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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

Trois Mélodies Sans Paroles - 1. Rambouillet - 2. Les Oiseaux - 3. Marienbad

2015-11-13 22:46:33 | サティ
 4日前にエリック・サティの”「軍旗敬礼」への賛歌”を紹介させて頂きました。サティの「ジュ・トゥ・ヴー「歌曲集」」というCDから取り上げています。その同じCDで”「軍旗敬礼」への賛歌”の次に収録されているのが「言葉のない3つの歌曲」です。1曲めが1分弱、2曲めが1分40秒程、終曲=3曲めは40秒弱の短い作品です。歌詞のないヴォカリーズです。ヴォカリーズだからというわけでもありませんが、声楽の練習曲として悪くないのではないかと思いました。

 残念なことにペトルッチ(IMSLP)のサイトには楽譜は公開されていませんでしたが、動画サイトを探してみると楽譜を表示してくれる音源がアップされていました。明日・明後日の週末に楽譜に起こしましょうか。鼻歌でフンフン歌ってみるのがなんとおオシャレではないかと思いましたが、嫌味ですかね。歌詞がないとブログに書く内容も短くなってしまいます。

Erik Satie Hymne pour le Salut Drapeau !  サティ 「軍旗敬礼」への賛歌

2015-11-09 22:22:31 | サティ
 通勤電車での往復時に聞いているNHKラジオ語学講座ですが、11月第1週は前の週の再放送だったので、復習しても良いかなと思いつつ、めったにない機会なので日ごろ聞かない長編作品などを聞いてきたこの一週間でした。ノイズキャンセリングイヤホンを使ってはいますが周囲の騒音を聞きながらの鑑賞なので音楽にのみ集中するのも難しいものがあります。やはり長編作品よりは歌曲などの数分の作品を次から次に聞くほうが、聞き直すことも簡単なので好ましいようです。と言うことで今日の帰宅時にいつくか聞いていて最後に聞いたのがサティの「ジュ・トゥ・ヴー「歌曲集」Melodies」というアルバムでした。何度も聞いているアルバムですが、今日私の心に何時もより少しだけ存在感を主張してくれたのが、 ”Hymne pour le Salut Drapeau !「軍旗敬礼」への賛歌”です。今日に限って何時もより存在感を感じさせてくれたのは、サティの音楽の一面を評して冗談音楽という評価あると思いますが、”「軍旗敬礼」への賛歌”は単なる冗談音楽という地平線に埋もれているのではなく、芸術音楽としてその存在を認めて良いだけのものがあるように感じたということです。けっして古典派やロマン派の歌曲が持つメロディアスな旋律というよりは、ロマン派以前の音楽が持っている聞く人誰にも好まれる音程だけではなく、違和感を感じる人もいるであろう音程での跳躍もあり、リズム的には変拍子もあり、聞くものに結構緊張感を強いるものでありながら、そこにはサティなりの意図的な冗長感でその緊張感を和らげることにも成功している部分があり、何ともいたずら小僧のいたずらが成功した時の得意げな表情が浮かぶようでも有り、といった風情の歌です。

 帰宅してさっそくペトルッチ(IMSLP)のサイトで楽譜を探しましたが、公開されていませんでした。業界最大の動画サイトで検索したところ、何と楽譜(歌詞付き)を表示しながら再生してくれる音源を見つけました。楽譜がスクロールする直前で止めて各画面を採譜しようかなと真面目に思っています。結構難しい音程の跳躍が出てきますが、楽譜を見ると殆どの歌の音程をピアノ伴奏が叩いているようなので、練習しさえすれば歌えこなせなくなないだろうと思っています。

 困ったときの梅ヶ丘歌曲会館を見てみましたが、「軍旗敬礼」への賛歌は取り上げられていないようです。

 問題は何時・何処で歌うかですね。サティの歌曲を数曲歌う中の1曲とするには問題ないと思いますが、サティ以外のフランス歌曲数曲の中にこの曲を1曲入れることは少々統一性が取れないように思います。尖ったアヴァンギャルドな曲ばかりを集めたプログラムであればありうると思います。先日再入団した合唱団ですが、来年の7月のカルミナ・ブラーナの演奏会が終われば直ぐに退団するつもりでいます。その後再々入団することがあればその時のオーディション曲にしてみるのが一番良いかもしれないと思っています。きちんと歌えても落とされるかな???

「エリック・サティとその時代展」に行って来ました。

2015-08-22 23:51:45 | サティ
 東急文化村で開催されている「エリック・サティとその時代展」に行って来ました。

 入って直ぐのコーナーはシャ・ノワールのポスター等が中心の展示で、”まあ、こんなものか”という印象でしたが、それだけの展示ではありませんでした。サティの楽譜集の表紙や挿絵、もちろんサティの自筆の楽譜の展示もありました。BGMとしてサティが作曲した曲の演奏が流れていましたし、例のバレエ「パラード」の再現映像の一部、3分ほどの動画が繰り返し流れていました。 20世紀初頭にこの様なバレエが上演されれば、確かに相当な批判を呼んだでしょうね、そう納得できる映像でした。

 実際の公演では実現しなかったようですが、「パレード」の構想では、ヨーロッパ人のマネージャーとアメリカ人のマネージャーの他に馬に乗った黒人のマネージャーが登場するというものだったそうです。このことを知って思いが至ったのはラヴェルの「マダガスカル島民の歌」です。現在の印象からは非常に人種差別的なものを感じざるを得ないのですが、20世紀初頭のフランス、所謂ベル・エポック期におけるフランスの黒人の占める位置は、現在の常識からは相当異なるものだったはずということです。ベル・エポック期の黒人の置かれた環境がどのようなものであったのかまでは認識することは出来ませんでしたが、少なくとも現在のものとは相当異なっていたことだけは納得できました。これまでラヴェルの「マダガスカル島民の歌」については違和感を強く感じていましたが、その違和感の原因である時代背景の相違をもう少し勉強していたいと感じました。それが今回「サティとその時代展」を見た最大の収穫だった様に思います。

