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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

Hahn: La Chère Blessure

2017-06-27 23:35:09 | アーン

 歌を唄わなくなって一年近くになろうろしています。とは言え携帯音楽プレーヤーに登録している楽曲の90%以上は未だに声楽曲ですね。適当にブラインドで選曲して聴いていますので、現在でも声楽曲を聞くことが多いです。ということでレイナルド・アーンの歌曲アルバムを聴いて見ました。これまでに何度も聞いてはいるのですが、これまで聞いた時にはあまり印象に残らなかったのに、今日は胸の奥に染み透って来た曲がありました。それが「La Chère Blessure」です。インターネットの翻訳ソフトを使えば「親愛なる傷」という様な意味のタイトルです。

 イタリア系のアリアや歌曲は曲の中でのメリハリがはっきりしていて、クライマックスに向かって盛り上がって弾けて終曲に向かうという流れがはっきりしている傾向にあると思います。ドイツ歌曲やドイツオペラのアリアにしても、やはりイタリア物とは違うといっても、クライマックスに向かって盛り上がり弾けて終曲に向かうという流れは、例えば機能和声の輪郭の中で十分に予測できるものと思います。

 それに対して、アーンの歌曲ですが、アーンの場合はロマン派音楽の範疇からは逸脱することなく、機能和声が開拓した芳醇な土壌を最大限生かして音楽表現を追求したとも言えると思います。それでもその時点よりも以前の時制=過去の音楽と、これから先に現れてくるだろう新しい世界の音楽=現代音楽の予感を感じつつも、過去の音楽の枠組みの中に踏みとどまりつつ、歌詞の言葉を丁寧に重ねていくといつの間にか歌としてのクライマックスに突入して魂を揺さぶられている、そんなイメージを持たざるを得ないのがこの曲の魅力です。

 ペトルッチ(IMSLP)に楽譜は公開されています。ところが「梅が丘歌曲会館」にはラインナップされておらず、詩の意味は今のところ不明です。詩の内容を把握したところで改めて紹介しようと思いますが、フランス歌曲あるいはシャンソンが言葉を大切にして歌うというよりも語ることに重きを置いているような印象を持っていますが、そのような正にフランス歌曲の典型とも言うべき語りに重きを置きつつ、気が付くと歌唱のクライマックスに誘われている、という意味では最右翼に位置する曲と思います。インターネット上の動画サイトで検索したところ、音源は見つかりませんでした。ということはアーンの歌曲を収録したCDを購入して聴いていただくしかないのかもしれません。

 マイナーなフランス歌曲の世界で、更には作曲家の作品としておあまり人気がない曲ともなると、日本国内のコンサートやリサイタルで演奏される機会はほとんどないのかも知れません。それでも、少しでも多くの方に聞いて見てほしいと思う作品です。


レイナルド・アーン アルフォンス・ドーデ Trois Jours de Vendange ブドウ摘みの3日間

2016-12-22 23:18:48 | アーン

 これまで歌を歌うこととは詩を歌うことだという思い込みが強すぎたと思います。という反省のきっかけになったのが、日本で活動しているロシア人バリトン歌手のヴィタリー・ユシュマノフ氏の魅力的な声を直接聞く機会があったからです。それ以来、これまでに出会ってきた様々な歌曲をあらためて聞き直しています。

 そんな中で”あれっ!?”と思ったのが、レイナルド・アーンの「ブドウ摘みの3日間」です。梅ヶ丘歌曲会館でも取り上げられていて、『ブドウ摘みの3日間」というタイトルは梅ヶ丘歌曲会館に記載されていたタイトルをそのままお借りしています。青年というよりは少年というべき若い男の子がブドウの収穫期に見かけた魅力的な少女を歌った歌なのかもしれません。曲の印象としてはやや早めのテンポで、明るく茶化すような印象すら感じます。ところが、私が”あれっ!?”と思ったのは、後半でいきなり短調になってピアノの伴奏がグレゴリオ聖歌のディエス・イレ=怒りの日の旋律を鳴らすんですね。

