。8分の6拍子、アレグロで16分音符の連打が続きます。調号は♭四つ。臨時記号も頻繁に登場して長調と短調とを移ろって行きます。

 曲のタイトルの下には「ソプラノまたはテノールのための」と記載されています。最高音はト音記号の上第一加線のA(ナチュラル記号)で私には少々高いのですが挑戦する気になっています。一応レッスンでの発声練習では上はB♭下はその3オクターブ下のB♭まで出ていると先生には言われますが、当然上限の3度、下限の4度程は実際の歌ではまだまだ使えないと思っています。それにしても高域は訓練次第で伸びるけれど下限は声帯の長さで決まるから伸ばし様が無いと言われ自分でもそう思っていました。息の流し方が身についてくると下限も伸びるように思います。どうやら短めだけれど厚みがあってやわらかい声帯に恵まれたようなので、下限が伸びたのかも知れません。まあ上はともかく下限域については自分でも声帯が振動しているのはわかりますが果たしてその振動数でなっているかどうかは全く判りません。

 さて、梅丘歌曲会館の注釈にも、「フォーレには珍しい怒りの歌です」と書いてあります。フォーレと言えば耽美的なイメージが強いと思いますが、だからこそ有名な「夢のあとに」を歌った後に同じ作曲家の歌として「捨てられた花」を歌うのも良いのではないでしょうか。この様な歌と出会うたびに、自分が多くの素晴らしい歌曲を未だに知らないことに気付かされます。その飢餓感がこれまで把握していない名曲を渉猟するモチベーションになっています。

 動画サイトに音源が公開されていますので、是非お聞き下さい。

Gabriel Fauré Romain Bussine Après un rêve  フォーレ作曲 ビュシーヌ作詞 夢のあとに

2015-02-07 23:14:50 | フォーレ
 3月に内輪のステージでレイナルド・アーンの「クロリスに」とフォーレの「夢のあとに」を歌うことになりました。「クロリスに」は以前に暗譜もして仕上げていますが、「夢のあとに」は本番で歌ったことが無くこれまではカタカナの振り仮名つきの楽譜で歌っただけでした。ということで6月の「リゴレット」のマルッロ役も気にしつつ、「夢のあとに」の暗譜に取り組んでいます。

 若い頃は自然と曲の前のほうから順に頭に入って来ましたが、最近は順に前から後に覚えていくという感覚では必ずしも無いように思います。ぼやけた感じから全体が少しづつはっきりしてくると言うような感覚です。慢性疾患で中枢神経に作用する薬を服用し続けている影響があるのかも知れません。それにしてもめっきり記憶力が落ちています。例によって音はさほど苦労しないで取れますが、歌詞が入りません。イタリア語は発音が日本語に比較的近いこともあってかまだ覚えやすい気がします。フランス語は意味が判らないし、アルファベを見てもどう読むかも覚束きません。

 ドレミ楽譜出版から出ているフォーレ歌曲集(ソプラノ用)には発音記号が賦ってあるらしいのですが、少々購入をためらう額で、ここしばらくオークションサイトや古本屋のサイトを探していますが、どうやら殆ど出回っていないようです。いよいよ定価でドレミ楽譜出版の楽譜を買おうかと思い始めましたが、動画サイトに有名なフランス歌曲に関しては、正しい発音・読みを教えてくれるディクションがアップされていたのを思い出し、除いてみました。以前からそうだったのかは定かでないのですが、ディクションにつれて発音記号が画面に表示されます。これでドレミ楽譜出版の楽譜を買わずに済みます。その分CDが買えますね。

 さてそこでSONYのDPT-S1の登場です。ペトルッチ(IMSLP)のサイトからダウンロードした「夢のあとに」の楽譜は既にDPT-S1に納めてあります。動画サイトの発音記号を見ながらDPT-S1の画面で楽譜の余白に書き写します。誤記入は専用ペンの軸についているボタンを押しながら範囲をなぞると簡単に消去出来ますし、入力した筆跡は元のpdfファイルに自動的に取り込まれます。兎にも角にも楽譜をなぞりながら発音記号を記入したこと自体が暗譜への道を一歩進むことが出来ましたし、今まではピアノ伴奏パートを眺める余裕もありませんでしたが、少し気にすべきと言う思いが出て来ました。ピアノの右手は一番最後の小節以外はひたすら8分音符で和音を刻んでいるだけなのですが、その和音進行にフォーレの魅力が溢れていることに思いが至りました。歌の旋律の展開のみで曲の表情を考えるのではなく、ピアノパートの和音進行も考えながら曲作りを考えていこうと思います。

 世に知られた名曲ですが、簡単に歌いこなせる曲ではないことが判って来ました。一度歌ったらそれでおしまいと言う曲ではなく、生涯を完結させるまでに自分自身の人生を通じて共に成長していくだけの内容をもった曲だと思いました。



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 今後の予定です。


・5月31日 声楽家団体横浜ピッコロ第8回定期演奏会@東神奈川かなっくホール
 ・6月10日 市民オペラ「リゴレット」合唱参加
 ・6月11日 市民オペラ「リゴレット」マルッロ