 その他にも色々と興味深いものはありました。サティの自筆の楽譜を見ると面白いことに気付きました。低音部譜表・ヘ音記号はへ音が位置する五線の中の第4線の上下に二つの点が記載されていますが、サティ自筆の高音部譜表・ト音記号にはト音が位置する第2線の上下にも二つの点が記載されています。このスタイルは肉筆で楽譜を書くときは私も真似してみようかなと思った次第。また少なくとも展示されていたサティの肉筆の楽譜には小節線は見られませんでした。ともあれ展示されていたサティ自筆の楽譜(あるいは出版された楽譜を含めて)は、単なる楽譜としてだけではなく、あたかも美術作品かの様に他人から見られることを意識した、整ったものに思えました。サティと言えば相当な皮肉屋の様なイメージがありますが、楽譜を見る限りはかなり几帳面な性格の人の様に思われます。とは言え楽譜に挿入された言葉は相当な皮肉に溢れているようですが。

 サティと言えば単なる変わり者と言うイメージが強いように思われますが、音楽史的にサティが果たした役割は、一般に知られているサティのイメージをはるかに越えていると思っています。東急文化村では8月30日まで開催されているので、サティファン、フランス音楽ファンの方は足を運ばれては如何でしょうか?

Erik Satie Quatre Ogives エリック・サティ 4つのオジーヴ

2015-07-09 23:51:01 | サティ
 1886年に作曲されているので、1866年生まれのサティが二十歳になるかならないかの時の作品ですね。ピアノ曲です、あるいはオルガンでも良いのかもしれません。ペトルッチ(IMSLP)で公開されている楽譜の表紙にはオルガンでも良いと書いてあります。

 オジーヴとは教会のドームを補強する構造物のことらしくて、ペトルッチに公開されている楽譜の表紙には教会のドームの補強部分の構造物の様な絵が描いてあります。

 この作品も、目覚まし時計代わりに聞いていたNHK-FMのクラシックカフェを聞いていたところ流れて来た曲です。初めて聞きました。4曲で10分弱なので1曲あたり2分半弱ですね。教会音楽の様な感じです。歌のないコラールです。楽譜を見ると4曲とも小節線がありません。調号もありません。1曲が1頁、4曲で五線譜が4頁です。全てオクターブで奏でたメロディーを和声をつけて強奏、弱奏、強奏と繰り返しています。1曲目はDmで終わっています。2曲目はA、3曲目はDm、4曲目はAmで終わっています。こう書いてしまうとだから何?という感じになってしまいますが、YouTubeに複数の音源がアップされていますので、是非聞いて見て下さい。ある意味サティらしくない、端整な世界が広がっています。ジムノペディやグノシェンヌを作曲した作曲家の作品とは思えないその意外性がサティの魅力だと思います。

Erik Satie,  3Mélodies   サティ  3つの歌曲 から Sylvie

2015-04-06 22:31:41 | サティ
 一昨日、昨日に引き続きサティが1886年に作曲した「3つの歌曲」から、3曲目「Sylvie」です。未だ邦訳を見出していないので3曲とも歌詞の内容は判りません。とりあえず曲名だけ機械翻訳してみると、1曲目の「Les Anges」は「天使」、2曲目の「Elegie」はそのまま「Elegie」、3曲目の「Sylvie」もそのまま「Sylvie」で返って来ましたのでそれぞれ「哀歌」または「悲しい歌」と、固有名詞「シルヴィー」ということになるのでしょうか。一聴したところでは3曲ともに共通する印象と言いましょうか、全体としての統一感があるように感じます。1曲目が♯2つ、2曲目が♭3つ、3曲目が♯3つの調号が振られていますが、臨時記号も少なくない数が振られていて、なおかつピアノ伴奏パートを見ると殆どの音符が2分音符と全音符で、縦を見ると同時に鳴っている音が4つか精々5つという重なりの薄さで、私の感覚では調性音楽ではあるけれど長調か短調かすらはっきりとは判らない、曖昧な調性感です。

 テンポは3曲ともLentが指定されていますが、メトロノーム記号では4分音符で1曲目が54、2曲目が50、3曲目が48と徐々に遅く演奏するように指定されています。これはかなり作曲家が計算して指定しているような意図が感じられるように思います。さて小節数は1曲目が28小節、2曲目36小節、3曲目は1小節。はい、3曲目のみ小節線が記載されていないんですね。3曲とも同じような曲想でテンポも同じ。何故3曲目だけ小節線を記載していないのか、特別な意味は無いのか?それとも作曲家の特別な意図が託されていることなのか? 演奏する立場のものとしては気になるところですが、音大声楽科のフランス歌曲のコース等ではこのような小節線の有無の意味について講義や分析等が行われているのでしょうか? ご存知の方がいらっしゃれば是非ご教示頂きたくお願いします。

 3曲目の「Sylvie」に限らず、この3曲とも透明感のある女声の演奏も魅力的ですが、男声のテノールでもバリトンでもバスでも、それぞれの魅力を生かす歌い方が出来ると思います。しかしいずれにしても歌詞の意味を把握しないで歌うわけには行きませんので、邦訳が見つからなければ英訳を入手するところから始めないといけませんね。 楽譜はペトルッチ(IMSLP)のサイトで公開されています。動画サイトには複数の音源が公開されていますので、先ずは是非音源を聞いて頂きたくご案内します。