 怒りの日の主題はベルリオーズの幻想交響曲の中でも用いられていますし、キリスト教文化圏の人々にとっては誰もがその宗教的(キリスト教的)意味を知っているものとのことです。西洋音楽と行ってもその主役はイタリア、ドイツ、フランスが主で、ドイツはプロテスタント、イタリアとフランスはカトリックですね。レイナルド・アーンの個人的な環境は、父親はドイツ系ユダヤ人で母親はスペインのバスク人だったそうです。

 レイナルド・アーンがどちらかというと明るくてコミカルな曲の終わりに怒りの日を結びつけている意図が判りません。お判りの方がいらっしゃったら是非ご教示頂きたいと存じます。しばらくアーンの意図を宿題として考えて見たいと思います。宗教的な歌曲は諸々あると思いますが、怒りの日の主題が直接出てくる歌曲は、私が勉強不足からだからかもしれませんが、他にはちょっと知りません。


Reynaldo Hahn   La Chère Blessure

2016-06-24 22:47:32 | アーン

 気分安定剤のラミクタールは副作用の眠気が強すぎて服用を諦めましたが、服用を止めても昼間は眠気が強く逆に夜は中々眠れないという離脱症状に苦しんでいます。ということで床についても中々寝付けないのでCDライブラリをリラックスできそうなものから片っ端に聞き直しています。そんな中で今までも何度も聞いていたはずですが、今回なかなかよい曲だなとおもったのが、「La Chère Blessure」です。歌曲集の中の一曲ではなく、単独の作品のようです。割りとスローテンポで唱うというよりは語るという方が近いニュアンスの曲と思います。とは言え連符がふんだんにあるところはアーンらしいというかフランスの曲らしいというか、フランス語のイントネーションがそうさせるのかもしれません。また7度の跳躍などもあって唱うには難しい曲かもしれませんが、聴くものにはそれを感じさせない美しい曲だと思います。

 特に旋律の殆どが中低域中心で、時々いきなり高音に飛ぶ跳躍はありますが最高音でもFis止まり。私でも何とか美しく歌いこなせそうな曲だと思う次第です。ペトルッチ(IMSLP)に楽譜が公開されていますので早速ダウンロードして音源を制作することにしましょう。残念ですが動画サイトで検索してもこの曲は見当たりませんでした。3分少々の作品です。レイナルド・アーンの”Chansons Grises”というCDの4曲目に収録されています。ご興味のある方はペトルッチから楽譜をダウンロードしていただくか、CDを購入していただくしか、とりあえずは無いようですね。いずれ私が本番で唱う機会があればご案内させて頂きます。

 今のところ歌詞の内容も全く判っていないので、本番で唱うまでには何とか歌詞の内容も掴んで置きたいですね。梅ヶ丘歌曲会館のアーンの作品群の中にも収録されていませんでした。


Reynaldo Hahn, Nausicaa- Air de Pallas "Ulysse, tous tes maux vont finir"  アーン ナウシカア

2014-10-17 21:56:06 | アーン
 久々の大きな出会いに興奮しています。動画サイトでフランス歌曲を色々聞いていました。アーンの作品で一つ二つ歌ってみたい曲があったので、早速IMSLPを開いて楽譜があるかどうか確認しましたが、その曲の題名と思しき楽譜は見当たりませんでした。ただ、中には複数の曲をまとめて違う題名で登録されている場合もあるので無いとは断言できません。作品番号があるとこういう時には有難いのですが。

 さてどうしようかと思ったときに、アーンの作品の中に Nausicaa というものがあるのが目に留まりました。開いてみると2幕もののオペラ(オペレッタ?)でしょうか、200ページを超える大作です。早速動画サイトの検索ボックスに Reynaldo Hahn Nausicaa といれて検索すると、Air de Pallas "Ulysse, tous tes maux vont finir"として2つの音源がみつかりました。但し良く見ると歌い手はどちらも Xenia d'Ambrosio, contralto で収録時間もぴったり同じ。同じ音源を別の人間がアップしたようです。もしかしたら著作権的にも問題があるのかもしれません。そうだとするといずれ近いうちに削除される可能性があるので、このブログを読んだ方は是非早めに聴いてみて下さい。

