昨日紹介したレスピーギの「霧」は、実はインターネット上の動画サイトでフォーレの「捨てられた花」の音源を探していた時に見つけたものです。このフォーレの「捨てられた花」も知る人ぞ知る名曲ということでしょうか。梅が丘歌曲会館に日本語役の歌詞が公開されています。梅が丘歌曲会館のコメントでも、フォーレの作品には珍しい怒りの曲であるとのコメントが寄せられています。
少なくとも半年以上前に購入したフォーレの歌曲集CDに収録されていて、つい最近聞き直したときにフォーレらしからぬ激情を前面に押し出した曲として興味を覚えました。ペトルッチ(IMSLP)のサイトに楽譜が公開されています。8分の6拍子、アレグロのテンポ指定。調性はAs-durかf-moll。音域は高音部譜表で五線の下にぶら下がるDesからHigh-Aまでで、低・中声の方にはちょっと辛いかもしれません。ピアノ伴奏は殆どが16分音符で細かく和音を畳かけるパターンが続きます。
フォーレの作品といえば”耽美的”というイメージが一般的かと思いますが、「捨てられた花」については”耽美的”という形容は当てはまらないように思います。なのでまさに”フォーレ的”とでも言うべき”耽美的な”歌曲と組み合わせたプログラムで、フォーレの持つ意外性を聴衆に提案して、フォーレの作品が持つ間口の広さと奥行き、いわゆるパースぺクティブの広がりをあえて問うてみたいと思います。
レイナルド・アーンの歌曲もフォーレの作品と同じように優しく優美な印象が強いですが、だからこそ、そうではない曲想の「夜に」を典型的なアーンのレパートリーである「クロリスに」と組み合わせて歌いたいと思うわけです。現在私が歌えるフォーレの歌曲と言えば「夢のあとに」だけですが、「夢のあとに」と「捨てられた花」とを並べたプログラムとするのが最適の様には思えません。ということで、しばらく「捨てられた花」と「夢のあとに」と組み合わせてそれぞれの曲の良さを引き立てられる新しいフォーレの歌曲作品を探すつもりです。よい曲をご存知の方がらっしゃれば是非推薦を頂ければ、有難く存じます。