オールドヨットマンの残日録・ZANJITSUROKU

相模湾に育てられて60余年、ヨットレースや仲間との思い出を大切に、これからの日々を健康で明るく楽しく、絵日記に綴ろう。

4日目 小樽港入港、下船、そして小樽の町

2013-07-24 22:51:55 | 日記
新しいチャンネル

帆船・海王丸はバーク型4本マスト、前からフォアマスト・メインマスト・ミズンマスト・ジガーマストで全長110メートル。デッキの下は4階建てで、下2階はエンジン・機械室、3階が実習生・研修生の居室、風呂・トイレなど、4階が船長・士官・甲板員の個室に厨房・食堂、教室などとなっている。 横帆は上から、ロイヤル・アッパーゲルン・ロワーゲルン・アッパートップ・ロワートップ・コースとなっていて、それぞれ前にマストの名前がつく。 セールの調節は風上側を引くことをブレースイン、風下側を引くことをブレースアップという。 これらのセールをマストごとに担当する士官が号令をかけて展開していく。 因みに、「引け」は「ホールタイ(Haul Tight)」、「出せ」は「イーズアウェイ」と言う。

 いよいよ4日目、船を下りる日がきてしまった。 起床、整列・点呼・体操・朝食のあと抜錨作業~入港となる。キャプテン以下、全員配置についたところへ2隻のタグボートが到着、ゆっくりと入港し着岸した。 13時、全員が整列し見守る中、キャプテンから「修了証」が手渡され、挨拶をいただいた。 これからも船員として巣立つ実習生を応援してほしい。練習船・海王丸を見守ってほしい、と。 後部甲板から下船階段まで、実習生が両側に整列し拍手で送ってくれた。 下船口に正装して待つ士官たち、最後にキャプテンにお礼を言って、船尾に掲げられた国旗に敬礼しタラップを下りた。 お礼の言葉を用意していたのに、胸が詰まって「ありがとうございました」しか言えなかった。 バウデッキからボースンが見送ってくれていたので「ボースン、写真を撮らせてください」と言うと「おう」と言って帽子をとってくれた。 肝の据わった厳しくも優しいボースン、こうありたい、と思う記憶に残る人、「クールヘッド&ウォームハート」・・・・。

 下船後、小樽運河前のホテルにチェックイン。油壷Aoxxグループの二人と若い海事弁護士のAさんと4人で町を散策し今宵の店の目星をつけておく。 シャワーに入ってサッパリとしてから、運河沿いの倉庫にあるビアホールに突入した。 無事入港を祝って乾杯したが3杯呑んだところでもう出来上がり、ラーメンで〆てホテルに帰ったが、いつのまにか眠ってしまった。

 思えば素敵な航海だった。 日本の船員を育てるプログラムを目の前で見ることができたのは大きな収穫だったと思う。また、九州のヨットマンをはじめ、いい仲間ができた。 健康でさえいれば、まだまだたくさん楽しいことがあるだろうと思う。
    - おしまい -    このあと番外編へ

3日目 神威岬~積丹岬を越え小樽沖へ

2013-07-24 17:14:52 | 日記
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 ここまで、穏やかな航海が続いている、予定より早いペースだ。 昨夜もベタ(凪)になり機走7kt、左エンジンだけで走る。左エンジンだけなので少し右に行こうとするのを舵で修正しながら神威岬に向けるが、コースの修正の仕方を実習生に教えていた。 朝方、もう小樽沖、これから錨泊の作業に入る。 北の風、さし網の赤い旗に気をつけながら、2隻の貨物船の間に泊める予定で、これから何をどうする・今何のために何をしているかをスピーカで実習生に説明しながらの作業だ。  ブリッジにはキャプテンと三等航海士と操舵手、バウに一等航海士、スターンに二等航海士を配し実習生も配置につく。 水深19メートルのところ、左舷のアンカーでチェーンは6節(1節は27.5メートル)の指示がでる。右アンカーは緊急時に備えて少しチェーンを出してスタンバイ。 キャプテンの号令でアンカーレッコ、チェーンの長さ・方向が細かく報告され、無事終了。        
 今日はこれから機関室でエンジン・発電機・ボイラを、通信室で無線通信・電話などを見学する予定だ。  海王丸のエンジンはヤンマー1500hp×2基、可変ピッチプロペラが装備されていて、前進Fullから後進Fullまで、回転数を変えることなく切替ができるという。 (日本丸は固定ピッチプロペラ) このほか発電機3台、予備発電機1台、ボイラーが装備されている。 毎日、細いステンレスの棒をエンジンに当てて耳に伝わる音を聞き異常がないか確認しているという。 早期発見による予防保全が基本とのこと、う~ん確かに!! うちの船も見習わなくちゃ。 続いて通信室・アンテナも見学した。 海王丸では最新の装備をしているが、それを表示するのは、実習生用に目で見てわかるアナログで表していた。 一般商船ではコンピュータで処理して画面に表示しているらしい。 さすが練習船。 
 午後は、火災発生時の模擬訓練と落水者救助訓練を行い、中味の濃い一日を終えた。

 夕食後、バウデッキで教官・指導員と意見交換、3日間の研修の総括が行われた。 研修生からは感動と感謝の言葉が多くあったが、私は感謝とともにハワイへの強い意志を伝えた。
 明日はいよいよ小樽港へ入港、残念だけれど下船しなければならない。   
- つづく -