 Lent et solennel ですから荘厳に重々しくでしょうか、レントの極めてゆっくりとしたピアノに載って、コントラルトの深い声が響きます。荘厳です、厳かです、神秘的と言いましょうか、うわぁぁぁぁぁ~格好良いぃぃぃぃぃ~~~!!!
IMSLPには異なる版のものが3種ありますが、一番上のモノクロ高解像度版だと16頁から20頁がこの Pallas のアリアです。
これはもうコントラルトですね、メゾではなくアルト。日本人なら竹本節子さんぐらいの方に歌っていただきたいですね。私の周りにいるメゾソプラノの方で歌ってくれる人がいるだろうか。 このナウシカアというオペラ?の1幕前半は、男声低声系の URYSSE のアリアで始まり、次いでこの女声低声系の Pallas のアリアに渡して進んで行きます。その後合唱が入ったり Nausicaa とアーンお馴染みの Chloris も登場します。コンサートピースとして先ず私が URYSSE のアリアを歌い、次いで女声が Pallas を歌うと言うステージが出来ないかなと本気で思っています。 URYSSE の音源は動画サイトにはないようなので、楽譜をダウンロードして自分で音源を作らないと。

 女声の低声系のコンサートピースと言うと、ソプラノに比べて極端に少なすぎると思いますので、この曲良いと思うのですが、女声低声系の貴女、如何ですか、私でよければ何時でも URYSSE 歌わせて頂きますよ。

Reynaldo Hahn L'Enamouree    レイナルド アーン  「恋する乙女」

2014-08-27 22:40:34 | アーン
 ご案内していた”大人の学芸会”のサマーフェスティバルで、レイナルド・アーンの「クロリスに」、「夜に」、「恍惚の時」の3曲を歌ってきました。その時の様子につきましては近々あらためてご報告させていただく所存です。

 さて、レイナルド・アーンの歌曲はこれら3曲の他に、「私の詩に翼があったら」もレッスンしていただいて人前で歌えるレベルにまで仕上げています。サマーフェスティバルが終わった事でレッスンも少しお休みしますが、9月中旬からはオペラのアリアに取り組む予定にしています。ではありますがアーンの曲でもう1曲、人前で歌えるレベルにまで仕上げておきたい曲があります。それが「恋する乙女」。アーンのイメージに違わない優しくゆったりとした曲想です。変ニ長調、4分の3拍子、Lent。アーンの曲にしては前奏が極めて簡素で、ピアノの左手の単音で、A♭-B♭♭-A♭と鳴ったところで1オクターブと6度上のFから歌が始まります。6小節歌ったところで右手が印象的なオブリガート、左手が5連譜のアルペジオのピアノの短い間奏が入り、時に3連譜となりながらのピアノ伴奏の上に歌が絡みながら曲が進行してゆきます。この辺りからアーンらしい魅惑の世界が広がります。ピアノの5連譜のアルペジオはアーンの歌曲に特徴的なものかと思っていたら、必ずしもそうではなさそうです。と言うのは他のフランスの作曲家の歌曲にも5連譜等の連譜を有効に活用している例が見られます。

 アーンの曲に戻りますが、「クロリスに」と「私の詩に翼があったら」は日本でも人気のある曲のようで、詩の日本語訳はネットで調べれば直ぐに複数見つけられます。ところが、「夜に」と「恋する乙女」については、詩の日本語訳だけでなく、日本語による解説記事等も殆ど見つけられませんでした。仕方なく英文のサイトの詩の英語訳や解説記事を眺めてみました。「恋する乙女」の英語訳も抽象的な英単語が並んでいて今一つ内容が把握しきれません。レッスンで取り上げてもらう時には再度読み込んでみたいと思っています。ともあれ、優しく、柔らかく、心地よい、子守唄にもなるような、ロマンチックな歌です。理想の女性像を心の中で思い描きながら歌いたい曲です。